上昇チャンネルを上抜け1.10の大台を視野
〇先週のユーロドル、弱い米CPIきっかけに大幅高、週末には8/31以来の1.09台乗せ
〇ユーロ円もユーロ高の動きをストレートに反映。週央に164.31レベル示現、2008年8月以来の164円台
〇今週の材料はECB関係者発言とPMI速報値。速報値が予想上回れば一段高、弱ければ押し目買いの場に
〇テクニカルには7月高値と10月安値の61.8%戻し1.0959レベルがターゲット、大台1.10も視野
〇今週は1.0800レベルをサポートに、大台1.1000レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは弱い米国CPIをきっかけに大幅高となり、その後も底堅い動きを続け、週末には米金利が一段と低下する動きとともに8月31日以来の1.09台乗せを見ることとなりました。ユーロ円も円安ではなくユーロ高の動きをストレートに反映し、木曜に164.31レベルと2008年8月以来の164円台を見ています。ユーロドルのレンジは今年に入ってから狭いことが多かったので、先週の値幅は今年に入ってから3番目に大きい値幅となっていました。
ユーロドルは米ドルの材料として米金利低下、ユーロの材料としては景気の悪化などはある程度織り込み済みといったことで、何かきっかけがあれば一段高が見込めそうな地合いではありましたが、CPIをきっかけにテクニカルにも月間高値、9月高値と上抜けた動きも大きかったかと思います。これまでの上昇チャンネルを上抜けてきたことで、テクニカルにも強い地合いが続きそうです。こちらは後ほど確認します。
今週はECB関係者の発言とPMI速報値がユーロ関連の材料となりますが、PMI速報値が予想よりも強いようであれば一段高となるでしょうし、多少弱い場合は押し目買いの買い場を提供する動きになるのではないかと見られます。また金曜にはムーディーズがイタリアの格付け見通しをネガティブから安定的へと引き上げたこともユーロにとっては好材料となっています。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
10月安値からの平行上昇チャンネル内の動きから跳ね上がり、7月高値と10月安値の半値戻しも上抜け、61.8%戻しの1.0959レベルをターゲットとする流れにあることがわかります。同水準の手前には8月末の戻り高値があり、ここをも上抜ける動きになるようだと、大台1.10を視野に入れる動きにもなってきそうです。
ユーロだけでなくドル円でもドル売りの動きとなっていることを考えると、ユーロドルもターゲットを上抜け1.10の大台を狙う動きは十分にあり得る流れです。また下値は上抜けたチャンネル上限がサポートとなってきますので、1.07台後半から1.08水準をサポートにしやすいと見ています。
こうした点から、今週は1.0800レベルをサポートに、大台1.1000レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見てみます。
先週月足で見たターゲットは、2012年安値を起点にする上昇N波動では166.49となっていることから大台の165円と166円台半ばをターゲットとしやすい展開を考えましたが、先週はドル円とともにユーロ円が下げる動きが見られ、更なる上昇は当面お預けとなりました。
ここからの動きを考えると、10月3日の介入かと思われた動きの中でつけた安値と先週高値との押しを考えることとなります。その場合23.6%押しはほぼ達成していますので、38.2%押しとなる160.50レベルが次のターゲットとなります。現在の水準からはかなり遠い印象ではあるものの、ユーロに遅れてドル円でのドル売りが強まっての週明け相場となっていることを考えると161円割れという水準は参考にしてもよさそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月20日(月)
16:00 ドイツ10月PPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設業生産高
22:00 スペイン中銀総裁講演
27:45 英中銀総裁講演 ☆
28:00 フランス中銀総裁講演 ☆
11月21日(火)
25:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:15 シュナーベルECB理事講演
11月22日(水)
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
11月23日(木)
16:45 フランス11月企業景況感
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
11月24日(金)
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
18:00 ドイツ11月企業景況感
19:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月13日(月)
ユーロドルはドル円とともにユーロ円の買いが出ていたことからNY市場まではじり高、NY朝方に米金利が上昇する動きによるユーロ売り(ドル買い)により1.0665レベルの安値をつけました。その後はすぐに切り返し、改めてドル円とともにユーロ円にも買いが入ったことで1.0706レベルまで水準を上げ高値圏での引けとなりました。
11月14日(火)
ユーロドルはNY市場までは小動き、予想よりも弱い米国CPI発表をきっかけにユーロドルは大幅高となり、1.0888レベルまで上伸しました。ドル円の下げ以上にユーロドルの上昇がきつかったため、ユーロ円も163.81レベルまで高値を切り上げる動きを見せました。
11月15日(水)
ユーロドルは前日大幅高の翌日ということもあって、調整の売りが終日続きました。ドル円が上下する動きをよそに1.08台後半から前半へと下げた程度で、1日の値幅も54pipsに留まりました。
11月16日(木)
ユーロドルは低調な動きが続き、NY前場の一連の経済指標に反応した金利低下で1.0896レベルと週間高値は更新したものの後が続きませんでした。引けにかけて利食いが強まり買われる前の水準へ押して引けました。
11月17日(金)
ユーロドルは東京市場では全く動かず、欧州市場に入り米金利低下でドル円が下げた際にはユーロ円が連れ安となったことからユーロドルは若干押す動きとなりました。その後はユーロドルでもドル売りの動きが目立ち、引けにかけては1.0914レベルまで上昇後、高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.22
ドル円、下落後に反発するなど底堅い動き。上昇トレンドの継続を想定(11/22朝)
21日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。