ドル円、介入警戒感と米金利低下を材料に年初来高値圏からひとまず反落
〇ドル円、米国時間朝方にかけ149.19まで反落
〇介入警戒感、日経平均株価の下落、米指標の不冴えと米長期金利の急落が重石に
〇ユーロドル1.05台半ばに反発、欧州指標好調、独連銀総裁のタカ派発言、米金利低下等が支持
〇ドル円、ダウンサイドに複数のサポート並び、買いシグナルも継続、下値余地は乏しいか
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード継続が支えに
〇本日の予想レンジ:148.75ー150.25
海外時間のレビュー
28日(木)のドル円相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値149.56まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)前日高値149.71(昨年10/24以来の高値圏)を背にした戻り売り圧力や、(2)鈴木財務相による「過度な為替変動に対しあらゆる手段を排除せず」「過度な変動は好ましくない」との円安牽制発言、(3)上記2を背景とした為替介入警戒感、(4)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(5)米第2四半期GDP確報値(結果+2.1%、予想+2.2%)の市場予想を下回る結果、(6)米8月中古住宅販売成約指数(結果▲7.1%、予想▲1.0%)の市場予想を下回る結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが2007年9月以来の高水準となる4.68%から4.57%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値149.14まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/29午前5時35分現在)では、149.28前後で推移しております。
28日(木)のユーロドル相場は持ち直す展開。(1)欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力が重石となる中、アジア時間午後にかけて、安値1.0490まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(2)前日安値1.0488(1/6以来の安値圏)を背にした押し目買い圧力や、(3)ユーロ圏9月経済信頼感(結果93.3、予想92.4)の市場予想を上回る結果、(4)ユーロ圏9月鉱工業信頼感(結果▲9.0、予想▲10.5)の市場予想を上回る結果、(5)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「データがさらなるステップと必要性を示している場合は更なる利上げが必要になるかもしれない」「どこが利上げのピークかはまだ分からない」とのタカ派的な発言、(6)米経済指標の冴えない結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0578まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/29午前5時35分現在)では、1.0567前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ9月HICP速報値(結果+0.2%、予想+0.3%)は市場予想を下回る結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は前日9/27に記録した年初来高値149.71をトップに反落に転じると、昨日は一時149.14まで下落しました。心理的節目150.00トライを目前にひとまずポジション調整(急ピッチな上昇に対する反動売り)が出てきた形となっております。但し、ダウンサイドに無数のサポートポイントが並んでいることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強い(下値余地は限定的→一巡後の反発リスクに要警戒)と判断できます。政府・日銀による為替介入が意識されてはいるものの、昨年高値151.95を抜けてくるまでは実弾介入に踏み切ることは難しいと考えられる他、日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大→円キャリートレード継続)といった明確なファンダメンタルズ要素も残っているため、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は米8月PCEデフレータや、米9月シカゴ購買部協会景気指数、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演などに注目が集まります。米経済指標が市場予想を上回る場合や、米当局者よりタカ派的な発言が出てくる場合には、再び心理的節目150.00を試す動きに繋がる可能性もあるため、米国時間帯のアップサイドリスクに特に警戒が必要でしょう(アジア時間帯は半期末フローや、政府・当局者による円安牽制発言およびレートチェックに要警戒)。
本日の予想レンジ:148.75ー150.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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