ドル円見通し ドル高と円高が交錯、147円挟んだ揉み合い続く(23/12/7)

ドル円は147.50円手前を抵抗としつつやや底上げ気味の推移で147円を挟んだ揉み合いの様相となっている。

ドル円見通し ドル高と円高が交錯、147円挟んだ揉み合い続く(23/12/7)

ドル高と円高が交錯、147円挟んだ揉み合い続く

〇ドル円12/4午前に146.22へ下落後は下げ渋り、147円を挟んだ揉み合いの様相
〇ドルストレートでドル高優勢、クロス円ではドル高と円高の圧力が交錯しつつ相殺して乏しい値動きに
〇米ADP、JOLTS共に労働市場のひっ迫感後退示し、FRBの利上げ打ち止め期待強まる
〇12/5シュナーベル理事の発言きっかけにユーロドル下落が顕著
〇米10年債利回り低下、2年債は上昇、ダウは続落
〇146.56を上回るうちは上昇余地ありとし、147.50超えからは148円を目指す上昇を想定
〇146.56割れからは下落再開とみて12/4午前安値146.22試しとする

【概況】

ドル円は12月4日午前に146.22円へ下落して11月13日夜高値151.90円以降の最安値としたが、その後は下げ渋りとなり147.50円手前を抵抗としつつやや底上げ気味の推移で147円を挟んだ揉み合いの様相となっている。
12月6日夜のADP全米雇用報告における非農業部門就業者数が予想を下回り、5日の10月JOLTS求人件数の減少とともに労働市場のひっ迫感が後退していることは米FRBの利上げ打ち止めと来春の利下げ開始への期待を強めるものとして米10年債利回りが低下したが、一方ではECBによる利上げ停止と来春の利下げ期待も浮上して独10年債利回りが低下しており、為替市場ではドルストレートでドル高が優勢となり、クロス円では円高のためにドル円はドル高と円高の圧力が交錯しつつ相殺しているために値動きが乏しくなっている。

【ユーロドルが一段安、ドル指数の上昇続く】

12月5日に豪中銀が政策金利を4.35%で据え置いたが、6日はカナダ中銀が政策金利を3会合連続で5.00%に据え置いた。米国に続き主要国も利上げ打ち止めの様相だが、ECBも利上げ打ち止めから来春の利下げ期待が急速に浮上している。
12月5日にECBのシュナーベル専務理事が「追加利上げの可能性は低下した」と述べたことをきっかけにECBの利上げ終了感が拡大して独長期債利回りが低下、ユーロドルの下落が顕著となったが、早ければ来年3月に利下げする可能性があるとの見方から独10年債利回りが一時2.20%へ低下して10月4日の3.02%以降の最低となり、ユーロドルは1.0760ドルへ下落して11月29日高値1.1017ドル以降の安値を更新、10月3日安値1.0447ドルからの上昇幅に対する半値押しラインの1.0732ドルへ迫っている。11月半ばまではECBによる来年の利下げ期待はかなり低かったが、インフレ鈍化と景気減速感から利下げ期待が急浮上している印象だ。

ユーロ安につれてポンドドルも1.260ドル台序盤へ下落して11月29日高値1.2732ドル以降の安値を更新、豪ドル米ドルも5日の利上げ見送りによる売り一巡でいったん戻したものの6日夜に再び失速して6日安値割れへの余裕が乏しくなっている。メジャー通貨の加重平均であるドル指数は12月4日から3連騰で11月29日安値102.46からの高値を104.23へ伸ばしている。
ドルストレートでのドル高に対してクロス円では円高が進行している。ユーロ円は11月16日高値164.30円からの下落を継続して159円を割り込み、ポンド円も11月24日高値188.67円からの下落継続で185円を割り込み、豪ドル円も一時戻したものの失速して11月16日以降の下落基調を続けている。
暫くはドル高と円高が交錯する状況だが、ドル円としては日米金利差の縮小傾向が続くならば11月13日高値を起点とした下落基調を続けやすい局面と考え、12月4日安値146.22円を割り込むところからは下げ足も速まる可能性があると注意したい。

【ADP民間雇用は予想を下回る】

米民間雇用サービス会社ADPによる11月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比10万3000人増となり市場予想の13万人増を下回った。10月分は速報の11万3000人増から10万6000人増へ下方修正された。在職者賃金は前年比5.6%上昇で2021年9月以降で最低の伸び率となり、転職者賃金も前年比8.3%上昇で2021年6月以来最低の伸び率となった。
12月8日には米労働省の11月雇用統計があり、市場の事前予想では非農業部門雇用者数は10月の15.0万人増から19万人増となる見込みだが、予想を下回る場合は米国の利上げ終了と来春の利下げ期待を助長するきっかけとなるのではないかと思われる。

