ドル円 今週は調整が先行しやすいが145円は強いサポート(週報9月第2週)

先週のドル円、金曜は日経平均の大幅安の影響の方が大きかったと思うものの鈴木財務相の円安けん制発言が珍しく効いて朝方に146円台半ばまでの調整売りが入りました。

ドル円 今週は調整が先行しやすいが145円は強いサポート(週報9月第2週)

今週は調整が先行しやすいが145円は強いサポート

〇先週のドル円、米金利に沿った動き、9/8朝方は鈴木財務相の発言を受け146円台半ばまで調整売り
〇下落がその後の反動を大きくしたか、9/7高値まで上昇後、ほぼ高値圏での週末クローズ
〇絶対的な日米金利差により、145円を大きく割り込む調整局面は考えにくい
〇来週の日米の金融政策会合を前に今週は調整が入りやすい、9/13米CPIに要注目
〇今週は145.10レベルをサポートに147.25レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円も米金利に沿った動きとなり木曜までは金利上昇イコールドル買いという流れが続き、介入警戒感も薄れていることも重なって下がったらドル買いという考え方が定着してきたように思えます。しかし、金曜は日経平均の大幅安の影響の方が大きかったと思うものの鈴木財務相の円安けん制発言が珍しく効いて朝方に146円台半ばまでの調整売りが入りました。

しかし、この下げが逆にその後の反動を大きくしたようで前日高値まで上昇後、ほぼ高値圏での週末クローズとなり、週末には植田日銀総裁が物価上昇に確信が持てればマイナス金利の解除がありうること、年末までにそのデータが揃う可能性があることに言及し、週明け早朝の為替市場は大きくギャップダウンして始まり、一時146.65レベルの安値をつけたというところで週初のスタートを切りました。

現在のドル円相場の材料としては、絶対的な日米金利差の存在が中長期的なドル高・円安の流れを作っている中で、大台150円に近づいて来たこと、9月末が近づきつつあることがドル安方向への調整を考えさせる状況となっています。150円の大台を前に当局による牽制発言は出ているものの、介入が迫っているといった切迫感を感じさせるほどの発言ではありません。しかし、この状況が続くと早晩150円を試そうという投機的な動きが出てくることもほぼ間違いないはずです。

そのあたりのことも神田財務官は十分承知の上で、現在の為替相場を注視していると見られますが、もし9月末に向けて150円の大台を超えるような動きになると、輸入業者は円安で困るということも間違いないでしょう。安定的な円安局面では輸出業者は静観していられますが、輸入業者の手当ては待ちが入り遅れがちとなります。そして、このまま円安が進むとストレートに業績悪化に繋がりかねません。

おそらく、9月末に向けて150円の大台をトライするようであれば、輸入業者救済のために一時的に円高に動かすような輸入業者救済介入が入ってもおかしくないと思います。いまのところ、円相場は8月は中国の介入が、今回は植田総裁発言に助けられて調整入りしています。このように、何もしないで済む状況が当局には最も望ましいのですが、絶対的な金利差がある以上、現状は145円を大きく割り込むような調整局面は考えにくくなってきました。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

大きくはピンクのラインで挟まれたウェッジの中の動きですが、8月中旬以降は少し上げるとすぐ押しが入りまた上げるという小刻みな動きが続いています。高値自体は何度も年初来高値を更新していますが、買い手の回転も速くなってきていることの表れだと考えられます。

また植田総裁の発言でギャップダウンの週初となったこと、日米の金融政策会合は来週となることから、今週は調整が入りやすく、もし米国CPIが予想よりも弱い場合には特に調整が大きくなると考えられます。逆に強かった場合には今週に限っては絶好の戻り売りと考えられると見られます。

チャート内青の水平線は6月末の高値145.07と大台145円に重なる水準ですが、今週下値を試す場合にターゲットとなりやすい水準です。またギャップを埋めていない動きから、月曜朝方の戻り高値がレジスタンスになると見ています。

今週は145.10レベルをサポートに147.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週は調整が先行しやすいが145円は強いサポート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月11日(月)
16:00 トルコ7月失業率、経常収支

9月12日(火)
09:30 豪州9月消費者信頼感
10:30 豪州8月企業景況感
15:00 英国8月失業率
18:00 ドイツ9月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏9月ZEW景況感

9月13日(水)
15:00 英国7月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
21:30 米国8月CPI ☆
23:30 週間原油在庫統計

9月14日(木)
08:01 英国8月住宅価格
10:30 豪州8月失業率
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国8月PPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
23:00 米国7月企業在庫

9月15日(金)
11:00 中国8月鉱工業生産、小売売上高
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
21:30 米国9月NY連銀製造業景況指数 ☆
21:30 米国8月輸入物価
22:15 米国8月鉱工業生産・設備稼働率
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート

先週の概況

9月4日(月)
週明けのドル円はNY市場が休みということもあって終日のレンジは48銭と小幅な値動きに留まりましたが、前週金曜NYの急反騰の影響もあり底堅い動きが続きました。

9月5日(火)
ドル円は終日ジリジリと水準を切り上げる動きが続きました。米金利の上昇に加え介入警戒感がやや後退していることから、やはりドル円は買いと開き直って買っている参加者が増えてきた動きのようでした。投機的な動きとして当局を試しに行く動きは想定できるものの、高値147.80レベルということでいつ介入が入ってもおかしくないという見方も変わっていない状況でした。

9月6日(水)
ドル円は朝方に147.82レベルの高値をつけたものの高値警戒感もあり、その後は後場までじり安の展開が続きました。しかし、安値も147.01レベルと既に147円割れではドル買いオーダーも入っている様子で上下とも動きにくいながらのままで一日を終えました。

9月7日(木)
ドル円は朝方に147.87レベルと前日高値をわずかに上抜けたものの高値警戒感は強く、高寄りした日経平均がその後は下げ続ける動きとなったことからドル円もじり安の展開をたどりました。NY前場に147.04レベルまで下げたものの、前日同様に買いも根強くやや戻しての引けとなりました。

9月8日(金)
ドル円は朝方に財務相発言に警戒した売りと日経平均が大きく下げたことによるリスクオフの動きから一時146.58レベルの安値をつけました。しかし、押し目買いも根強く買い戻しが入る動きと米金利上昇も重なり欧州市場ではじり高、NY市場では米金利が下げた後に上昇と荒っぽい動きをしましたが、ドル円は金利上昇にのみ反応し前日高値147.87レベルに並び、そのまま高値引けとなりました。



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