上下とも限定的、若干底堅い展開
〇先週のドル円、FRB関係者が年内追加利上げに慎重姿勢示すも、148円台前半では押し目買いの流れ
〇150円の大台超えでの介入警戒感も強く、149円台後半では売りも出てくる展開
〇地政学的リスクと介入警戒感が円買い材料、日米金利差が円売り材料と今週も綱引き状態か
〇今週は148.50レベルをサポートに150.00レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は前週の小規模介入と思われる動きの後でも底堅く、複数のFRB関係者が年内の追加利上げに慎重な姿勢を示した後でも148円台前半では押し目買いが出てくる流れとなりました。しかし、150円の大台超えでは改めて介入が出るのではないかとの警戒感も強く149円台後半では売りも出てくる展開で、149円を中心に148円台半ばでの買いと149円台半ばでの売りが拮抗した週となりました。
落ち着いてくるとドル買いという動きはこれまでと大きくは変わらないのですが、新たな材料としてイスラエルとパレスチナ間の緊張が加わりました。パレスチナと言ってもハマスですが、ハマスによる最初の空爆は7日に行われ、イスラエルもすぐに反撃、週明け9日の市場はリスクオフの動きではあったものの日米市場が休場と参加者が少ない中でも思いのほか動きは落ち着いていました。
しかも株式市場は中東情勢を他所に底堅い動きを示し、唯一戦争っぽい動きとなったのは安全資産としての米国債に買いが入り、米金利が低下した動きです。しかし、絶対的な日米金利差は変わらないため簡単にはドル円の下げとはなりませんし、ユーロに関しては近いという地政学的リスクもありユーロの上値は重くなりました。
おそらくイスラエル情勢はリスクオフ要因ではあるものの、更なる紛争激化があったとしてもウクライナのようなことにはなりにくく、どちらかというと狭い場所での地域紛争という捉えられ方をしていると思われます。さらに他国を巻き込んでのということにならなければ、しばらくは様子を見る流れになってくるでしょう。
またウクライナ、イスラエルと来て次は台湾有事では無いかと懸念する声もありますが、たしかに可能性はゼロでは無いものの、すぐにそうした事態になることは考えにくく、現在の中国の内政や経済を考えると、将来的なリスクではあっても今すぐの問題では無いと見ていてよいでしょう。ちなみに中東での紛争はドル円にとっては遠い場所でのリスクで円買い、万が一台湾有事となったら近い場所でのリスクで円売りという認識になります。
そうすると、地政学的リスクと介入警戒感が円買い材料、日米金利差が円売り材料と今週も綱引き状態の中で日々出てくるFRB関係者の講演、また景気を判断する経済指標などを見て、149円をニュートラルな水準とする動きは今週も続くと考えられます。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
代り映えしないチャートですが、上値は小規模介入水準がレジスタンス、いっぽうで下値は平行上昇チャンネルのサポートラインがサポートとなっています。ただこのサポートラインは現在148円台半ば、週末には149円に乗せてきますので、週を通して考えると底堅い推移になりそうです。
今週はこれら両水準を参考に148.50レベルをサポートに150.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円日足
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
10月16日(月)
16:00 フランス中銀総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏8月貿易収支
21:30 米国10月NY連銀製造業景況指数 ☆
23:30 フィラデルフィア連銀総裁講演 ☆
**:** ユーロ圏財務相会合
10月17日(火)
06:45 NZ7〜9月期CPI
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
15:00 英国9月失業率
18:00 ドイツ10月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感
21:00 NY連銀総裁講演 ☆
21:30 米国9月小売売上高 ☆
22:15 米国9月鉱工業生産 ☆、設備稼働率
23:00 米国10月NAHB住宅指数 ☆
23:00 米国8月企業在庫
23:45 (リッチモンド連銀総裁講演)
26:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
10月18日(水)
11:00 豪中銀総裁講演 ☆
11:00 中国7〜9月期GDP ☆
11:00 中国9月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国9月CPI ☆
17:00 南ア9月CPI
18:00 ユーロ圏9月CPI
18:00 ユーロ圏8月建設支出
20:00 南ア8月小売売上高
21:30 米国9月住宅着工 ☆・建設許可
23:30 週間原油在庫統計
25:30 NY連銀総裁講演 ☆
27:00 ベージュブック ☆
28:15 フィラデルフィア連銀総裁講演
10月19日(木)
08:50 本邦9月貿易収支(通関)
09:30 豪州9月失業率
14:00 日銀地域経済報告
15:45 フランス10月企業景況感
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
23:00 米国9月中古住宅販売 ☆、景気先行指数
25:00 パウエルFRB議長講演 ☆
26:20 シカゴ連銀総裁講演 ☆
29:00 (アトランタ連銀総裁講演)
10月20日(金)
06:30 フィラデルフィア連銀総裁講演
06:45 NZ9月貿易収支
08:00 ダラス連銀総裁講演 ☆
08:01 英国10月消費者信頼感
08:30 本邦9月CPI ☆
15:00 ドイツ9月PPI ☆
15:00 英国9月小売売上高
15:35 植田日銀総裁講演
22:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
前週の主要レート(週間レンジ)
注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
10月9日(月)
東京市場が休場ということもあり、ドル円はほとんど動意薄の流れが続きましたが、金曜の雇用統計が強かったこともあり、高値圏で横方向の動きとなっていました。しかし、NY市場に入ると複数のFRB関係者が追加利上げに慎重な姿勢を示したことで、米国市場も休場の中で米金利が低下、ドル円は148.43レベルまで下げ、安値圏での引けとなりました。
10月10日(火)
東京市場のドル円は前日の流れを受けて朝方に148.16レベルの安値をつけましたが、その後は買い戻しが強まりました。日銀の物価上昇率見通しが上方修正されたことで一時的に押しは入ったものの、米金利上昇によりNY市場が始まる前に149.10レベルの高値をつけました。NY市場では米金利低下、ドル売りとなり148円台半ばまで押した後、やや買いが入っての引けとなりました。
10月11日(水)
東京市場のドル円は朝方に148.42レベルの安値をつけましたが、押し目買いが根強く欧州市場序盤までじり高。海外市場に移ってからは米金利低下の動きとともに押しも見られましたが、ドル買いのほうが強くNY後場には149.32レベルまで上昇し、149円台での引けとなりました。
10月12日(木)
ドル円はNY市場までは149.10前後での小動きに終止していましたが、米国CPIが予想よりも強かったことをきっかけに米金利上昇、ドル買いの動きとなりました。ユーロドルの下げが大きく引っ張られたとも言えますが、149.83レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。
10月13日(金)
ドル円は終日のレンジがわずか38銭と最近のドル円にしては非常に狭い値幅での取引に留まりました。前日高値圏から週末前のポジション調整で若干下げた値動きでした。
ディスクレーマー
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注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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