トルコリラ円見通し ドル円のジリ安に合わせて軟調推移、ドル高リラ安基調も継続(23/9/29)

トルコリラ円の9月28日は概ね5.53円から5.42円の取引レンジ、29日早朝の終値は5.45円で前日終値の5.46円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円のジリ安に合わせて軟調推移、ドル高リラ安基調も継続(23/9/29)

トルコリラ円見通し ドル円のジリ安に合わせて軟調推移、ドル高リラ安基調も継続

〇トルコ円、9/28朝5.53を付けたところから軟調推移に入り、9/29未明に5.42まで安値を切り下げる
〇その後5.45まで戻したものの9/29午前序盤に5.42へ反落するなど、上値の重い展開
〇対ドル、9/28は概ね27.43から26.99の取引レンジ、終値ベースで史上最安値を更新
〇外貨準備高は大幅増加、回復を継続し昨年末水準に迫る
〇5.47を下回るうちは一段安警戒とし、5.41割れからは5.37前後への下落を想定する
〇5.47超えから続伸の場合は、5.50を目指す上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月28日は概ね5.53円から5.42円の取引レンジ、29日早朝の終値は5.45円で前日終値の5.46円からは0.01円の円高リラ安だった。
トルコリラ円はドル/トルコリラにおけるリラ安基調を意識しつつ、目先はドル円の騰落を追いかける展開となっているが、ドル円が9月28日未明に付けた年初来高値149.70円からジリ安の推移に入ったため、トルコリラ円は28日朝の一時的なドル安リラ高局面で5.53円を付けたところから軟調推移に入り、29日未明には5.42円まで安値を切り下げた、その後に5.45円まで戻したものの29日午前序盤に5.42円へ反落するなど上値の重い展開となっている。

【中勢は円安の支えあっても持ち合いにとどまり下放れのリスク抜けず】

ドル円は9月21日未明のFOMCと22日の日銀金融政策決定会合を通過して148円を挟んだ乱高下から一段高へ進んで150円を目前としたが、28日は連日の下落で安値を切り下げてきたユーロやポンドが売られ過ぎ感から反騰したことでドル全面高が緩んだためにドル円も軟調推移での足場固めに終始した。しかし、米長期債利回りは28日に16年ぶり高水準を更新してから反落したものの利回りのピークがまだ見えない状況で日米金利差も拡大したままであること、米欧の景況感の差によるドル高優勢はまだ継続的と思われ、1月16日安値127.22円を起点とした歴史的な上昇はさらに継続してゆくと思われる。
しかし、ドル/トルコリラは8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとした1日だけの急騰を解消して史上最安値更新へ進んでおり、トルコリラ円は円安に支えられながらもドル高リラ安による圧迫が続いているために9月以降は5.50円台で繰り返し売られる横ばい型の持ち合いにとどまっており、リラ安が勢い付く場合には持ち合い下放れによる下落期入りとなり史上最安値を試しに向かうことも懸念される。

【対ドル、終値ベースで史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの9月28日は概ね27.43リラから26.99リラの取引レンジ、29日早朝の終値は27.36リラで前日終値の26.83リラからは0.53リラのドル高リラ安だった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定した当日に安値27.27リラから高値25.02リラへ急伸したもののリラ買いは1日で終わり、その後はリラ安の再開に入って9月22日に27.37リラを付けて8月24日の急騰幅を解消して史上最安値を更新し、27日は27.54リラへ最安値を伸ばした。28日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは9月26日終値27.25リラを超えて史上最安値を更新した。
9月29日午前は27.48リラから27.30リラのレンジで推移しつつ最安値更新を伺っている。

【外貨準備高は回復を継続、昨年末水準に迫る】

9月28日夜に発表された外貨準備高は9月22日時点のグロスで838.1億ドルとなり9月15日時点の800.6億ドルから大幅に増加し、ネットでも240.3億ドルとなり9月15日時点の175.9億ドルから大幅に増加した。
ネットは6月序盤にマイナス57億ドルまで悪化したところから回復を続けており、昨年12月のピークだった281.3億ドルへ徐々に迫っている、グロスでは6月序盤に565.2億ドルまで減少したところから回復を続けて昨年12月のピークだった855.9億ドルに迫っている。
トルコ中銀はエルドアン大統領再選後に就任したエルカン新総裁体制で外貨準備高を削って市場介入を繰り返してきた手法を止め、為替レートは市場原理に基づくとして外貨準備高の増加に努めてきた。最近ではリラの為替差損を補填する保護預金制度の縮小に着手しており、リラ保護預金から外貨預金への流出も進んでいる。
外貨準備高の増加は長期的に見ればトルコ経済の信頼感を高めるものだが、短期的には市場介入を止めることでリラ安のブレーキ役ではなくなっている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月27日早朝への上昇で26日午後高値を超えたもののその後に5.45円まで反落したために28日午前時点では27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定した。
9月29日午前序盤へ続落しているのでまだ下落余地ありとみる。29日の上値抵抗線は5.47円までとし、5.47円超えからは強気転換注意として5.50円を目指す上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では28日朝高値からの下落で遅行スパンが悪化し、29日早朝への下落で先行スパンから転落しつつあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は29日未明に30ポイントに迫ってから下げ渋っているものの50ポイント到達では売られているのでまだ一段安余地ありとし、次に40ポイントを割り込むところからは20ポイント台を目指す下落を想定する。ただし、55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持して徐々に高値を切り上げる場合は上昇再開として70ポイント台を目指して行くとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.41円を下値支持線、5.47円を上値抵抗線とする。
(2)5.47円を下回るうちは一段安警戒とし、5.41円割れからは5.37円前後への下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.44円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.47円超えから続伸の場合は5.50円を目指す上昇を想定し、5.47円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月29日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -122.2億ドル、予想 -88.8億ドル)
10月02日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 49)
10月03日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%、予想 4.88%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%、予想 61.70%))
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)


注:ポイント要約は編集部

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