トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻したが、高インフレ続きドル高リラ安基調変わらず(23/12/5)

トルコリラ円の12月4日は概ね5.10円から5.03円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.09円で先週末終値の5.08円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻したが、高インフレ続きドル高リラ安基調変わらず(23/12/5)

ドル円の反発で戻したが、高インフレ続きドル高リラ安基調変わらず

〇トルコ円、12/4午前序盤に5.03まで急落したが、12/5未明にドル円が反発したところで5.10まで戻す
〇対ドル、12/4は概ね29.05から28.65の取引レンジ、取引時間中・終値ベースでも史上最安値を更新
〇昨日発表のトルコ11月CPIは市場予想を下回るも伸びが加速
〇5.11以下での推移中は一段安余地あり、5.07割れからは5.05、5.03を順次試して行く下落を想定する
〇5.11超えからは、5.13前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月4日は概ね5.10円から5.03円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.09円で先週末終値の5.08円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調の継続により8月24日以降はドル円の反発に合わせて戻しても右肩下がりの展開が続いてきた。12月4日は午前序盤に対ドルでトルコリラが史上最安値を更新したこととドル円が146.22円へ一段安して11月13日夜高値151.90円以降の安値を更新した局面で5.03円まで一時的に急落したが、その後はドル/トルコリラが最安値近辺に張り付いて小動きとなり、ドル円が12月5日未明に147.44円まで反発したところで5.10円まで戻した。
トルコリラ円は7月18日の5.08円を割り込んで史上最安値を更新しており、対ドルでトルコリラの史上最安値更新も収まらない中にあり、ドル円も11月13日以降の下落基調の範囲でやや戻した程度の動きに留まっているため、戻り高値を切り下げながら安値試しを繰り返しやすい状況にあると思われる。

【対ドルでは取引時間中の史上最安値更新が続く】

ドル/トルコリラの12月4日は概ね29.05リラから28.65リラの取引レンジ、5日早朝の終値は28.93リラで先週末終値の28.89リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
先週までは8月最終週から14週連続のドル高リラ安となり、9月第4週からは11週連続で史上最安値更新を続けてきたが、週明けの12月4日も29.05リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも11月28日終値28.89リラを超えて史上最安値を更新した。
12月4日はトルコの11月消費者物価指数の発表があり市場予想を下回ったものの10月から伸びが加速して61.98%となるなど、高インフレが収まらない状況だ。年末まではインフレ高進が続いてピークアウトすればトルコ中銀の利上げサイクルも終了して政策金利の40%に対する実質大幅マイナス金利状態が改善されてトルコリラの弱気環境も改善されるのではないかとの期待感も散見されるが、ドル高リラ安基調は大きなブレを見せず、年末には1ドル30リラへ向かうとの衆目の予想に近い展開を続けている。

【トルコ11月CPIは61.98%】

12月4日にトルコ統計局が発表した11月のCPI(消費者物価指数)は前月比3.28%となり10月の3.43%から若干鈍化して市場予想の3.90%を下回ったが、前年同月比は61.98%となり市場予想の63.00%を下回ったものの10月の61.36%から伸びが加速した。
食料品やエネルギーを除いたコアCPIは前月比2.0%上昇で10月の3.7%から鈍化したものの、前年同月比が69.9%で10月の69.8%を上回った。
PPI(生産者物価指数)は前月比2.81%上昇で10月の1.94%から伸びが再び加速し、前年同月比は42.25%で10月の39.39%から上昇した。

トルコ中銀は6月にエルカン新総裁体制となってから6会合連続の利上げで政策金利の週間レポレートを8.5%から40.0%まで引き上げてきたが、いまだインフレ鎮静化には成功していない。米国のインフレ率が鈍化傾向を示すなど、世界的なインフレの高進は収まりつつあるものの、トルコはリラの史上最安値更新が続く中で通貨インフレの悪循環に陥っており、世界規模のインフレ鎮静化に加えてリラ高への転換がなければトルコの高インフレは収まらない構造となっている。
CPI上昇率ではホテル・レストラン部門が92.86%、保健が82.13%、教育が81.49%と極めて高い上昇率となっている。生産者物価指数の再上昇気配も先行きのインフレ高進への懸念を示している。

イスタンブールの11月小売価格指数は前月比3.79%上昇(10月は3.69%)、前年比は73.89%(10月は72.73%)、WPI(卸売物価指数)は11月の前月比が2.94%上昇、前年同月比は65.01%上昇だった。
トルコでは統計局による公式のインフレ率は実勢を反映せずに低く抑えられているとされ、トルコのENAは実勢調査としてのインフレ率=E−CPIを公表しているが、11月のインフレ率を前月比5.58%上昇(10月は5.09%、9月は6.24%)、前年同月比を129.27%(10月は126.18%、9月は130.13%)としている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月2日未明に弱気転換目安とした5.10円を割り込み4日午前には一時5.03円まで下げたため、12月4日午前時点では11月30日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日午前から7日午前にかけての間への下落を想定した。
12月4日午前安値から持ち直して5.10円まで戻しているのでボトム形成期を短縮して強気サイクル入りしている可能性も考えられるため、5.07円割れからは下げ再開と一段安を警戒するが、5.11円超えからは強気転換注意として5.13円前後への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月5日未明への反発で遅行スパンが好転し、先行スパンからも上抜けつつあるので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月5日未明に60ポイントに迫っているので、45ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.07円を下値支持線、5.11円を上値抵抗線とする。
(2)5.11円以下での推移中は一段安余地ありとし、5.07円割れからは5.05円、5.03円を順次試して行く下落を想定する。5.03円以下は反発注意とするが、5.07円以下での推移なら6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.11円超えからは5.13円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とし、5.08円割れからは下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

12月7日
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 グロス (11月25日時点 910億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 ネット (11月25日時点 358.1億ドル)
 23:30 11月 財務省現金残 (-822.47億りら)
12月11日
 16:00 10月 鉱工業生産 前年比 (9月 -0.1%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.0%)
 16:00 10月 失業率 (9月 9.1%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 18.76億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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