トルコリラ円見通し ドル高リラ安の進行でドル円の上昇へ追従しきれず(23/9/27)

トルコリラ円の9月26日は概ね5.48円から5.41円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.46円で前日と変わらなかった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安の進行でドル円の上昇へ追従しきれず(23/9/27)

ドル高リラ安の進行でドル円の上昇へ追従しきれず

〇トルコリラ円、9/26取引レンジは概ね5.48から5.41、ドル円の伸び悩みと対ドルのリラ安継続に圧迫
〇対ドル、9/27早朝の終値は27.25リラ、終値ベースでは8/22の27.19リラを割り込み史上最安値更新
〇トルコ中銀、政策金利を30%まで大幅に引き上げるも、実質的なマイナス金利状態は解消のめど立たず
〇消費者物価上昇は続き、中銀は後手後手での利上げとなるため市場は利上げ催促のリラ売りを続けやすい
〇5.48を下回るうちは一段安警戒とし、5.42割れからは5.40、5.37を順次試す下落を想定する
〇5.48超えからは5.50前後への上昇を想定し、5.48を超えての推移なら28日も高値試しへ向かいやすい

【概況】

トルコリラ円の9月26日は概ね5.48円から5.41円の取引レンジ、27日早朝の終値は5.46円で前日と変わらなかった。
ドル円が9月26日午前に149.18円を付けて年初来高値を更新し、FOMCと日銀会合を通過したところでの乱高下から上抜けて一段高に入ってきたため、トルコリラ円も円安による下支えで午後には5.48円へ上昇したが、その後はドル円の伸び悩みとドル/トルコリラにおけるリラ安継続に圧迫されている。
9月27日午前序盤には5.45円まで下げており、9月25日深夜や26日午後の一時的な安値を除けば、9月21日深夜安値5.43円からややジリ高で推移してきた流れが行き詰まって右肩下がりの展開に入ってきた印象だ。

【終値ベースで史上最安値更新】

ドル/トルコリラの9月26日は概ね27.37リラから26.99リラの取引レンジ、27日早朝の終値は27.25リラで前日終値の27.18リラから0.07リラのドル高リラ安だった。
8月4日安値27.34リラで当時の取引時間中の史上最安値をつけ、8月24日にトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定した当日に安値27.27リラから高値25.02リラへ急伸したが、リラ安基調は変わらないとみて8月25日からは揺れ返しのリラ安に入り、9月22日には27.37リラを付けて史上最安値を更新した。26日の安値は同値にとどまったが、終値ベースでは8月22日終値27.19リラを割り込んで最安値を更新した。
9月27日午前序盤には27.47リラを付けているが、8月24日の急騰を解消しての最安値更新のため、テクニカル的にもリラ売りが勢い付きやすい状況と思われる。

【1ドル=30リラへの道】

9月15日にトルコ中銀が発表したビジネスサーベイにおける大手企業家とエコノミストによる経済予想では、2023年末に1ドル30.14リラまでリラ安が進行し、政策金利は年末時点で34.73%まで引き上げられ、CPI前年比は67.22%まで上昇すると予想されていた。
エルドアン大統領が5月28日の決選投票で再選された後、金融大手ゴールドマンサックスは1年後に1ドル28リラとしたが、JPモルガンは最悪のシナリオでは年末に1ドル30リラへ下落するとした。8月にはオランダのINGグループが2023年末で1ドル30リラ、2024年1-3月期に31.19リラ、4-6月期に32.56リラ、7-9月期に34.16リラ、10-12月期に36リラ、2025年末には40リラへ下落するとの見通しを示した。
トルコ中銀はエルカン総裁体制に入ってから政策金利を8.5%から30%まで大幅に引き上げてきたが、トルコの8月消費者物価指数は全体の前年比が58.94%、コア指数は64.8%であり、実質的なマイナス金利状態は解消のめどが立っていない。

今年7月には法人税、付加価値税、ガソリン税等の増税が行われたが、その影響は8月から9月、さらに10月へ及ぶとみられ、消費者物価の上昇はまだ続き、トルコ中銀は利上げで追いかけることを余儀なくされるが、後手後手となるために市場は利上げ催促のリラ売りを続けやすい。
また2021年末のリラ暴落に際して導入されたKKM(リラ預金保護制度)の縮小が始まっており、リラ保護預金から外貨預金への流出も進んでいることも大きなリラ売り要因となっている。トルコ中銀は市場介入を止めて外貨準備高増加に努めており、長期的にはリラにプラスとなるものの短期的には市場介入によるリラ安防止のブレーキが解除された状況のため、今後のリラ安についての歯止めが効かなくなっている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月22日の日銀会合後にドル円が反騰したことにより25日朝時点では21日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日午前から28日午前にかけての間への上昇を想定した。9月25日深夜と26日午前の一時的な飛び値を除けばややジリ高基調で推移していたが、27日午前に5.45円を割り込んだため26日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は26日夜から28日深夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、26日午後高値超えへ戻せないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では27日午前の下落で遅行スパンが悪化しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンからの転落は回避しているものの転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は25日深夜から26日午後への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから40ポイント割れまで低下しているので、55ポイント超えへ連続的に戻せないうちは20ポイント前後への下落余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.42円を下値支持線、5.48円を上値抵抗線とする。
(2)5.48円を下回るうちは一段安警戒とし、5.42円割れからは5.40円、5.37円を順次試す下落を想定する。5.37円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.47円から5.48円は戻り売りにつかまりやすいとみるが、5.48円超えからは5.50円前後への上昇を想定し、5.48円を超えての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月28日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.1)
 20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 グロス (9月15日時点 800.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 ネット (9月15日時点 175.9億ドル)
9月29日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -122.2億ドル、予想 -88.8億ドル)
10月02日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 49)
10月03日
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 9.09%)
 16:00 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 58.94%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.89%)
 16:00 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 49.41%)


注:ポイント要約は編集部

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