ドル円見通し ドル全面高に一服感、ユーロやポンドが戻し、ドル円もジリ安の推移
〇ドル円、9/28未明高値149.70を付け年初来高値を更新した後はジリ安推移、深夜149.14へ下落
〇ユーロとポンドが買い戻し優勢となったことでドル全面高が緩んだことも、ドル円の上値を抑えた
〇昨日発表の米経済指標に対する反応は鈍い
〇9/28は米FRB高官の発言相次ぐも、金利見通し等についてあいまいだったため市場の反応は鈍かった
〇米10年債利回りは16年ぶり高水準更新するも反落、NYダウは3日ぶりの反発、ナスダックは2連騰
〇149.50以下での推移中は下向きとし、149.00割れからは148.50前後への下落を想定する
〇149.50超えからは上昇再開の可能性を優先し、149.70超えからは150円台を目指す上昇を想定する
【概況】
ドル円は9月28日未明高値で149.70円を付けて年初来高値を更新、昨年10月21日高値151.94円以降の最高値としたたが、その後はジリ安の推移に入り、28日夜の米経済指標に対する反応は鈍く、深夜に149.14円へ安値を切り下げた後は下げ渋っている。
9月21日未明の米FOMCのタカ派姿勢で21日午前に148.45円へ上昇し、その後の反動安値21日深夜に147.31円へ下落したが、9月22日の日銀金融政策決定会合で金融緩和継続とされたことで21日午前高値を超えてから年初来高値更新を続け、9月26日午後には149.18円を付けて昨年10月24日以来の高水準に達し、28日未明には149.70円まで高値を伸ばしてきたが、150円突破への推進力には欠けるとして28日は終日ジリ安となった。
9月28日未明にかけて7月以降の最安値を更新していたユーロとポンドが売られ過ぎ感から買い戻し優勢となったことでドル全面高が緩んだこともドル円の上値を抑えた。
鈴木財務相は28日に円安について、「過度な変動があればあらゆる手段を排除することなく、適切な対応を取る」、「そのために注意深く、緊張感を持って動きを見ている」と述べて円安をけん制した。市場も昨年10月21日高値以来となる150円台へ進むには慎重となる水準に来ているが、ドル全面高が再開すれば介入警戒感よりも円安の正当性が優先されて高値更新への挑戦へ進むのではないかと思われる。
【9月28日の米経済指標に対する反応は鈍かった】
米商務省による4−6月期実質GDP確定値の年率換算前期比は2.1%増で改定値から変更されなかったが、4期連続のプラス成長が確定した。1−3月期については改定値の2.0%増から2.2%増へ上方修正された。4-6月期の内訳では設備投資が7.4%増で改定値の6.1%増から上方修正、個人消費が0.8%増で改定値の1.7%増から下方修正され、住宅投資は2.2%減で改定値の3.6減から上方修正された。
米労働省による新規失業保険申請件数は9月23日までの週間で前週比2000件増の20万4000件となり2週ぶりに悪化して市場予想の21.5万件を下回った。失業保険受給者総数は9月16日までの週間で167万人となり前週から1万2000人増で市場予想の167.5万人を若干下回った。
8月の米住宅販売保留指数は前月比で7.1%減となり7月の0.5%増から大幅に悪化して市場予想の0.8%減を大きく下回った。前年同月比も18.8%減で7月の14.1%減から悪化して市場予想の12.0%減を下回った。米30年物住宅ローン金利が7.41%に上昇して2000年来の高水準に達しており、住宅需要を圧迫している。
【FRB高官発言はあいまい】
9月28日は米FRB高官の発言が相次いだが、金利見通し等についてはあいまいだったり言及しないもので市場の反応は鈍かった。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は28日に、連邦政府機関が閉鎖されれば逆風となり不確実性もたらす恐れがあるために追加利上げの必要性を判断するのは時期尚早と述べ、年内にもう1回の利上げの必要性について「それが分かるにはまだ早過ぎる」とした。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は「依然としてインフレを低下させる必要がある」と述べたが、「FRBは成長を維持しつつインフレを抑制できるソフトランディングを達成できる好機にある」と楽観的な見通しを示した。またインフレ率の目標については2%の固定ではなくあいまいなレンジとするのが望ましいとの持論を示したが、追加利上げの是非については言及しなかった。
パウエルFRB議長は「金利と経済に関する予測を発表する時の目標の一つはその時と数カ月先の支出や投資の決定に影響を与えることだ」等と政策論を述べたが、政策金利や経済見通しについての言及はなかった。
【米10年債利回りは16年ぶり高値更新後に反落、ダウは反発】
9月28日の米長期債利回りは上昇後に低下した。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.69%をつけて2007年10月以来16年ぶりの高水準を更新したが、その後の反落で前日比0.03%低下の4.58%で終了した。
30年債利回りは一時4.81%をつけて2010年4月以来13年半ぶりの高水準に達してから反落して前日比0.01%ポイント低下の4.71%で終了した。長期債では5年債、7年債が16年ぶり高水準に達し、20年債利回りは過去最高を更新した。
利上げに敏感な2年債利回りは5.15%まで反発したところから反落して前日比0.08%低下の5.06%で終了した。
9月28日のNYダウは前日比116.07ドル高と上昇して3日ぶりの反発となり、ナスダック総合指数も108.43ポイント高と2連騰した。米上下院の予算審議難航による政府機関一時閉鎖への懸念が重石だが米長期債利回りの上昇一服感で買われたようだ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は米FOMCと日銀会合を通過しての乱高下から一段高に入ったが、9月28日未明高値149.70円で目先のピークを付けて調整安に入っている。9月21日深夜安値から5日を経過しているので反騰注意期にあるが、150円手前まで上昇した後のため調整安が長引く可能性もあると注意し、149円割れからは週明け朝にかけての下落余地ありとする。
ただし上昇基調そのものは継続的と考え、149.70円を超える場合は10月2日夜から5日未明にかけての間への上昇と150円台試しを想定する。
60分足の一目均衡表では9月28日未明高値からの下落により遅行スパンが悪化して先行スパンに潜り込んでいるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあると注意するが、遅行スパン好転からは上昇再開とみて高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月26日午後高値から28日未明高値への一段高に際して指数のピークがほぼフラットとなる弱気逆行がみられて50ポイントを割り込んでいる。60ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント前後を試す下落を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.00円を下値支持線、9月28日未明高値149.70円を上値抵抗線とする。
(2)149.50円以下での推移中は下向きとし、149.00円割れからは148.50円前後への下落を想定する。145.50円以下は反騰注意とするが、149円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.50円超えからは上昇再開の可能性を優先し、149.70円超えからは150円台を目指す上昇を想定する。150円前後は反落警戒とするが、149.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
9/29(金)
休場 中国
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 36.2、予想 36.2)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 -6.7%、予想 -8.8%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (英) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -108億ポンド、予想 -150億ポンド)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -0.6、予想 0.5%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 -13.2%、予想 -16.4%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.8%、予想 0.5%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -2.4%、予想 -0.7%)
16:55 (独) 9月 失業者数 前月比 (8月 1.80万人、予想 1.50万人)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 5.7%、予想 5.7%)
18:00 (欧) 9月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (8月 5.2%、予想 4.5%)
18:00 (欧) 9月 コアHICP・速報値 前年同月比 (8月 5.3%、予想 4.8%)
21:30 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 -0.1%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCE(個人消費支出) 前月比 (7月 0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.5%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 4.2%、予想 3.9%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 48.7、予想 47.6)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 67.7、予想 67.7)
25:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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