ドル円の持ち直しで戻りを試すがドル高リラ安の継続が重石
〇トルコ円、ドルトルコリラで史上最安値更新が続き上値重く5週連続で円高リラ安、10/14早朝終値5.37
〇対ドル、10/11と10/12は下げ渋るも、10/13は3営業日ぶりに最安値更新し27.76リラ
〇ドル円のややジリ高推移に連れてトルコ円も一時的な安値を徐々に底上げ
〇ドル高リラ安に落ち着きが見られれば円安を押し上げ要因として戻り試し続くか
〇地政学的リスクから、原油価格高騰によるインフレ継続で景気への悪影響も懸念、トルコ経済に打撃か
〇5.38を上回るうちは上昇余地ありとし、5.42超えからは5.44前後への上昇を想定する
〇5.38割れを弱気転換注意とし、5.36割れからは下落期入りとみて5.34、5.32を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の10月13日は概ね5.40円から5.34円の取引レンジ、14日早朝の終値は5.37円で前日終値の5.39円からは0.02円の円高リラ安だった。
週間では10月6日終値5.39円から0.02円の円高リラ安で、5週連続で円高リラ安だった。
トルコリラ円は8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとした急騰で5.29円から5.77円へ急伸したものの、翌日からリラ安が再開したことでジリ安傾向に陥り、10月9日には一時的な安値で5.30円を付けて8月24日の急騰幅を解消した。その後は円安効果により新たな安値更新を回避しているものの、ドル/トルコリラにおけるリラの史上最安値更新が続いているために上値は重い印象だ。
しかし、ドル/トルコリラにおける一時的な高安を反映して直前の流れから乖離する飛び値で10月9日まで安値を更新してきたが、その後はドル円がややジリ高の推移に入ったことで一時的な安値も徐々に底上げしており、戻り高値も10月10日夜から12日未明、13日未明から16日朝にかけて切り上がっており、下落基調がやや落ち着いて戻りを試しにかかっている印象もある。
【円安再燃で8月24日以降の下落基調から抜け出せるか】
ドル円は10月3日に150.15円を付けてから数分で147.41円へ急落して149円台前半へ戻す乱高下に見舞われたが、政府・日銀の市場介入を警戒した売りの連鎖反応だったと思われ、乱高下が落ち着いた後は148円台序盤を繰り返し買われてしっかりし、13日未明には149.82円まで戻した。
10月14日にはIMF高官が現在の円安はファンダメンタルズに即しているとして市場介入すべき状況ではないとの見方を示しているが、150円到達後に急落した余韻を残しながらも円安基調が続くとすれば、トルコリラ円もドル高リラ安に落ち着きが見られれば円安を押し上げ要因として戻りを続けてもよいところかもしれない。
【対ドルでは7週連続のリラ安】
ドル/トルコリラの10月13日は概ね27.89リラから27.56リラの取引レンジ、14日早朝の終値は27.76リラで前日終値の27.70リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
週間では10月6日終値27.54リラから0.22リラのドル高リラ安だが、8月最終週から7週連続のドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げによるリラの一時的急騰からドル高リラ安の再開に入り、9月22日に8月24日の急騰幅を解消して史上最安値更新に入り、10月6日から10日まで3営業日連続で取引時間中の史上最安値を27.92リラへ更新し、その後は新たな安値更新へ進めなかったが最安値近辺を維持してきた。終値ベースでは9月28日から10月10日終値27.71リラまで9営業日連続で史上最安値を更新し、11日と12日と下げ渋ったが13日は3営業日ぶりに最安値を更新した。
【地政学的リスクによるリラへの圧迫感】
10月13日はイスラエルによるガザ地区への地上戦突入姿勢を警戒してNY原油が前日比5.8%、ロンドンの北海ブレント原油が5.7%高と急伸した。NY原油はイスラエル・パレスチナの軍事衝突勃発後の10月9日に急伸した上げ幅をいったん解消していたが、13日の急上昇で10月9日の急騰時高値を超えており、周辺産油国への波及懸念が強まっている。有事の金買いとしてゴールドも急伸している。
トルコのエルドアン大統領は10月11日にイスラエルがガザを封鎖して空爆したことを「虐殺」と批判し、国際社会に対してはイスラエル・ハマスどちらかの肩を持たないように求め、米国が空母打撃群をイスラエル沖に派遣したことについても「ガザの深刻な虐殺につながる」と非難した。
イスラエルとレバノンやヨルダンの国境でも衝突が起きており、中東産油国が反イスラエル姿勢を強めるようだと、米国とイランの関係悪化も懸念される。
一方で、トルコは国内でテロ組織と認定しているクルド人武装勢力との抗争が続いており、エルドアン大統領は11日にシリアとイラクのクルド人勢力への攻撃を強めると宣言している。中東各国が内政・外交的な緊張感を高め、国際社会全体が地政学的リスクを意識し、原油価格高騰でのインフレ継続による景気への悪影響も懸念され始めていることは、ようやく経済政策の正常化と高インフレ抑制のために大幅利上げを続けてきたトルコ経済にも打撃となるのではないか思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月6日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、一時的な安値を除いて10月11日午前へ続落してから12日未明へ戻したために12日午後時点では11日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。サイクルトップ形成期を11日夜から13日夜にかけての間と想定し、5.35円を上回るうちは5.40円台への上昇余地ありとした。
10月13日午後と14日未明の反落では弱気転換目安とした5.35円を割り込まずに反発しているためサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとみる。また14日未明安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしている可能性もあり、その場合は18日未明から20日早朝にかけての間への上昇を想定する。
ただし、5.36円割れからは弱気サイクル入りとして16日の日中から18日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月16日午前序盤の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月14日未明に30ポイント台へ低下してから60ポイント台後半へ戻しているため、50ポイント以上を維持するうちは70ポイント超えを目指す上昇を想定するが、12日夜のピークを超えずに弱気逆行気配も見られるため、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.36円を下値支持線、5.42円を上値抵抗線とする。
(2)5.38円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.42円超えからは5.44円前後への上昇を想定する。5.43円以上は反落注意とするが、5.38円以上での推移なら17日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.38円割れを弱気転換注意とし、5.36円割れからは下落期入りとみて5.34円、5.32円を順次試す下落を想定する。また5.36円を割り込んでの推移なら17日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月16日
17:00 9月 財政収支 (8月 512.7億リラ)
10月19日
20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 グロス (10月6日時点 831.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 ネット (10月6日時点 207.4億ドル)
10月20日
23:30 9月 中央政府債務残高 (8月 5兆8800億リラ)
10月23日
16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 71.50)
10月25日
16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 104.4)
10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)
注:ポイント要約は編集部
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