トルコリラ円見通し 円安と一時的リラ高で戻すも28日午前序盤に失速(23/9/28)

トルコリラ円の9月27日は概ね5.53円から5.35円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.53円で前日終値の5.46円からは0.07円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安と一時的リラ高で戻すも28日午前序盤に失速(23/9/28)

円安と一時的リラ高で戻すも28日午前序盤に失速

〇トルコ円、9/27はドル円上昇に合わせ概ね上昇基調で推移するも継続せず、9/28早朝は5.46割れ
〇対ドル、9/27は概ね27.54から26.81リラの取引レンジ、9/28午前序盤は最安値更新を伺う位置に
〇10/3発表の9月トルコCPIは前年比で伸びが加速の見込み
〇7月以降の財政再建による増税の影響続く、輸入・通貨インフレの影響も大きい
〇5.48を下回るうちは一段安警戒とし、5.41割れからは5.37前後への下落を想定
〇5.48超えから続伸の場合は5.50、5.53を順次試す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の9月27日は概ね5.53円から5.35円の取引レンジ、28日早朝の終値は5.53円で前日終値の5.46円からは0.07円の円安リラ高だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとした急伸で5.77円を付けてから買い材料一巡により失速し、その後は5.50円台では売られる持ち合いの様相が続き、ドル/トルコリラにおける一時的なリラの高安を反映してトルコリラ円でも飛び値となる高安が度々入っており、27日も午後安値で一時的に5.35円の安値がみられたが、それを除けばドル円の上昇に合わせて午前安値5.44円から28日未明高値5.48円まで上昇基調で推移した。
9月28日早朝にはドル/トルコリラにおける一時的なリラ高を反映して5.53円をつけたが、早々に5.46円割れへ反落するなど継続性は見られない。
ドル/トルコリラが史上最安値更新に入る中、リラ安が勢い付く局面や、ドル円が昨年10月21日高値151.94円以来となる149円台後半まで上昇した状況から介入警戒等で急落が発生することへの警戒感を持ちつつ、目先はドル円の流れを追いかけ、飛び値が発生する場合は材料を伴った継続性がなければ元の水準へ押し返されるパターンを繰り返すのだろうと考える。

【取引時間中の史上最安値更新、27.50リラを超える】

ドル/トルコリラの9月27日は概ね27.54リラから26.81リラの取引レンジ、28日早朝の終値は26.83リラで前日終値の27.25リラからは0.42リラのドル安リラ高だった。
8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定した当日に安値27.27リラから高値25.02リラへ急伸したが、リラ安基調は変わらないとして8月25日からリラ安が再開、9月22日には27.37リラを付けて8月24日の急騰幅を解消して史上最安値を更新した。9月26日は安値で22日と同値を付けて終値ベースでは8月22日終値27.19リラを超えて史上最安値を更新した。
28日早朝に一時的なリラ買いを反映して反騰したために前日比ではドル安リラ高となったものの、リラ買いは続かずに28日午前序盤は27.36リラ近辺へ下落して最安値更新を伺う位置に付けている。

【9月のトルコCPIは前年比で伸びが加速の見込み】

10月3日に9月のトルコCPI(消費者物価指数)の発表があるが、27日に通信社による事前予想のまとめが発表され、9月CPIは全体の前月比が8月の9.09%から伸びが鈍化して4.88%となると予想される一方、前年比は8月の58.94%から61.70%へとさらに加速すると見込まれた。前月比の予想レンジは3.70%から6.20%、前年比の予想レンジは60.00%から63.73%。
トルコは財政再建のために7月には付加価値税やガソリン税、賭博税等の増税を一挙に推し進めており、その影響は8月から9月、さらに10月以降へと響いてくると思われる。高インフレと高金利により最低賃金も引き上げられてきたために、トルコ企業にとっては賃金コストと税金コストに加えて利上げによる借入コストも跳ね上がる状況にある。リラ安も8月24日の一時的な上昇後に再開しており、貿易収支が構造的に赤字であるトルコにとっては輸入インフレと通貨インフレも影響が大きい。

外部要因としてはサウジの自主減産とロシアの輸出制限が年末まで延長されたことにより原油相場が高騰しており、世界全般のインフレ高止まり感を強めているが、エネルギーの輸入依存度の大きいトルコにとってもエネルギー価格の高騰が全般のコストアップとなる。当面はトルコの高インフレが続き、それに対抗するようにトルコ中銀による大幅利上げが続く可能性があるわけだが、高金利が過ぎればトルコ企業の首を絞めることにもなりかねず、今後は難しいかじ取りが求められる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月一時的な飛び値による安値を除いて26日午後へジリ高で推移していたものの27日午前序盤にに5.45円を割り込んだため、26日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は26日夜から28日深夜にかけての間としてすでに反騰注意期にあるとし、26日午後高値超えからは強気サイクル入りとした。
9月27日早朝への上昇で26日午後高値を超えて5.53円へ上昇したが、その後の連続的な反落で5.45円まで反落しているため、すでに27日早朝高値でサイクルトップを付けて新たな弱気サイクル入りしているとみて10月2日午前から4日午前にかけての間への下落を想定する。28日の上値抵抗線は5.48円までとし、5.48円超えからは強気転換注意として27日早朝高値5.53円試しとする。

60分足の一目均衡表では28日午前の反落で遅行スパンが悪化し始めて先行スパンの上限へ下げているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンの下限を試す流れとみる。先行スパン下限では買い戻しも入りやすいとみるが先行スパンから連続的に転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。5.48円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は28日早朝に80ポイントに到達してから40ポイント台へ急落したため、55ポイントを超えないうちは一段安余地ありとし、次の40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。55ポイント超えからは反騰入りとみて70ポイント台を試す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.41円を下値支持線、5.48円を上値抵抗線とする。
(2)5.48円を下回るうちは一段安警戒とし、5.41円割れからは5.37円前後への下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.48円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、5.48円超えから続伸の場合は5.50円、5.53円を順次試す上昇を想定し、5.48円以上での推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月28日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.1)
 20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 グロス (9月15日時点 800.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 ネット (9月15日時点 175.9億ドル)
9月29日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -122.2億ドル、予想 -88.8億ドル)
10月02日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 49)
10月03日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%、予想 4.88%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%、予想 61.70%))
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)


注:ポイント要約は編集部

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