ドル円、日米金融政策格差を背景に年初来高値を一段と更新。心理的節目150円射程圏内
○ドル円、米国時間朝方にかけて年初来高値149.71まで急伸、昨年10/24以来の高値圏
○米経済指標の好結果や、米金利上昇に伴うドル買い圧力などが支援材料
○ユーロドル、欧米金融政策格差が意識され、米国時間午後にかけて約8カ月半ぶり安値1.0488まで急落
○ドル円、介入警戒感高まるが「昨年高値151.95突破までは実弾介入に踏み切らず」が市場コンセンサス
○本日予定の米経済指標が市場予想を上回る場合などは、心理的節目150.00を一気に突破する可能性も
○ドル買い・円売りトレンド継続をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:149.00ー150.25
海外時間のレビュー
27日(水)のドル円相場は堅調な値動き。(1)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(2)政府・日銀による介入警戒感、(3)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値148.87まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)日米金融政策格差に着目したドル買い・円売り(円キャリートレードの継続)や、(5)日経平均株価の持ち直し(前日比プラス圏へ浮上→リスク回避ムード後退→リスク選好の円売り再開)、(6)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「中立金利が上昇する可能性がある」「FRBは来年も金利を据え置くと予想している」とのタカ派的な発言、
(7)米8月耐久財受注(結果+0.2%、予想▲0.5%)の市場予想を上回る結果、(8)米8月コア耐久財受注/除輸送機器(結果+0.4%、+0.2%)の市場予想を上回る結果、(9)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、(10)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、年初来高値149.71(昨年10/24以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/28午前5時35分現在)では、149.64前後で推移しております。
27日(水)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0575まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力(金融引き締め長期化を示唆するFRBと、金融引き締め休止を示唆するECBとの政策格差→欧米金利差拡大→ユーロ売り・ドル買い)や、(2)ユーロクロスの冴えない動き(ユーロポンド急落→ユーロドル連れ安)、(3)ドイツ10月GFK消費者信頼感(結果▲26.5、予想▲26.0)の市場予想を下回る結果、(4)米経済指標の良好な結果(米8月耐久財受注など)、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)心理的節目1.0500下方ブレイクに伴う仕掛け的なユーロ売り・ドル買いが重石となり、米国時間午後にかけて、1/6以来、約8カ月半ぶり安値となる1.0488まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/27午前5時35分現在)では、1.0503前後で推移しております。尚、昨日はエルダーソンECB専務理事より「金利がピークに達したとは限らない」「依然としてインフレには上方向のリスクがある」とのタカ派的な発言が見られましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は年初来高値を一段と更新し、昨年10/24以来、約11カ月ぶり高値149.71まで急伸しました。政府・日銀による介入警戒感が高まっているものの、「昨年高値151.95を突破するまでは実弾介入には踏み切らないだろう」との見方が市場コンセンサスとなっているため、当面はテクニカル的な強さ(一目均衡表三役好転+強気のパーフェクトオーダー+強気のバンドウォーク+ダウ理論の上昇トレンド)と、ファンダメンタル的な強さ(日米金融政策の方向性の違い+円キャリートレード継続期待+堅調な米国経済)を背景に、上値余地を探る動きが続きそうです。
本日予定されている米経済指標(米4-6月期GDP統計確報値、米新規失業保険申請件数、米8月中古住宅販売成約指数、米9月カンザスシティ連銀製造業活動指数)が市場予想を上回る場合や、米当局者(シカゴ連銀グールズビー総裁、クックFRB理事、パウエルFRB議長)よりタカ派的な発言が見られる場合には、米株上昇→リスク選好の円売りの経路と、米金利上昇→米ドル買いの経路の組み合わせで、ドル円が心理的節目150.00を一気に突破するシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(但し、アジア時間帯は日銀によるレートチェックに要警戒)。
本日の予想レンジ:149.00ー150.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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