トルコリラ円見通し ドル円の急落で5円の大台を割り込み史上最安値更新(23/12/8)

トルコリラ円の12月7日は概ね5.10円から4.90円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.98円で前日終値の5.10円からは0.12円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の急落で5円の大台を割り込み史上最安値更新(23/12/8)

トルコリラ円見通し ドル円の急落で5円の大台を割り込み史上最安値更新

〇トルコ円、12/7午前序盤にかけては5.09挟みの揉み合いだったが、ドル円急落で売り注文の連鎖反応
〇12/8未明には4.90まで暴落的な下げに見舞われる、その後4.99まで戻して暴落商状一服
〇ドル円が日銀総裁答弁と首相会談報道から急落、トルコリラは円高とリラ安の競合による下落基調続く
〇対ドル、12/7は概ね28.94から28.71の取引レンジ、安値更新は回避しているが高値は切り下がる
〇外貨準備高の週次のグロスは932.3億ドルへ拡大、2017年11月以来の高水準
〇4.94を上回るうちは上昇余地ありとし、5.00超えからは5.02前後への上昇を想定する
〇4.94割れからは、4.90、4.85を順次試して行く下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月7日は概ね5.10円から4.90円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.98円で前日終値の5.10円からは0.12円の円高リラ安だった。

12月7日に日銀の植田総裁が参院での国会答弁において金融緩和政策の出口戦略について「年末から来年にかけてはチャレンジング」と発言、その後に岸田首相との会談で出口戦略への基本的な考え方を説明したと報じられたため、ドル円は7日午前序盤の147円台から急落し、午後には12月4日安値146.22円を割り込んで11月13日夜高値151.90円以降の安値を更新、底割れによる売り注文の連鎖で8日未明には141.67円まで暴落的な下げに見舞われた。8日早朝にかけては狼狽的な売り一巡で144円台へ戻しているが、日銀の金融政策修正への動きが前のめりとなり始めたのではないかとの思惑が急激に高まったことでクロス円は全面安となった。

トルコリラ円は12月4日に対ドルでのリラ最安値更新とドル円の146円台序盤への急落により安値で5.03円を付けて、7月18日の5.08円を割り込んで史上最安値を更新したが、その後はドル円が買い戻されたことで12月6日午前には5.11円まで戻していた。
12月7日午前序盤にかけては5.09円を挟んだ揉み合いで上げ渋りの様相だったが、ドル円が急落し始めたことで12月4日安値5.03円を割り込むと売り注文の連鎖反応で8日未明には4.90円まで暴落的な下げに見舞われた。
12月8日午前はドル円の反騰に合わせて4.99円まで戻して暴落商状が一服したが、ドル円は144円台を維持できずに失速しているのでまだ安値試しが続きやすい状況と思われる。

【円高とリラ安の競合による下落基調続く】

トルコリラ円は8月24日にトルコ中銀が市場予想の3倍となる7.5%の追加利上げを決定したことで8月24日高値5.77円へ上昇したが、リラ買いは当日で一巡して8月25日からは下落が再開した。対ドルでのリラ安が継続する中、ドル円も11月13日高値で151.90円を付けて昨年10月21日高値151.4円にほぼ並んだところでダブルトップを形成して下落に転じたため、トルコリラ円はドル円が下げ一服で戻す場面で反発しながらも戻り高値を切り下げる右肩下がりの下降トレンドを形成してきた。
日銀が金融緩和政策からの出口へ向かいマイナス金利解除へ動き始めたとの印象が強まったことは、米FRBによる利上げ打ち止めと来年春の利下げ期待が強まっていることと対照的となり、日米金利差縮小により円高基調がさらに続く可能性が出てきた。

トルコリラについてはムーディーズによる格付け見通しの上方修正など、金融政策正常化が続いていることで先行きの経済成長を見込む期待感も徐々に強まっているところだが、インフレ率が60%を超えている状況で政策金利が40%まで引き上げられてもまだ大幅な実質マイナス金利状態であり、市場のコンセンサスとなっている今年の年末で1ドル30リラへ向かうとの見方が大勢であることは変わらない。
トルコリラ円としては12月8日未明にかけてのドル円の急落が過剰反応だったとして元の水準に戻るなら、ドル/トルコリラにおけるリラの反発次第では史上最安値からの上昇期入りへ進む可能性も浮上するだろうが、円高傾向が収まらず、ドル高リラ安も終わらないとすれば、年末にかけてさらに史上最安値を更新してゆく流れを続けかねないと思われる。

【対ドルでは3日続けて最安値更新を回避、リラ安基調は継続】

ドル/トルコリラの12月7日は概ね28.94リラから28.71リラの取引レンジ、8日早朝の終値は28.92リラで前日終値の28.87リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
12月4日に取引時間中の史上最安値を29.05リラへ伸ばし、終値の28.93リラも終値ベースとしての史上最安値となったが、その後は新たな最安値更新を回避しており、リラ安の加速度はやや減速している印象があるものの、28リラ台後半では繰り返し売られて史上最安値近辺にとどまっており、8月24日高値以降のリラ安基調は継続している印象だ。
12月8日午前序盤は28.92リラから28.83リラのレンジで推移しており、安値更新は回避しているものの高値は切り下がっており、最安値更新へ進みやすい位置取りとなっている。

【外貨準備高 週次のグロスは932.3億ドルへ拡大】

12月7日に発表されたトルコ中銀の週次外貨準備高は12月1日時点のグロスで932.3億ドルとなり11月25日時点の910億ドルから増加して、2017年11月以来の高水準となった。今年5月後半に565.2億ドルまで減少したところから順調に回復していることでムーディーズの格付け見通し改善にも貢献している。
ネットでは347.8億ドルとなり11月25日時点の358.1億ドルから若干減少したものの、6月序盤にマイナス57億ドルまで減少したところからの挽回を継続している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、12月6日午前序盤に一時5.11円まで戻したため、6日午前時点では4日午前安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて4日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、サイクルトップ形成期を6日午前から7日深夜にかけての間と想定した。
12月8日未明への大幅下落で4日午前安値を割り込んで4.90円まで下げたが、その後の反騰で4.99円まで戻したため、8日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日午前から13日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、波乱注意が続くとみて4.94円割れからは弱気転換注意として8日未明安値4.90円試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして13日未明から15日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8日未明への大幅下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試すとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。上昇が本格化するには先行スパンを上抜いてさらに続騰する勢いが欲しいところだ。

60分足の相対力指数は8日未明に10ポイント台へ低下してから戻したものの40ポイントには届かずにいる。40ポイント超えからは50ポイント台を目指す上昇を想定するが、30ポイント割れからは下げ再開とみて10ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.94円を下値支持線、5.00円を上値抵抗線とする。
(2)4.94円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.00円超えからは5.02円前後への上昇を想定する。5.02円以上は反落注意とするが、5.00円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.94円割れからは4.90円、4.85円を順次試して行く下落を想定する。4.85円以下は反騰注意とするが、4.94円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月11日
 16:00 10月 鉱工業生産 前年比 (9月 -0.1%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.0%)
 16:00 10月 失業率 (9月 9.1%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 18.76億ドル)
12月13日
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.7%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 13.8%)
12月14日
 20:30 週次 外貨準備高 12月8日時点 グロス (12月1日時点 932.3億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月8日時点 ネット (12月1日時点 347.8億ドル)
12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -954.6億リラ)

12月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0%)


注:ポイント要約は編集部

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