トルコリラ円見通し 円安とリラ安の交錯による持ち合い続く、対ドルでは最安値更新続く(23/10/2)

トルコリラ円の9月29日は概ね5.46円から5.40円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.44円で前日終値の5.45円から0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 円安とリラ安の交錯による持ち合い続く、対ドルでは最安値更新続く(23/10/2)

円安とリラ安の交錯による持ち合い続く、対ドルでは最安値更新続く

〇トルコ円、9/30早朝終値は5.44、5.46を中心に5.40前後で買われ5.50以上で売られる持ち合い続く
〇対ドル、9/29は概ね27.60から27.20の取引レンジ、取引時間中・終値での史上最安値を更新
〇トルコ8月貿易収支確報は86.6億ドルの赤字、統計速報は今週中発表予定、貿易赤字悪化の予想
〇金融大手のトルコ市場への関心高まる、市場は今後のエルドアン大統領の姿勢に疑問符
〇今週のトルコ円、ドル円の動向が最重要、10/3トルコ9月CPIの内容次第でリラ安勢いづく可能性も
〇5.47を下回るうちは一段安警戒とし、5.41割れからは5.37前後への下落を想定
〇5.47超えから続伸の場合は5.50を目指す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の9月29日は概ね5.46円から5.40円の取引レンジ、30日早朝の終値は5.44円で前日終値の5.45円から0.01円の円高リラ安だった。週間では9月22日終値の5.45円から0.01円の円高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げで5.77円へ急伸したものの翌日からドル高リラ安が再開したため、ドル円が年初来高値更新へと上昇基調を継続したもののトルコリラ円は9月1日に5.41円まで反落した後は日々の高安で飛び値を入れながらも概ね5.46円を中心値として5.40円前後で買われて5.50円以上では売られる持ち合いにとどまってきた。
ドル/トルコリラにおける一時的な高安の成立を反映して5.55円を超える高値や、5.40円を割り込む安値が繰り返し見られているものの、いずれも早々に直前の水準へ押し返されているのだが、週末値ベースで見れば9月1日5.46円、9月8日5.50円、9月15日5.46円、9月22日5.45円、9月29日5.44円と、ほぼ横ばいからわずかにジリ安というところだ。

今週のトルコリラ円にとっては10月6日の米9月雇用統計へ向けて米重要指標が相次ぐ中でドル円が150円の壁を突破して昨年10月21日天井151.94円を試す流れへ進めるのか、いったん仕切り直しでやや大きめの調整安に入るのかという点が最重要になるが、10月3日のトルコ9月CPIも内容次第ではリラ安を勢い付かせる可能性もあると注意したい。

【対ドルで取引時間中及び終値での史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの9月29日は概ね27.60リラから27.20リラの取引レンジ、30日早朝の終値は27.37リラで前日終値の27.36リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。週間では9月22日終値27.10リラから0.27リラのドル高リラ安だった。
エルドアン大統領の再選をきっかけとしたリラ暴落により、5月26日終値19.93リラから8月3日には27.34リラまで史上最安値を更新し、8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したところで25.02リラへ急伸したが、リラの先安感は継続として8月25日からはドル高リラ安の再開となり、9月29日に27.60リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも28日終値を割り込んで最安値を更新した。

【8月貿易収支確報は86.6億ドルの赤字】

9月29日に発表されたトルコの8月貿易統計確報では、貿易赤字が86.6億ドルとなり7月の123.1億ドルから減少したが、通関ベースの速報の88.8億ドルに近い数字だった。輸出は7月の199.8億ドルから216.2億ドルへ拡大し、輸入が7月の322.9億ドルから302.7億ドルへ減少したことで赤字は縮小したものの、高水準での推移が続いており、輸入超過の中でのリラ安進行による通貨インフレと輸入インフレの圧迫感は改善されずにいる。貿易統計速報は日時未定だが今週発表される予定であり、貿易赤字は再び100億ドルを超えるのではないかと見込まれている。

【金融大手によるトルコ市場への関心高まる】

先週末にゴールドマンサックスやウェルズ・ファーゴによるトルコ投資へのポジティブな見方が示され、金融政策正常化と高金利が復活しているトルコに対する投資妙味が拡大していることを示唆した。
ウェルズ・ファーゴはトルコリラの下落は継続するとの基本予想は変えていないものの、トルコへの投資センチメントが改善される可能性があるとした。同社はムーディーズ等の信用格付け会社がトルコのソブリン信用格付けの見通しをポジティブとして格付けの引き上げも検討してゆくのではないかと指摘した。またトルコの政治的及び地政学的なリスクは依然として残っているものの金融経済政策の正常化が継続して信用格付けが改善すればドル/トルコリラの見通しも改善する可能性があるとしている。
因みに同社のドル/トルコリラ予想は2023年第4四半期で1ドル28.50リラ、2024年第1四半期と第2四半期で29.00リラ、第3四半期で29.5リラ 2第4四半期で30.00リラ、2025年第1四半期で30.50リラとしており、リラ安基調はまだしばらく続くとしているが、下落速度は徐々に落ち着いてゆくとの見方のようだ。

一方でゴールドマン・サックスはトルコ中銀がエルカン新総裁体制に入ってから政策金利を8.5%から30%まで引き上げてきたことを評価し、「政策金利の上昇は預金金利がさらに上昇する可能性が高いことを示唆しており、トルコリラのキャリートレードが戻ってきている」と指摘した。高インフレ率により現在の実質金利は大幅なマイナスだが、「年末までに政策金利が40%を超えればトルコの実質金利はプラスの領域に達する」としている。
かつてのトルコリラはリラ安が続いても高金利通貨として下落したところを買い拾われてきた。政策金利は10%を切っていた段階では金利面の価値もなかったが、30%に達してさらに今後もインフレ抑制のための追加利上げを行う姿勢を明確としているため、高金利通貨としてのトルコリラへの注目度も上がってくるかもしれない。そのためにはエルドアン大統領が現在進行中の政策正常化を暫く容認して政策金利が40%まで切り上がることを我慢する必要があるが、果たしてそれができるのかどうか、市場の疑問符はまだ消えていない。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月27日早朝への上昇で26日午後高値を超えたもののその後に5.45円まで反落したために28日午前時点では27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定した。
9月29日夕刻へドル円が一時急落したところでトルコリラ円も下げたが、その後はドル円の反騰とともに戻しているため、9月27日朝安値から2日半となり9月21日深夜安値から6日弱となる29日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改め、高値形成期を10月2日午前から4日午前にかけての間とする。
ただし9月29日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして10月4日午後から6日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では29日午後安値からの反発で遅行スパンは好転しつつあり、先行スパンからの転落が解消されつつあるため、先行スパンを上抜くところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、先行スパンからの転落が続く場合は弱気転換注意とし、29日午後安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は29日未明から29日午後への下落時に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント超えまで戻しているので60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。ただし、40ポイント割れからは下げ再開として20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.40円を下値支持線、5.47円を上値抵抗線とする。
(2)5.47円を下回るうちは一段安警戒とし、5.41円割れからは5.37円前後への下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.44円以下での推移なら3日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.47円超えから続伸の場合は5.50円を目指す上昇を想定する。5.50円以上は反落注意とするが、5.47円以上での推移なら3日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月02日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 49)
10月03日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%、予想 4.88%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%、予想 61.70%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)
10月05日
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 グロス (9月22日時点 838.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月29日時点 ネット (9月22日時点 240.3億ドル)
10月06日
 23:30 9月 財務省現金残高 (8月 619億900万リラ)



注:ポイント要約は編集部

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