売り圧力はやや強い、雲下限7.8円水準での攻防か
【先週の南アフリカランド】
先週のランドは7.8円台から8.0円レンジでのもみ合いとなった。11月23日の南アフリカ準備銀行(SARB)は、主要政策金利のレポ金利を8.25%に据え置くと決定した。据え置きは3会合連続で、市場予想通りの結果となった。SARBは、「物流のボトルネックで成長見通しが悪化している」との認識を示したが、市場予想通りの結果だったことから、市場への影響は限定的。23日以降のランドは8.0円手前での小動きが継続した。
11月16日に年初来高値8.3404円をつけた後は、円キャリートレードの巻き戻しによる大きな円買いの流れに押される格好となった。また、30日に発表された10月の生産者物価指数(前月比)が、1.0%増と市場予想(1.2%増)を下回ったほか、10月の貿易収支の赤字転落もランドの重しとなった。
足元の安値11月30日の7.7951円は、10月末にもみあった水準のため、いったんは下げ止まっているが、月間のローソク足では陰線を残した。
ランド・円(東京時間:11月27日7時―12月2日6時)※Investing.comの一時間足を参照
始値:7.9515円
高値:7.9972円
安値:7.7951円
終値:7.8776円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
12月4日
未定、SACCI景況感指数、前回:108.2
12月5日
18時30分、実質GDP(前年比)、前回:1.6%
12月7日
17時00分、BER消費者信頼感、前回:−16.0
18時00分、経常収支、前回:−1610.0億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは8.0円手前でもみ合うなか、日足の一目均衡表の雲下限が位置する7.8円水準がサポートラインとして意識されるか注目だ。仮に雲下限を割り込み、下値模索となった際の下値メドとしては、10月安値の7.5円台後半が意識されそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)が追加の利上げを見送るだけではなく、早い段階で利下げに転じる公算が大きくなったことから、ドルを筆頭に円キャリートレードの解消が進んでいる。本来、ドル売りはランド買いの要因となるが、円買いが主軸となっていることから、円キャリートレード解消が進む場合、ランドはドルに連れ安の展開となろう。
また、消費者物価指数(総品目)(前年比)は、5.9%増と5月以来の水準までじりじりと上昇しつつあるが、5か月連続で前年比6.0%台を下回っている。12月13日発表予定の消費者物価指数が落ち着きを見せた場合、政策金利引き下げ観測が強まる可能性はあろう。消費者物価指数への警戒感から、週後半にかけては上値の重い展開となりそうだ。
なお、国営電力会社エスコムの経営不振に対する抜本的な改善が進まない限り、電力不足は進まない。電力問題が解消されない限り、南アフリカの経済安定は難しく、ランドの長期的な重しとなる。一方、電力不足はネガティブ要因だが、ほぼ100%輸入エネルギーで賄っている南アフリカにとって、足元の原油価格の落着きはランドの下支え要因となっている。
南アランド円日足
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