米商務省による10月の貿易赤字は前月比5.1%増の642億5500万ドルとなり9月の612億ドルを上まわり2か月連続で拡大した。輸入は0.2%増だったが輸出が1.0%減となり景気鈍化への懸念を示した。

【米10年債利回り低下、2年債は上昇、ダウは続落】

12月6日の米長期債利回りはまちまちの動き。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.06%低下の4.11%となり一時4.10%をつけて10月23日の5.02%以降の最低を更新した。先週は週初から週末にかけて低下、今週は4日に小反発したが5日から6日へと続落で下げ足が再び速まっている。利下げ期待が増長していることが背景だ。
30年債利回りは前日比0.08%低下の4.22%となり一時4.21%をつけて10月23日の5.18%以降の最低を更新した。
2年債利回りは前日比0.02%上昇の4.60%だったが、10月19日の5.25%から12月1日の4.54%まで大幅低下した後は下げ渋りの揉み合いで、6日も4.62%へ上昇してから上げ幅を削っている。
米金利先物市場では来年3月の利下げ確率が6割近くとなっており、利下げ期待が急激に拡大している印象だ。

一方でNYダウは前日比70.13ドル安と下落、12月4日から3営業日続落であり、年初来高値更新まで上昇したことでの高値警戒感から利食いに圧されていることと、利下げ期待は高まっているものの景気減速への懸念も再認識されていることで売られている印象だ。ナスダック総合指数は4日の119.54ポイント安から5日に44.42ポイント高と戻したものの6日は83.20ポイント安と反落しており7月19日の年初来高値に迫った後は上げ渋りの様相だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月4日午前安値で目先の底を付けて戻りを試しているが、11月30日深夜高値を基準として目先の高値形成期は5日夜から7日深夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にある。12月2日午前安値146.22円から12月6日未明安値146.56円へ底上げしているため、やや右肩上がりの三角持ち合いの様相だが、6日未明安値146.56円割れからは支持線割れによる下落期入りとみて7日の日中から11日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では147.50円手前を抵抗とした持ち合いの様相のため、先行スパンを上抜いているものの勢いに欠ける。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落して続落し始める場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを中心に前後10ポイント弱のレンジで揉み合いのため、60ポイント超えからは上昇が勢い付くとみるが、40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月6日未明安値146.56円を下値支持線、147.50円を上値抵抗線とする。
(2)146.56円を上回るうちは上昇余地ありとし、147.50円超えからは148円を目指す上昇を想定する。148円前後は反落警戒とするが、147円台を維持しての推移なら8日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146.56円割れからは下落再開とみて12月4日午前安値146.22円試しとし、底割れからは145円台後半(145.85円から145.50円)への下落を想定する。146円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、146.56円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

12/7(木)
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 565.3億ドル、予想 580.0億ドル)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI・速報値 (9月 108.9、予想 108.2)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI・速報値 (9月 114.7、予想 114.9)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.4%、予想 0.2%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -3.7%、予想 -3.0%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 -0.1%、予想 -0.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 22.2万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 192.7万人、予想 191.0万人)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 2.2%、予想 1.0%)
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 90.6億ドル、予想 90.0億ドル)

12/8(金)
休場 コロンビア、フィリピン
06:45 (NZ) 7-9月期 製造業売上高 前期比 (4−6月 0.2%)
08:30 (日) 10月 全世帯消費支出 前年同月比 (9月 -2.8%、予想 -2.9%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP・改定値 前期比 (速報 -0.5%、予想 -0.5%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP・改定値 年率換算 (速報 -2.1%、予想 -1.9%)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調前 (9月 2兆7236億円、予想 1兆7852億円)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調済 (9月 2兆109億円、予想 1兆8582億円)
08:50 (日) 10月 貿易収支・国際収支ベース (9月 3412億円、予想 -3797億円)

14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー現状判断DI (10月 49.5、予想 49.0)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー先行判断DI (10月 48.4、予想 48.1)
16:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 -0.4%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 3.2%、予想 3.2%)
22:30 (米) 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 15.0万人、予想 19.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率 (10月 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比 (10月 4.1%、予想 4.0%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (11月 61.3、予想 62.0)



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る