大きくはユーロ安トレンドが続く
〇先週のユーロドル、大きくは動きにくい流れが続き週末は安値圏で底固めをしてクローズ
〇今週は植田総裁マイナス金利解除への言及でドル円下げが大きくなった事からユーロ買いが目立つ週明け
〇中期的にはユーロドルは着実に下げる動きが続き、シカゴ通貨先物のユーロ買いポジションも徐々に減少
〇9/13米国CPIが予想(3.6%)より上昇してくると来週FOMCでの利上げ思惑につながることに注意
〇米国CPIの数字によっては9/14ECB理事会でラガルド総裁会見がタカ派的となる可能性も
〇今週は先週安値を割り込む1.0660レベルをサポート、1.0810レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは木曜までは米金利上昇の動きでドル円同様にドル買い(ユーロ売り)の動きが中心となっていましたが、金曜は米金利が荒っぽい動きをした後に、ユーロドルは安値圏で底固めをしての週末クローズとなりました。そして週末の植田日銀総裁によるマイナス金利解除の方向性への言及を受け、ドル円とともにユーロ円が下げて始まりましたが、ドル円の下げが大きくなったことからドル売り(ユーロ買い)が目立つ週明け相場となっています。
今週の注目は大きく2つ、ひとつは13日の米国CPIが予想(3.6%)に対してどのような数字となるのか、前月の3.2%からかなりの上昇予想となっているものの、予想以上に上昇してくるようだと、にわかに来週のFOMCでの利上げ思惑が出てくる可能性もあります。そして2つめは14日のECB理事会です。現状維持がコンセンサスで、最近のユーロ圏の景気鈍化傾向を考えると現状維持はほぼ間違いないところだと思いますが、前日の米国CPIの数字の出方によってはラガルドECB総裁の会見がタカ派的となる可能性もあり、念の為この2日間はセットで注意しておきたいところです。
ただ、最近のユーロドルはドルとしての動きはドル円同様であるものの、ドル円での中期円安思惑と短期高値警戒感とが現状では綱引き状態かつそれがユーロ円の動きにも影響しているため、ユーロの動きが相殺されることになりやすく、ユーロドルは大きくは動きにくいという流れが続いています。ただ中期的にはユーロドルは着実に下げる動きが続き、シカゴの通貨先物のユーロ買いのポジションも徐々に減っています。
今週はECB理事会を待ってということになりますので、週初の段階で方向性を論じることは難しいので、テクニカルにどのような流れとなっているのかを確認したいと思います。いつもの日足チャートをご覧ください。
ユーロドルは8月安値を割り込み5月安値1.0634レベルまでの100%押しを試す流れになってきました。短期的には7月高値からの逆N波動で100%エクスパンションとなる1.0699を達成したことでいったんは下げ止まりやすい水準となっています。ECB理事会後の総裁会見次第では上下どちらに振れてもおかしくありませんので、注意しつつもそれまではやや買い戻しが入りやすいと見ています。
ただ、買い戻しも限定的と考えざるを得ず、1.08台前半では戻り売りを考える向きが出やすい地合いにあると見られます。今週は先週安値をやや割り込む1.0660レベルをサポートに、1.0810レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見てみます。
先週見たチャートから大きくは変わっていませんが、植田総裁発言を受けた週明けの円買いの動きがユーロ円でも見られ、ダブルトップあるいはトリプルトップ状のネックラインと重なる、7月安値と8月高値の38.2%押し156.56を試す動きとなってきました。
ここを下抜けると半値押しの155.57がターゲットとなりますので、久しぶりにユーロ円の調整が入りやすい地合いになってきたと見てよいでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
9月11日(月)
(特になし)
9月12日(火)
15:00 英国8月失業率
18:00 ドイツ9月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏9月ZEW景況感
9月13日(水)
15:00 英国7月鉱工業生産、貿易収支
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
21:30 米国8月CPI ☆
9月14日(木)
08:01 英国8月住宅価格
21:15 ECB理事会 ☆
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
9月15日(金)
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月4日(月)
週明けのユーロドルは欧州前場まではドル円とともにユーロ円の買いも出たためじり高、その後はドル円同様にドル買いの動きからじり安となりましたが、NY市場が休場ということもあり、レンジはわずか37pipsに留まりました。
9月5日(火)
ユーロドルでもドル円と同様にドル買いが目立ち安値は1.0706レベルまで下げました。9月の金融政策ウィークはECB14日から始まり、翌週のFOMC20日と日銀会合22日となりますので、経済指標による思惑の振れはありそうなものの、積極的には仕掛けにくい地合いが続きそうでした。
9月6日(水)
ユーロドルは1.07台前半の狭いレンジの中でほとんど動かない流れが終日続き、次の材料待ちという流れになっていましたが、基本は14日のECB理事会待ちという流れが早くも出ていました。
9月7日(木)
ユーロドルは終日じり安、ドル円とともに下げたユーロ円の下げの影響が大きく、ユーロドル自体は46pipsレンジと狭い値幅での取引となりました。
9月8日(金)
ユーロドルはドル買いの動きによるユーロ売りとドル円とともにユーロ円でも買いが入る動きが相殺し方向感がはっきりしない展開が続きました。NY前場に米金利が下げた動きにはユーロドルはドル売りで反応し一時1.0744レベルの高値をつけましたがすぐに下げ、安値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.05.03
FOMC結果のポイント:パウエル議長はややハト派、記者会見直後に日本当局は介入第2弾実施か(5/3)
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月30日−5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と6会合連続で据え置いた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.05.03
ドル円、政府・日銀による為替介入警戒感と大型連休前のポジション調整の影響で急落(5/3朝)
2日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.05.02
東京市場のドルは156円前後での小動き、様々な思惑錯綜で上下に振れやすい地合い(24/5/2)
東京時間のドル・円は、2回目と思われる日本当局による円買い介入が漂うなか、大型連休入りなどに伴い積極的な売買は手控えられ、156円前後の小動きとなった。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:編集人K
2023.09.12
ユーロドル1.07台前半、ECB理事会前は調整主体の動きか (9/12夕)
12日の東京市場でユーロドルは夕刻にかけ軟調推移。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。