トルコリラ円見通し ドル円とともに下げ渋りの揉み合い、対ドルでの最安値更新は回避中(23/12/7)

トルコリラ円の12月6日は概ね5.11円から5.08円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.10円で前日終値の5.08円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円とともに下げ渋りの揉み合い、対ドルでの最安値更新は回避中(23/12/7)

ドル円とともに下げ渋りの揉み合い、対ドルでの最安値更新は回避中

〇トルコ円、ドル円が146円割れ回避から持ち直したことに合わせ戻りを試す
〇ドル円の下げ渋りを受け、5.10を超えるところでは上値が抑えられ持ち合いの様相
〇目先はドル円を見ながら持ち合いを続けつつ、週末の米雇用統計反応を見定めたい状況
〇対ドル、12/7午前序盤は28.93から28.82のレンジで推移、最安値近辺の水準を維持
〇リラ安の加速度はやや鈍っている印象もあるが、リラ安基調は継続
〇大手格付け会社S&P、金融・経済政策の正常化継続を評価、トルコ格付け見通しを「ポジティブ」に
〇5.07上回るうちは上昇余地ありとし、5.11超えからは5.13前後への上昇を想定
〇5.07割れからは5.05、5.03を順次試して行く下落を想定

【概況】

トルコリラ円の12月6日は概ね5.11円から5.08円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.10円で前日終値の5.08円からは0.02円の円安リラ高だった。
8月終盤からのドル高リラ安の継続と11月13日からドル円が下落に転じたことにより、トルコリラ円は8月24日高値5.77円を起点として右肩下がりの下降トレンドで推移し、12月4日には対ドルでリラが最安値を更新し、ドル円が146円台序盤へ一段安したために5.03円を付けて史上最安値を更新した。
12月5日からは対ドルでのリラ最安値更新が回避され、ドル円が146円割れ回避から持ち直したことに合わせてトルコリラ円は戻りを試しているところだが、ドル円が147円を挟んだ揉み合いで147.50円超えへ進めずに下げ渋りにとどまっているため、トルコリラ円も5.10円を超えるところでは上値が抑えられて持ち合いの様相となっている。
ドル円が下落再開から一段安へ進み、対ドルでリラが史上最安値更新に入ればトルコリラ円も持ち合い下放れから史上最安値更新へ進みかねないところだが、目先はドル円を見ながら持ち合いを続けつつ、週末の米雇用統計反応を見定めたい状況と思われる。

【対ドルでは2日続けて最安値更新を回避、リラ安基調は継続】

ドル/トルコリラの12月6日は概ね28.95リラから28.69リラの取引レンジ、7日早朝の終値は28.87リラで前日終値と変わらなかった。
8月25日からドル高リラ安が再開して先週までは14週連続のドル高リラ安となり、9月第4週からは11週連続で史上最安値更新を続け、今週も12月4日に29.05リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも28.93リラへ最安値を更新したが、5日、6日と取引時間中及び終値ベースでの最安値更新は見送られており、リラ安の加速度はやや鈍っている印象もある。
しかし、日足レベルのトレンドを示す26日移動平均はドル高リラ安基調を継続している。同線は12月7日朝時点で28.68リラ近辺にあるが、11月17日以降は取引時間中の高値で同線を繰り返し試しているものの、試した後は再びドル高リラ安へと切り返されて強固な抵抗線を形成している。
12月7日午前序盤は28.93リラから28.82リラのレンジで推移し、最安値近辺の水準を維持している。

【S&Pがトルコ格付け見通しを「ポジティブ」に】

大手格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は11月30日にトルコの信用格付けを「B]で据え置いたが、今後の見通しを「ポジティブ」に引き上げた。エルドアン大統領再選後に金融・経済政策の正常化が続いていることを評価した。S&Pは9月29日にトルコの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げていたが、今回はさらに見通しを引き上げたことで将来の格付け引き上げの可能性を強めたと思われる。
12月5日に、S&Pの担当者は7−9月期のトルコGDPが前年同期比で4-6月期の3.9%から5.9%へ改善したことも踏まえ、「全体として、正統な金融政策の実施、経済のリバランス、国内貯蓄の増加、消費の減速、輸入の減少が経済に恩恵をもたらし始めている兆候がある」と指摘した。また、「国際収支の改善、国内貯蓄の増加、トルコリラの上昇、外貨準備の増加」が顕著に改善すれば格付けを引き上げる可能性があるとした。
外貨準備高は順調に増加している。あとはインフレの鎮静化による実質マイナス金利状態の解消、経常収支の改善がもう一歩進むことが必要と思われるが、いずれも難しい課題だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月30日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、12月4日午前安値から持ち直して6日午前序盤に一時5.11円まで戻したため、6日午前時点では4日午前安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて4日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。サイクルトップ形成期は6日午前から7日深夜にかけての間とした。
12月6日午前高値の後は伸びずに持ち合いの様相のためまだ上昇余地が残るが、すでに反落注意期として5.07円割れからは弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5.10円前後を抵抗とした持ち合いの様相のため方向感に欠ける。5.11円を超えるところからは上昇が勢い付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5.07円割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い推移のため50ポイントを挟んで60ポイント弱から40ポイント前後までのレンジで推移して方向感に欠ける。60ポイント超えからは70ポイントに迫る上昇を想定するが、次に40ポイントを割り込むところからは下落再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.07円を下値支持線、5.11円を上値抵抗線とする。
(2)5.07円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.11円超えからは5.13円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とし、5.07円割れからは下げ再開と考える。
(3)5.07円割れからは5.05円、5.03円を順次試して行く下落を想定する。5.03円以下は反発注意とするが、5.07円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月7日
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 グロス (11月25日時点 910億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12月1日時点 ネット (11月25日時点 358.1億ドル)
 23:30 11月 財務省現金残 (-822.47億リラ)
12月11日
 16:00 10月 鉱工業生産 前年比 (9月 -0.1%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.0%)
 16:00 10月 失業率 (9月 9.1%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 18.76億ドル)
12月13日
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.7%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 13.8%)

12月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 政策金利 (現行 40.0%)


注:ポイント要約は編集部

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