ドル高基調は継続、発表される米指標に注意(週報10月第1週)

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時149.71円まで上昇し、150円の大台を意識する局面も観測されていた。

ドル高基調は継続、発表される米指標に注意(週報10月第1週)

ドル高基調は継続、発表される米指標に注意

〇先週のドル円、本邦要人の円安けん制発言効果はほぼ見られず、ドル買い優勢で高値149.71まで上昇
〇米政府機関閉鎖問題は「つなぎ予算」で回避、ドル高進行の重石のひとつが取れ150円トライ進むか
〇ドル円週足、昨年8月半ばから10月にかけ9週連続陽線を記録した以来となる直近9週のうち8週で陽線
〇基本的なリスクはドル高方向ながら、ピークアウトも近いか
〇今週は9月ISM製造業景況指数や雇用統計など重要な米経済指標が発表予定。米要人の発言機会も多い
〇今週の予想レンジは148.00-151.00。ドル高円安方向は先週超えられなかった150円巡る攻防に注目
〇ドル安円高方向は先週末安値148円半ばが強いサポート。下回ると21日MAがターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時149.71円まで上昇し、150円の大台を意識する局面も観測されていた。

前週末は、中国恒大集団が9月25-26日に予定していた「債権者との協議」を延期すると発表し話題に。一方、ロシア外相がウクライナの提示した「侵攻前の領土を回復する」という和平案を「実現不可能」と一蹴したことも思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は148.35円レベルで寄り付いたのち、週間安値の148.26円を示現したが、以降はドル買い・円売りが優勢でそのまま一気に週間高値149.71円まで値を上げている。当然のように、途中では本邦要人から円安けん制発言も聞かれたものの、効果はほとんど見られなかった。しかし、高値を示現後は週末・月末・四半期末にあたることで需給要因にも左右され、やや複雑怪奇な動き。148円半ばまで振り落とされる局面も見られたが、週末NYは149円台を回復して取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米債務上限問題」と「中国恒大集団」について。
前者は、週間を通して不透明感が漂い為替や株式にとっても不安定要因としてくすぶる。比較的早い段階に格付け会社ムーディーズ・インベスターズが「米政府機関が閉鎖されれば米国の信用格付けにネガティブに反映されるだろう」と指摘したことなども、市場心理を不安にさせていたようだ。そののち、米上院の与野党指導部が「つなぎ予算」で合意し一息ついたが、スグに「今後下院における合意が別途必要で、そちらの審議も難航する」といった報道が相次ぐなど、不安を完全に払拭させるまでには至らなかった。なお、29日に実施された米下院の「つなぎ予算案」は賛成198、反対232で否決されるなど、最後まですったもんだが続いたが、ギリギリのところで米議会が「つなぎ予算」を可決。政府機関閉鎖はなんとか回避されている。

対して後者は、以前から経営危機が伝えられている中国恒大集団が、前述した発表に続き、主要事業会社の恒大地産集団が当局による立件調査を受けているため「現在の状況では新規に債券を発行する資格を満たせない」とする声明を発表した。さらに、詳しい理由は不明ながら上場している香港株式市場で「恒大集団の株式が突然売買停止」になったり、創業者である「許家印会長が犯罪に関わった疑いで当局から強制措置」を執られたりといった報道が連日伝えられ、市場ではいよいよ破綻も秒読みかといった声も聞かれている。実際、影響力の大きさを懸念し、中国政府や共産党が認めてこなかった恒大集団の破綻を認めれば、すぐにでも破綻という運びになると予想する専門家も多いようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、9月25日から27日に掛けて3日連続で高値更新したものの、150円にはとどかず。その後はドル高値圏での上げ渋りとなっている。しかし、リスクが依然としてドル高方向に高いことは間違いない。材料的に見た場合、先週末に掛けてドルの上値を抑制した一因である「米債務上限問題」も、この週末に期限切れギリギリのところで何とか解決。重石のひとつが取れたことで、ドル高が進行しやすくなったといった声もある。今週はいよいよ150円トライをみることになりそうだ。
すでに明らかになっている日米の金融政策スタンスを背景とした、基本的なドル高・円安は今週も続きそう。今週は雇用統計をはじめ、重要な米経済指標が発表されるだけに、その内容如何ではさらにドルが買われる可能性も取り沙汰されていた。そうしたなか、波乱要因として懸念されているものが大きく2つ。ひとつは日本の通貨当局による円買い介入であり、もうひとつは先にも記した中国恒大集団問題。後者は、週間を通して中国が「国慶節」の休暇に当たるなか、同国当局の動き次第で「破綻」というビッグニュースが飛び込んでくる可能性もあるかもしれない。

テクニカルに見た場合、ドル/円の週足は直近9週のうち8週で陽線。これは昨年8月半ばから10月にかけて、9週連続の陽線を記録した以来のことになる。ちなみに、前記した昨年のケースでは9週連続陽線を出した翌週に高値151.94円を付けるも、週足は陰線引け。そしてドル高はピークアウトする格好となった。基本的なリスクはドル高方向ながら、レベル的にも日柄やパターンの観点からも、そろそろ本格的なドル安進行を考えておいても損はないだろう。

今週は、9月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される予定となっている。また、週間を通して米通貨当局者を中心とした要人の発言機会が数多く予定されており、そちらも注意を要したい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、先週高値も近く、超えられなかった150円をめぐる攻防に注目だ。超えれば、昨年高値151.94円が薄っすら視界内に。
対してドル安・円高方向は、強いサポートとなると先週末安値に当たる148円半ばか。それを下回ると今週中に148円台へと達してくる移動平均の21日線がターゲット。

ドル高基調は継続、発表される米指標に注意

ドル円日足


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