『KKM下限金利撤廃するも下げ幅は限定的。一巡後の反発に期待』
〇今週のトルコ円、トルコ指標の好調、円安進行に週央にかけ週間高値5.56円まで上昇
〇買い一巡後は伸び悩み5.35まで下落の後、5.4台を回復して越週
〇トルコ円、トレンド系指標は横ばい、オシレーター系指標も中立、テクニカルにはトレンドレス
〇ファンダメンタルズはトルコ政府・中銀による正常化路線への転換期待等がサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.65
今週のレビュー(9/25−9/29)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.45円で寄り付いた後、(1)トルコ9月景気動向指数(結果105.1、前回104.6)の良好な結果や、(2)トルコ9月設備稼働率(結果77.3%、前回76.1%)の良好な結果、(3)対主要通貨での円売り圧力(ドル円急伸→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値5.56円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)トルコ中銀によるKKM(リラ建て預金に係わる為替相場下落の影響を保護する制度)口座の下限金利の撤廃発表(リラ売り抑制策の段階的な撤廃観測)や、(5)ドル円相場の冴えない動き(日本政府・日銀による介入警戒感→ドル円反落→トルコリラ円連れ安)、(6)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(スワップ狙いの短期筋によるストップSELL)が重石となり、週後半にかけて、週間安値5.35円まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)トルコ9月経済信頼感(結果95.4、前回94.1)の良好な結果や、(8)トルコ8月貿易収支(結果86.6億ドル赤字、予想89.0億ドル赤字)の市場予想を下回る赤字幅、(9)ドル円相場の急反発(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/30午前2時10分現在)では、5.45円前後まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(10/2−10/6)
トルコリラの対円相場は、5.35ー5.60円を中心としたレンジ相場が続いています。トレンド系インジケータ(21日移動平均線や一目均衡表転換線など)が横ばい推移を続けている他、オシレータ系インジケータ(RSIやボリンジャーバンドなど)も中立状態(過熱感なしの状態)が継続するなど、テクニカル的に見て、トレンドレスな状態の継続(方向感を見出しづらい時間帯の継続)が確認されます
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコ政府・中銀による正常化路線への転換(失った信用を取り戻すべく、シムシェキ財務相とエルカン総裁は政策運営を正常化路線へ180度転換→外国人投資家による信用回帰期待→トルコアセットへの投資ポテンシャル拡大)や、(2)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(本年5月のエルドアン大統領再選以降、トルコ中銀は計4回・計2150bpの利上げを実施。これまで、利上げを悪と見なしてきたエルドアン大統領もトルコ中銀の金融引き締め政策を容認→金利先高観に着目したリラ買い期待)、(3)円キャリートレード継続に伴う円売り圧力(日銀による金融緩和の長期化観測→円キャリートレード継続期待→ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)、(4)トルコ経済の復調期待(今週発表されたトルコ9月景気動向指数、トルコ9月設備稼働率、トルコ9月経済信頼感、トルコ8月貿易収支はいずれも良好な結果)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
上記1の正常化路線への転換については、今後も茨の道が続くことが予測されるものの、相場は常に先読みの生き物でもあるため、向こう数週間は、目先の困難さ(正常化を進める上での痛みの部分)よりも、その先の楽観(痛みを通り越した後の正常化の完成形)を織り込む展開の到来が期待されます。事実、今週はKKM口座の下限金利撤廃が発表されたにも係わらず、リラ売りでの反応は限定的となりました。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ9月製造業PMIや、トルコ9月消費者物価指数、トルコ9月生産者物価指数に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.35ー5.65
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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