ドル円見通し 149.70円に到達、年初来高値更新し昨年10月21日以来の水準に(23/9/28)

ドル円は9月28日未明高値で149.70円を付けて年初来高値を更新、昨年10月21日高値151.94円以降の最高値とした。

ドル円見通し 149.70円に到達、年初来高値更新し昨年10月21日以来の水準に(23/9/28)

149.70円に到達、年初来高値更新し昨年10月21日以来の水準に

〇ドル円、149円台到達するも反動安鈍く、9/27米長期利回り等上昇を見て149.50超えさらに続伸
〇欧米の景況感格差によるユーロ・ポンド下落によりドル全面高の様相、ドル指数は昨年11月以来の高値
〇米政府機関一時閉鎖の懸念も債券売り・利回り上昇に寄与
〇米10年債利回りは2007年10月以来の高値を連日更新、ダウは下落
〇149.25以上での推移中は一段高余地ありとし、149.70超えからは150.0円台序盤を目指すとみる
〇149.25割れを弱気転換注意とし、149.00割れからはいったん下げに入るとみて148円台中盤試しを想定

【概況】

ドル円は9月28日未明高値で149.70円を付けて年初来高値を更新、昨年10月21日高値151.94円以降の最高値とした。
9月21日未明の米FOMCと22日の日銀金融政策決定会合を通過しながら乱高下したが、9月25日に9月21日高値148.45円を超えて年初来高値更新に入り、26日午後には149.18円を付けて昨年10月24日以来の高水準に達していたが、149円台到達に対する反動安は鈍く148.70円台まででしっかりし、27日夕刻からの米長期債利回り上昇やユーロなどの一段安によるドル指数の上昇を見て149.50円を超えてさらに続伸した。
米商務省による9月の耐久財受注は前月比0.2%増となる市場予想の0.5%減に反して8月の5.6%減から大幅に改善したが市場の反応は鈍かった。設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は前月比0.9%増で予想の横ばいに反して改善し、耐久財出荷額は0.5%増、航空機を除く非国防資本財の出荷は0.7%増と好調さを示した。

【ドル全面高、ドル指数は昨年11月以来の高値に】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は9月27日高値で106.84を付けて7月18日安値99.55以降の高値を更新、昨年11月30日以来10か月振り高値水準に達した。米長期債利回りの上昇が続いていることに加え、欧米の景況感の格差によりユーロやポンドが下落しており、ドル全面高の様相となっている。
ユーロドルは9月27日安値で1.0487ドルへ下落、7月18日高値1.1275ドル以降の安値を更新した。すでに5月31日安値1.0634ドルを割り込んでいたが、3月15日安値を割り込み1月6日安値1.0483ドルに迫っている。今年2月2日高値、4月26日高値、7月18日高値へと高値を伸ばして来たが、1.050ドルを割り込んだことによりこの3つの高値を三尊天井型とした下落感が強まっている。欧州では特にドイツの景況感悪化が顕著だが、27日午後発表のドイツ10月GFK消費者信頼感指数が9月のマイナス25.6からマイナス26.5へ悪化し、9月の仏消費者信頼感指数も8月の85から83へと悪化しており、先週の独仏欧の9月PMIが50以下の水準で悪化したことも踏まえてユーロ売りが加速している。

ポンドドルも9月27日には1.2108ドルを付けて7月14日高値1.3144ドル以降の安値を更新しているが、日足は6営業日連続の陰線で下落しており安値の目途が立たない印象だ。
ドル円としては円の独歩安という側面が強調されれば過剰な変動として市場介入の口実となるが、ファンダメンタルズを伴ったドル全面高によるドル高円安では介入の正当性も欠けるのではないかと思われる。

