東京市場は一時145円台まで下落、「金融政策正常化トレード」が加速か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁がマイナス金利政策解除を含む金融政策正常化を示唆したとの観測から、日本の長期金利が上昇。日米金利差縮小を受けて、ドルは売り優勢となり145円台まで下落した。
先週末の海外時間では、米国株安のほか、米10年債利回りが4.20%台まで低下したことなどからドル買いは一服。昨年11月4日以来となる148円台乗せはお預けとなった。
東京時間では、週末、一部メディアにて植田日銀総裁が「賃金と物価の好循環を見極める情報やデータが年内にもそろう可能性がある」との見解を示したことから、ドルはギャップダウンでスタート。8時頃は147円台前半でもみ合う場面も見られたが、債券市場で、日本の10年債利回りが0.7%台まで上昇したほか、株式市場では銀行株が急伸するなど「マイナス金利政策解除を意識したトレード」が各市場で進み、ドルはじりじりと下落。14時台には9月1日以来となる146円台割れとなった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:147円12銭
高値:147円26銭
安値:145円99銭
終値:146円21銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:157円59銭
高値:157円73銭
安値:156円79銭
終値:156円87銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:94円06銭
高値:94円23銭
安値:93円88銭
終値:94円12銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:183円58銭
高値:183円79銭
安値:182円87銭
終値:182円96銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:32690円54銭
高値:32746円14銭
安値:32391円69銭
終値:32467円76銭(前日比−139円08銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
18時00分、欧、欧州委員会による経済見通し
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表の雲上限を上放れているほか、遅行スパンも実線を上回っていることから目先のトレンドは強いが、20日移動平均線(MA)を一時下回っており、上昇一服といった格好にある。上向きの20MAを維持できるかが、上昇トレンド継続のポイントとなろう。
先週まで「政府・日銀による為替介入は150円台まで実施されない」ことを背景にドル高円安が続くと強く考えていたが、今月の日銀会合(21日−22日)より10日以上も前の段階で、植田日銀総裁のコメントがメディアで報じられたのはまるで想定外だった。今日の東京時間での日本国債の利回り上昇と銀行株の上昇は「金融政策正常化の前倒しを意識し始めた」ことを意味する。
7月28日の日銀会合後の記者会見で、植田日銀総裁は、2%の物価目標について「持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない」と繰り返しており、今回のメディアでの発言は、7月28日時点の見解から一歩踏み込んだ内容と言えよう。
植田日銀総裁は「物価安定目標の実現にはまだ距離があり、粘り強い金融緩和を続ける」とも語っているが、以前より変化した発言が市場ではフォーカスされている。近々で、この発言を打ち消す、もしくは和らげるような修正発言が政府・日銀関係者から出る可能性はあるものの、今晩の海外時間でどのように消化されるかが注目されよう。
今晩は目立った経済指標の発表や要人による講演が予定されていないことから、植田日銀総裁のニュースがドル売り材料として継続した場合、上下に大きく動いた9月1日以来の144円台入りという状況も視野に入れておきたい。日足の一目均衡表の転換線や20日MAを下放れていることから、下へのバイアスは強まりやすいだろう。
今晩の海外時間は、東京時間でのドル下落分を切り返す材料に不足していることから、引き続きドルは下値を模索すると想定する。上値メドは、146円50銭、下値メドは一目均衡表の基準線が位置する144円70銭する。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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