『リセッション懸念台頭で約3ヵ月半ぶり安値圏へと大幅下落』
〇今週の南ア円、週後半にかけ約3カ月半ぶり安値7.55まで急落
〇南ア経済指標悪化からのリセッション懸念、ドル円の急落等が背景
〇主要テクニカルポイントの下側で推移、強い売りシグナルも成立、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも南ア・中国経済の先行き不透明感等が重石
〇引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
今週のレビュー(12/4−12/8)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.85円で寄り付いた後、早々に週間高値7.88円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)南ア7ー9月期GDP(結果▲0.7%、予想▲0.2%)の市場予想を大幅に下回る結果や、(2)上記1を背景とした南アフリカのリセッション懸念台頭、(3)南ア主要株価指数の冴えない動き、(4)南ア10ー12月期BER消費者信頼感指数(結果▲17、前回▲16)の冴えない結果、(5)日銀チャレンジング・ショックに端を発したドル円相場の大幅下落(植田日銀総裁による「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言を受けて市場参加者は政策修正のタイミングが近づいていると解釈→ドル円が僅か1日で147.32から141.60まで5円72銭もの値幅で急落→南アランド円連れ安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.55円(8/15以来の安値圏、約3カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。
週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/9午前1時20分現在)においても、7.62円前後での上値の重い展開が続いております。尚、今週発表された南ア7ー9月期経常収支(結果190億ZAR赤字、予想1110億ZAR赤字)は市場予想を下回る赤字幅に留まりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(12/11−12/15)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/16に記録した年初来高値8.33円(昨年9/13以来、約1年2ヵ月ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、一時7.55円(8/15以来、約3カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(今週は辛うじて200日移動平均線にサポートされる形で下げ渋ったものの、来週は同水準の下抜けリスクに要警戒。200日移動平均線の下方ブレイクに成功できれば、南アランド円相場がもう一段値下げ足を速める恐れあり)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の先行き不透明感(慢性的な電力不足と物流インフラの機能不全)や、(2)中国経済の先行き不透明感(南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の減速懸念→格付け会社ムーディーズも中国の格付け見通しを「安定的からネガティブ」へ下方修正)、(3)南アフリカ中銀による金融引き締め終了の思惑(来年早々に利下げに転じるとの思惑)、(4)南アフリカの政局不透明感(来年の総選挙で下院の過半数割れが生じるリスク)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
こうした中、来週は上記1を見極める目的で12/11に予定されている南ア10月小売売上高に注目が集まる他、上記3を見極める目的で、12/13に発表される南ア11月消費者物価指数や、12/14の南ア11月生産者物価指数にも注目が集まります。上記3つの経済指標が市場予想を下回る場合には、「南ア経済の下振れ懸念→南アランド売り」の経路と、「南アフリカのインフレ鈍化期待→南ア中銀による早期利下げ観測→南アランド売り」の経路の組み合わせで、南アランド円相場に強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.50ー7.80
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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