自律反転で調整局面入り、当面は戻り売り
〇ドル円、先週初昨年高値151.94まであと3銭にせまるも超えられず
〇その後は米CPI不冴え等に米長期金利が低下に転じドル安の流れへ、週末一時149.19の安値つける
〇先週の円高、短期的に円売りポジションが膨らみ、昨年高値上抜けを期待し過ぎたことによる反動
〇FRB関係者に今後ハト派発言が増えていくことも予想され、ドル円の高値更新には新たな材料が必要か
〇今週は147.80レベルをサポートに149.90レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は週初に151.91レベルと昨年高値151.94レベルまであと3銭という水準に迫ったものの、介入警戒感もあって誰も試せないでいるうちに、火曜の米国CPIが予想よりも弱かったことをきっかけに金利低下、ドル安の流れへと舵を切りました。翌日以降も米金利は上値が抑えられる展開が続き、金曜にはそれまで下抜け出来なかった水準をトライしたことからドル円もストップを巻き込みながら下落、11月3日以来の水準へ下押しする動きとなりました。
ドル円は絶対的な日米金利差があるため、イベントが経過すればドル買いという動きを繰り返してきたこともあって、全般に円売りポジションが増えていたと考えられます。投機筋の動向もシカゴ通貨先物の円売りポジションを見ると、14日時点で13万枚を超える円売りポジションとなっていて、これは2017年以来の大きな円売りとなっていました。
こうした中で米国CPIが総合、コアとも前年、前月比で予想よりも弱かったことがポジション調整の大きなきっかけとなり、金曜には149円台前半と11月の安値圏に並ぶ値動きを見せたこととなります。最近では米金利と円相場との相関が低く直近では一時期負の相関になっていたこともあり、先週のCPIをきっかけに再び米金利と円相場との相関が正の相関へと戻っていく動きになってきたように思います。ただ、先週の円高の動きは明確に、個人投資家も投機筋も短期的に円売りポジションが膨らみ、昨年高値上抜けを期待し過ぎたことによる反動と見てよいでしょう。
FRB関係者の発言はタカ派、ハト派、ミックスしている状況ですが、最近の経済指標とそれを受けての長期金利低下の動きを見ていると、今後ハト派発言が増えていくことも予想され、昨年高値更新には新たな材料が必要という流れになってきました。
テクニカルにも変調が見られますので日足チャートをご覧ください。
これまでの平行チャンネル(青)内での動きを先週末には下抜け、週明けも一段とドル売りが強まる流れになってきました。148円台半ば、148円とここからは50銭刻みでドル買いが出てきそうではありますが、テクニカルに最初の水準は148.15レベルで、これは10月3日の介入っぽい円急騰時の安値を除くと10月の安値となった水準です。
ただ同水準まではもう1円もありませんので、もしその水準を下抜けると10月3日安値の147.35レベルも視野に入れる展開となっていくでしょう。ただ今週中にそこまでの下げは新たな材料が無いと難しいと思いますので、148円割れ程度を下値の目途としておくとよさそうです。上値は既に月曜早朝の戻しで見たと思いますので、今週は147.80レベルをサポートに149.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月20日(月)
16:00 ドイツ10月PPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設生産高
22:00 スペイン中銀総裁講演
24:00 米国10月景気先行指数
27:45 英中銀総裁講演 ☆
28:00 フランス中銀総裁講演 ☆
30:45 NZ10月貿易収支
11月21日(火)
08:00 豪中銀総裁講演
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
19:00 南ア10〜12月期企業信頼感
24:00 米国10月中古住宅販売 ☆
25:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:15 シュナーベルECB理事講演
28:00 FOMC議事録公表 ☆
11月22日(水)
17:00 南ア10月CPI
22:30 米国新規失業保険申請数
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感
24:30 週間原油在庫統計
11月23日(木)
**:** 東京、NY市場休場
16:45 フランス11月企業景況感
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
**:** 南ア中銀政策金利発表
30:45 NZ7〜9月期小売売上高
11月24日(金)
08:30 本邦10月CPI ☆
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
18:00 ドイツ11月企業景況感
19:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:45 米国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
**:** 米国取引所短縮取引
11月26日(日)
**:** OPECプラス閣僚級会合
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月13日(月)
週明けのドル円は早朝から円安相場が続きじりじりと水準を上げていきました。NY市場前場には米金利上昇もあり昨年高値に迫る151.91レベルの高値をつけましたが、介入警戒感もある中で大口の売りがストップを巻き込み一時151.20レベルの安値をつけました。しかし動きが落ち着くと改めて円売りの動きとなり、引けは151.72レベルまで値を戻しました。
11月14日(火)
注目の米国CPIを前にドル円はNY市場まで151.70レベルをもみあいの中心として狭い値幅での取引が続きました。CPIは総合、コアともにまた前年比、前月比も予想よりも弱かったことから米金利が急低下、10年債利回りは4.43%台まで水準を下げ、ドル円も151円割れ。その後もユーロドルを中心にドル売りの流れが止まらず、一時150.15レベルの安値をつけ引けにかけては若干戻して引けました。
11月15日(水)
前日の米国CPI後の下げに対してドル円は買い戻しが先行してのスタートとなったものの150円台半ばから上では戻り売りも根強く、海外市場に移ってからは改めてドル売りの流れに。NY市場に入り発表されたPPIが予想より弱く150.04レベルと前日安値を下回ったものの150円の大台は試せず、その他発表された経済指標は予想よりも強かったことを受け、米金利が上昇。その動きに沿ってドル円も買われると、日計りのストップも巻き込みながら151.42レベルまで上昇後、高値圏での引けとなりました。
11月16日(木)
NY市場が始まるまでは151円台前半の狭いレンジで方向感がはっきりしない展開が続きました。NY市場に発表された経済指標が軒並み弱く、米金利が4.43%台まで低下する動きとともにドル円も150.29レベルの安値をつけました。引けにかけては金利が下げ止まったことやドル円の大台トライができなかったこともあって150円台後半へと戻しました。
11月17日(金)
ドル円は東京市場では小動きだったものの欧州市場に入り急速に米金利が低下する動きとともにストップオーダーも巻き込みながら150円の大台割れの動きとなりました。NY市場が始まる前には149.19レベルの安値をつけましたが引けにかけては149円台半ばへと戻しました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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