ドル高基調不変、上値重いが150円突破も!?
〇先週のドル円、149.10レベルで寄り付いた後、目先底入れ達成後にV字回復、150円に接近する局面も
〇月末のFOMCを前に、米通貨当局者のハト派的発言がドル売り支援要因に
〇10/12発表の米CPI予想上振れがドル買いを支援
〇月末の日米欧政策金利発表を意識しつつ、米指標発表とFRB議長を筆頭に要人発言に注目
〇中東情勢など地政学リスクの高まりや、中国情勢にも要注意
〇ドル円予想レンジは、148.00-151.00
〇ドル高・円安方向は、先週末も超えられなかった150円、そして150.16をめぐる攻防にまず注目
〇ドル安・円高方向は、21日移動平均線がサポートとして意識される展開か
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが小じっかり。週足は先々週に5週間ぶりの陰線引けを記録したが、先週は再び陽線。基調の強さを再確認している。
前週末は、イスラム組織ハマスが、イスラエルに対する大規模攻撃を行ったことが明らかとなり、新たな国際的な緊張を生み出していた。一方、米中高官による接触など関係改善を期待させる報道が幾つか観測され、思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149.10円レベルで寄り付いたのち、週間安値である148.17円まで1円程度ドル安進行。新たな地政学リスクの高まりが安全資産志向に繋がっていた面もあったという。しかし、目先底入れを達成後は一転してドルがV字回復。寄り付きレベルを超えただけでなく、一時149.84円と150円に接近する局面も観測されていた。週末NYはいくぶん緩んだ149.55-60円で取引を終えている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「パレスチナ問題」と「米金融政策」について。
前者は、前述した「パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルの大規模攻撃」が新たな地政学リスクとして金融市場全般の波乱要因に。そうしたなか、「米英独仏伊首脳が緊急電話会談を行い、イスラエル支持を表明」と発表されたうえ、クレバリー英外相は早々にイスラエルを訪問。同国政府高官らと会い、イスラエルの自衛権に対する英国の支持を表明している。さらに実際に、「東地中海に英軍の偵察機と艦船を派遣する」と発表したほか、米国も歩調を合わせ「空母打撃群を中東地域に派遣する」としていた。ただ後者、英米の動きについては、ロシアのプーチン大統領が「事態をあおる行為」と発言するなど、一部からは強く非難する声も挙がっていたもよう。
対して後者は、注目の米FOMCを月末に控えるなか、米通貨当局者から聞かれた発言がハト派的なものが多く、ドル売り支援要因に。たとえば、ダラス連銀総裁は「米金融情勢の引き締まりは急速、追加利上げの必要性を低下させる可能性がある」、アトランタ連銀総裁「政策金利について、これ以上何かする必要はないと考える」、ウォラーFRB理事「金利の動向を見守る姿勢」−−などと発言している。しかし、公表された9月のFOMC議事要旨で「大多数は引き続きインフレの上振れリスクを認識している」ことが明らかにされたほか、発表された注目の米経済指標である消費者物価指数が予想を上振れ。さらに、ボストン連銀総裁が「一段の引き締めを排除しない」と述べたことが好感され、ドル買いを支援した。週末に掛けてはドル/円が一時149.83円と150円を再び意識した値動きをたどった原動力になっていたようだ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は3日に高値150.16円を示現したものの、「円買い介入」を疑われる動きもあり、その後は上値が重い展開。149円半ばでは上げ渋るも、先週末には再び150円に迫る局面が観測されるなど、再びドル高の動きが強まってきた。当局による介入警戒が依然としてくすぶるなかではあるが、ドル続伸が期待され150円超え、さらには昨年高値の151.94円がターゲットになる可能性さえありそうだが果たしてどうなるか。
引き続き日米などの金融政策が注視されており、そうしたなか月末に予定されている日米欧それぞれの中銀による政策金利発表が早くも意識されている。今週は月末の動静を意識しつつ、まずは発表される米経済指標そしてパウエルFRB議長を筆頭にした要人発言に注目だ。また、それとは別にパレスチナ問題をはじめとする地政学リスクの高まりや、不動産市場を中心とした中国情勢などにも要注意。新たなニュースによっては、思わぬ価格変動をたどる危険性も考えられる。
テクニカルに見た場合、ドル/円は150円そして年初来高値の150.16円を視界内に捉えた動き。上値は引き続き重そうだが、基本的なリスクは上向きであることは間違いない。場合によっては昨年高値151.94円トライも。
それに対するドルの下値は週明け段階で148.80円台、週末には149円台までレベルを切り上げてくる移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。仮にNYクローズで「しっかり」下回るようだと、トレンド転換などにも注意する必要がありそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には米国防総省当局者が「月末に中国の安保会議参加」と伝えられている「中国情勢」。米国から「北朝鮮がロシアに兵器を搬入している」旨の発言が聞かれていた「北朝鮮情勢」、「ロシア・ウクライナ情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週も、9月の小売売上高や10月のフィラデルフィア連銀景況調査などの重要な米経済指標が発表される予定となっている。また19日実施見込みの、パウエルFRB議長講演など月末の米FOMC前、いわゆるブラックアウト期間に入る前の米通貨当局者を中心とした要人の発言にも要注意か。
そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、先週末に再び接近するも超えられなかった150円、そして150.16円をめぐる攻防にまず注目。超えれば、昨年高値151.94円が薄っすらとだが視界内に。
対してドル安・円高方向は、前述した21日線がサポートとして意識される展開か。ただ、ザラ場の取引ベースでは先週も何度か下回る局面は観測されている。一時的に割り込むといったものではなく、NYクローズで「しっかり」下回れるかどうかがポイントになりそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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