13日のCPIに注目、短期リバウンド狙えるか
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、週後半にかけて下げ幅を広げ、一時3カ月ぶりの水準となる7.56円台まで下落する弱い地合いとなった。
5日に発表された7−9月期GDP(前年比)が、前年同期比−0.7%と市場予想(同−0.2%)より悪化したほか、7日のBER消費者信頼感も−17と市場予想(−16)を下回った。こうしたさえない国内経済指標の結果に、日銀総裁と副総裁のコメントを受けての円キャリートレード解消の急速な動きも加わり、ランドは8月15日以来の水準まで下落した。
テクニカルでも、ボリンジャーバンドの拡大する−2σに沿った「バンド・ウォーク」が示現しており、下へのバイアスが強まっている。一方、7日の乱高下の際、長い下影(下ヒゲ)を残したことから短期的な急落局面は回避されるとの見方もできよう。
ランド・円(東京時間:12月4日―12月8日)
※Investing.comの日足を参照
始値:7.8558円
高値:7.8845円
安値:7.5605円
終値:7.6474円
【今週の重要指標】※時間は東京時間
12月12日
20時00分、10月の製造業生産(前月比)、前回:−0.5%、市場予想:0.3%
20時00分、10月の製造業生産(前年比)、前回:−4.3%、市場予想:1.9%
12月13日
17時00分、11月の消費者物価指数(前月比)、前回:0.9%、市場予想:−0.2%
17時00分、11月の消費者物価指数(前年比)、前回:5.9%、市場予想:5.4%
17時00分、11月の消費者物価指数(コア)(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.1%
17時00分、11月の消費者物価指数(コア)(前年比)、前回:4.4%、市場予想:4.4%
20時00分、10月の小売売上高(前年比)、前回:0.9%、市場予想:0.9%
20時00分、10月の小売売上高(前月比)、前回:0.1%、市場予想
12月14日
18時30分、7−9月期非農業部門雇用者数(前期比)、前回:0.4%
18時30分、7−9月期非農業部門雇用者数(前年比)、前回:1.0%
18時30分、11月の生産者物価指数(前年比)、前回:5.8%、市場予想:5.1%
18時30分、11月の生産者物価指数(前月比)、前回:1.0%、市場予想:−0.1%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、13日に発表される消費者物価指数に関心が集まる週となる。
10月の消費者物価指数(CPI)(前年比)は、同5.9%増と5月の水準に接近したが、5か月連続で前年比6.0%台を下回った。13日に発表されるCPIの市場予想は同5.4%増と前月比0.5%減が見込まれている。市場予想通りの結果となった際は、「インフレの落着き」を受けて、南アフリカ中銀による早期利下げ観測が強まろう。つまり、CPIが市場予想通りの内容だった際、ランド下押し圧力が強まる可能性が高いという状況である。
一方、円キャリートレードの解消に伴う乱高下は先週一巡したように見える。今週は12−13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えているが、市場は既に2024年の5回程度の利下げを見込むなど準備万端といった状況だ。ドットチャートの大幅下方修正等が出ても「コンセンサス通り」と理解し市場の急変動は回避されると考える。
ただ、テクニカル面でみると、7日に下影が示現したことから短期的な一服感は意識されやすい。3カ月前の水準までランドが調整したことも「往って来い」をイメージしやすく、リバウンド狙いの買いは入る可能性がある。その際のメドは100日移動平均線(MA)が位置する7.85円水準が意識されよう。
なお、国営電力会社エスコムの経営不振に対する抜本的な改善が進まない限りは、国内の電力不足は進まない。重要な電力問題が解消されない限り、南アフリカ経済の安定は難しく、ランドの重しとなる。一方、ほぼ100%輸入エネルギーで賄っている南アフリカにとって、原油価格の落着きはランドの下支え要因となっていることで、原油価格の動向も気にしておきたい。
南アフリカランド円日足
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