ドル円 半期末も過ぎ大台をトライする動きに(週報10月第1週)

先週のドル円もイベント過ぎれば金利差に着目したドル買いに戻るというこれまでの動きを続けた一週間でした。

ドル円 半期末も過ぎ大台をトライする動きに(週報10月第1週)

半期末も過ぎ大台をトライする動きに

〇先週のドル円、イベント通過後はドル買いに戻る動き、一時149.71レベルと150円の大台を窺う展開
〇ECBは利上げしたものの景気後退懸念、FRBは引き締め長期化観測により、ドル独歩高の展開
〇今週は米雇用関連指標発表、予想下回ってもドル買いの流れ変わらずか
〇日銀の実弾介入、150円台後半に注意
〇今週は148.20レベルをサポートに150.20レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円もイベント過ぎれば金利差に着目したドル買いに戻るというこれまでの動きを続けた一週間でした。前週の一連の金融政策イベントで、ECBは利上げしたものの景気後退懸念が重石、FRBは引き締め長期化の思惑から基本的に先週もドル独歩高の展開が続き、ドル円は一時149.71レベルと150円の大台を窺う展開となりました。週末は米国のつなぎ予算が可決しないと政府機関が一部閉鎖される警戒感から押しも入ったものの、週末に可決したことで週明け早朝のドル円はややギャップアップしてスタートしました。

今週は月初ということで米国の一連の雇用関係の数字が発表されますが、多少予想よりも弱いとしてもベースの数字が強いため、ドル売りの動きがあったとしても冒頭に書いたような「イベント過ぎればドル買い」という展開が続くことは間違いないでしょう。

また150円を目前にインターバンク勢は一度は大台を試して当局の介入に対する態度を確かめたいという動きが出てきそうですが、雇用統計の週でもありイベント前にはあまりポジションを取りたくないということもあり、150円をトライする動きがあってもすぐに利食い売りに転じるでしょうし、間違って介入を招いたとしても3倍返しくらいでドル売りに引っくり返せばやられることも無いでしょう。誰が試しに行くかはわかりませんが、9月末も越えたことで身動きがとりやすくなっていることは確かです。

いっぽうで個人投資家はドル円だけでなく、メキシコ円などの高金利通貨の外貨買いを持ち続けスワップ金利を狙っている長期ポジション組と、実弾介入を期待したドル円での売りを持つ短期ポジション組とに分かれていて、後者の短期ポジションは150円を見ても介入が出ないとストップロスで買い戻してくる可能性があります。

なんとなくこうした短期ポジション組が切らされ、インターバンク勢もやはり買いかと油断した頃に介入が出てくるような気がします。9月末前は149円台後半はいつ介入が出てもおかしくないと言っていましたが、期末が過ぎたことでその警戒水域が1円くらい円安に動き、今は150円台後半が相当に介入に注意という見方をしています。

テクニカルにはどうでしょうか。いつもの日足チャートをご覧ください。

あまりに順調な上昇ペースなのでトレンドに逆らわず平行上昇チャンネルだけを引いてみました。これで見るとまだ上値余地がありそうに思えますが、8月、9月と調整らしい調整を見ずに大台目前となっていて、既に7月安値137.23レベルから考えると12円以上も上昇しています。7月末の安値からでも11円以上ですから、いつ押しが入ってもおかしくない上げ幅と言えます。

介入が出ないとしても150円台を見た後は調整が入る可能性が高いと考えますが、それでも引き続き下がったところは押し目買いという動きには変化は無さそうです。今週は148.20レベルをサポートに150.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

半期末も過ぎ大台をトライする動きに

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月2日(月)
**:** 中国市場休場(〜6日)☆
06:45 NZ8月住宅建設許可
08:50 9月日銀短観 ☆、9月日銀会合主な意見 ☆
15:00 英国9月住宅価格
16:00 トルコ9月製造業PMI
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:00 スペイン、ポルトガル中銀総裁講演
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏8月失業率
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国9月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国8月建設支出
24:00 パウエルFRB議長 ☆、フィラデルフィア連銀総裁講演 ☆
26:30 NY連銀総裁講演 ☆

10月3日(火)
09:30 豪州8月住宅建設許可
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:10 レーンECB理事講演 ☆ 
16:00 トルコ9月CPI
21:00 (アトランタ連銀総裁講演)
23:00 米国8月JOLTS求人件数 ☆

10月4日(水)
10:00 NZ中銀政策金利発表 ☆
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI ☆、小売売上高
21:45 米国9月ADP全国雇用者数 ☆
22:45 米国9月サービス業PMI
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数 ☆
23:00 米国8月製造業新規受注
23:00 パネッタECB理事講演
23:30 週間原油在庫統計

10月5日(木)
09:30 豪州8月貿易収支
15:00 ドイツ8月貿易収支
15:45 フランス8月鉱工業生産
17:30 英国9月建設業PMI
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減数
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国8月貿易収支
23:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
25:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

10月6日(金)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
15:45 フランス8月貿易収支
21:30 米国9月雇用統計 ☆
**:** EUサミット

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月25日(月)
週明けの為替市場は先週までの一連の金融政策イベントが終わり改めて金利差と景況感差を背景としたドル高の動きを続けました。ドル円は金利差を背景に介入警戒感はあるものの149円台乗せまでは大丈夫だろうという安心感もあり終日ドル高、NY市場では148.96レベルまで上値を伸ばし、高値圏での引けとなりました。

9月26日(火)
ドル円は東京後場に仕掛けとストップとで一時149.19レベルまで高値を伸ばしましたが、引き続き介入警戒感がある中で米金利が低下する動きとともに朝方の水準へと押しました。しかし下がったところでの押し目買いも強く149円台に乗せての引けとなりましたが、終日のレンジは49銭と鈍い動きが続きました。

9月27日(水)
ドル円は欧州市場序盤までは動かず、欧州市場前場に前日高値を上抜けてから徐々にドル買いが強まってNY市場入り。NY市場では米金利が上昇、10年債利回りが4.643%と2007年10月以来の水準へと上昇したことで、ドル円も149.71レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

9月28日(木)
前日に年初来高値をつけたドル円は9月末を控えてポジション調整によるドル売りが出ていたものの動きは鈍い流れが続きました。米金利はNY市場に向けて前日の水準を上回って推移、その後低下する動きとなりましたが、ドル円の動きにはまったく影響が見られませんでした。

9月29日(金)
期末のドル円は米金利低下の動きが続きドル売りが先行、東京後場にポジション調整によるドル売りとストップオーダーも引っ掛けて一時148.53レベルの安値をつけました。米国議会でつなぎ予算が決まらず週明けに一部の政府機関が閉鎖に追い込まれるかもしれないとの材料もドル売りを加速させました。しかしその後はじり高の動きへ転じ、米金利が反転上昇する動きも手伝ってNY市場では東京高値圏へと戻し若干押してのクローズとなりました。

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