【米10年債利回りは2007年10月以来の高値を連日更新、ダウは下落】

9月27日の米長期債利回りは総じて上昇した。FOMCが年内あと1回の追加利上げを行い2024年も当面は利下げを見送って利上げ状態が長期化するとして長期債利回りはまだピークに達していないとの見方が優勢となっている、27日はNY原油が一時94ドル台に到達して昨年11月以来の高値となり、エネルギー価格上昇によるインフレ高止まりも利回り上昇要因となった。米予算審議の混乱による政府機関一時閉鎖の懸念も債券売り・利回り上昇に寄与している。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の4.61%となり一時は4.64%をつけて2007年10月以降の最高水準を連日更新している。30年債利回りも0.04%上昇の4.72%へ、2年債利回りも0.01%上昇の5.14%となった。
米共和党のマッカーシー下院議長が27日に上院で審議される政府資金の一時的手当て法案を拒否すると表明したため、新会計年度が始まる10月1日に一部の政府機関が閉鎖されるリスクが高まっている。
9月27日のNYダウは前日比68.61ドル安、ナスダック総合指数は29.24ポイント高と小幅上昇した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は米FOMCと日銀会合を通過しての乱高下から一段高入りしており、すでに9月21日高値から5日目に入っているが騰勢は続いている印象だ。9月26日午後高値を超えたことにより26日夜安値を起点としてすでに新たな上昇期に入っている可能性もあるため、149円台を維持するうちは150円を試す上昇余地ありとみる。ただし、150円到達への勢いを得るのは時期尚早としていったん仕切り直しに入る可能性もあると注意し、149円割れからは下落期入りとみて28日午後から29日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況が維持されているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は9月25日深夜から26日午前への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられたが、28日未明への一段高では指数のピークが25日深夜の水準に迫っており、逆行破りから上昇継続へ進む可能性も見せている。50ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.00円を下値支持線、9月28日未明高値149.70円を上値抵抗線とする。
(2)149.25円以上での推移中は一段高余地ありとし、149.70円超えからは150.0円台序盤を目指すとみる。150円到達では介入警戒感から売られやすいとみるが、149.25円以上を維持しての推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.25円割れを弱気転換注意とし、149.00円割れからはいったん下げに入るとみて148円台中盤試しを想定する。148.50円以下は反騰注意とするが、149円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/28(木)
09:00 (NZ) 9月 ANZ企業信頼感 (8月 -3.7)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.5%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感・確定値 (8月 -17.8)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 93.3、予想 92.4)
21:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
21:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (8月 6.1%、予想 4.6%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.3%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・確定値 前期比年率 (改定値 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・確定値 前期比年率 (改定値 3.7%、予想 3.7%)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.1万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.2万人、予想 167.5万人)
22:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 0.9%、予想 0.2%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -13.8%)
26:00 (米) クックFRB理事、講演
29:00 (米) パウエルFRB議長、タウンホール会議主宰

9/29(金)
休場 中国
08:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
08:30 (日) 9月 東京CPI(消費者物価指数)・生鮮食料品除く 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.6%)
08:30 (日) 8月 失業率 (7月 2.7%、予想 2.6%)
08:50 (日) 8月 小売業販売額 前年同月比 (7月 6.8%、予想 6.4%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産・速報値 前月比 (7月 -1.8%、予想 -0.8%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (7月 -2.3%、予想 -4.8%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 36.2、予想 36.2)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -6.7%、予想 -8.8%)

15:00 (英) 4-6月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (英) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -108億ポンド、予想 -143億ポンド)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -0.6、予想 0.6%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 -13.2%、予想 -16.2%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.5%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -2.4%、予想 -0.7%)
16:55 (独) 9月 失業者数 前月比 (8月 1.80万人、予想 1.50万人)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 5.7%、予想 5.7%)
18:00 (欧) 9月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (8月 5.2%、予想 4.5%)
18:00 (欧) 9月 コアHICP・速報値 前年同月比 (8月 5.3%、予想 4.8%)

21:30 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 -0.1%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCE(個人消費支出) 前月比 (7月 0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.5%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 4.2%、予想 3.9%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 48.7、予想 47.1)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 67.7、予想 67.7)
25:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る