5.0円の大台割れのタイミングでは短期リバウンド狙いもアリだが・・・
【先週のトルコリラ】
トルコリラの下値模索は継続しており、足元5.0円台の攻防を迎えている。トルコ中央銀行は、11月23日の金融政策決定会合で、政策金利を5.0%引き上げて40.00%とした。市場予想(2.5%の利上げ)を上回ったことで、市場ではトルコリラが買われ、5.8円台を付ける場面が見られたものの、影響は限定的で、買い一巡後はトルコリラ売り・円買いの地合いが継続。11月30日には、7月18日につけた史上最安値5.0935円を下回った。
トルコ中銀は「金利水準はディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり近づいている」「引き締めのペースは減速し、引き締めサイクルは近く完了する」「物価の持続的な安定を確保するため、必要な限り引き締めを維持する」といった声明を行った。市場では「利上げサイクルが近く終了する」との見解が強まっており、12月21日の金融政策決定会合にて、政策金利を2.5%引き上げ42.50%としたタイミングで利上げ打ち止めのトーンを強めるとの見方が強まっている。
トルコ・円(東京時間:11月27日7時―12月2日6時)
※Investing.comの1時間足を参照
始値:5.1783円
高値:5.1914円
安値:5.0645円
終値:5.0795円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
12月4日
16時00分、消費者物価指数(前月比)、前回:3.4%、市場予想:3.2%
16時00分、消費者物価指数(前年比)前回:61.36%、市場予想:62.0%
16時00分、生産者物価指数(前月比)、前回:1.94%
16時00分、生産者物価指数(前月比)、前回:39.39%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、引き続き下値模索の展開となり、大台の5.0円台割れを試す展開となりそうだ。日本と主要通貨間の金利差を利用した円キャリートレードの巻き戻しに伴う円買いなどトルコリラ売りを誘発しそうな外部環境が、トルコリラ売りの背景にある。
早期の利下げ観測が高まっていることから、ドルインデックスが下落するなど、ドルが主要通貨に対して弱い動きを示している。本来なら、「ドル売り・トルコリラ買い」のフローが強まってもおかしくはないが、「ドル売り・円買い」に伴う円買いに押され、トルコリラもドルに連れ安となる可能性は高い。
一方、4日に発表される消費者物価指数(前年比)は、市場予想が同62.0%上昇と前月の61.36%比ではほぼ横ばい見通しであるが、インフレ鎮静化の兆しは見られない。インフレ退治のために政策金利を引き続き5.0%刻みで上げる可能性がまだ残っていることから、4日の消費者物価指数の数値は注目されよう。
もっとも市場予想を上回る消費者物価指数となったとしても、トルコ一国での経済情勢より円キャリートレードの解消の流れにトルコリラは巻き込まれそうだ。今週は外部環境を考慮すると、5.0円台割れとなる公算は大きい。そして、大台が変わったタイミングでは「見切り売り」も入りやすい。
仮に大台割れのタイミングで「長い下影(下ヒゲ)」を残した場合、短期的なリバウンド狙いのトルコリラ買いは入れやすい。ただ、6.0円の大台を割り込んだ6月は文字通り「短期的なリバウンド」に留まり10営業日後に陰線連発で急落したことから、明確な下落トレンドが発生しているうちは、トレンドに逆らわないほうがいい。
トルコリラ月足
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