ECB理事会に注目、ドルは基本底堅そう
〇先週のドル円、146.20レベルで寄り付いたのち、多くの時間帯を147円台で推移
〇財務官をはじめ本邦要人からの口先介入を受け、ドル円下押しが観測されるも影響は限定的
〇基本的なドル高リスクに変化はなく、150円方向に向けた値動きがしばらく続きそう
〇9/14 ECB政策金利発表に要注目、利上げ打ち止め示唆の場合、ユーロ売りに繋がるか
〇今週は米8月消費者物価指数、小売売上高、9月ミシガン大学消費者信頼感指数等の発表予定
〇今週の予想レンジは145.50-148.50、ドル高・円安は147.87が最初のポイント
〇ドル安・円高方向は先週安値146.60の攻防にまずは注目
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は小幅に続伸。値動きは決して大きくなかったが、それでも連日のような高値更新でドルの底堅さが目に付いた。
前週末2日、日本時間早朝に北朝鮮がまたもや2発の巡航ミサイル数発と思しき飛翔体を発射したとして物議を醸す。また、ウクライナ国防次官がザポリージャ州で、対ロシア戦線の「第1防衛線」を突破したとの見方を示し、こちらも別途話題になっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は146.20円レベルで寄り付いたのち、週間安値の146.03円を示現。以降は右肩上がりの展開をたどると8月29日以来の147円台乗せを達成している。そののちドルは多くの時間帯を147円台で推移。途中、鈴木財務相からの口先介入などもあり146.60円まで値を崩したものの、影響は一時的ですぐに切り返すと、再び147円台へ。結局週末NYは147.80-85円、週間を通したドル最高値圏で取引を終え、越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「当局の介入姿勢」と「中国情勢」について。
前者は、前述したとおりドル/円が8月29日以来の147円台乗せ。その後さらに続伸し、昨年11月4日以来の高値を示現したことで、本邦要人から久しぶりにしっかりとした「口先介入」が幾つか聞かれていた。なかでも話題になったのが、6日に神田財務官から発せられた「投機的な行動、ファンダメンタルズで説明できない動き」と「こういった動きが続くならあらゆる選択肢を排除せず対応」になる。ただ、8日に鈴木財務相が述べた「過度な変動にはあらゆる選択肢を排除しない」の方がマーケット的なインパクトは大きく、発言を受けてドル/円は70-80銭の下押しが観測されていた。とは言え、いずれにしても先週のドル/円相場は先で指摘したように週間を通したドルの高値圏で大引けており、最終的な評価とすれば影響は限られていたと言わざるを得ない。
対して後者は、福島処理水をめぐり日中間で引き続き緊張したやり取りが観測されるなか、米中間でも激しい鍔迫り合いが観測されていた。たとえば、米USTRが「対中制裁関税352品目の除外を年末まで3ヵ月延長する」と発表した反面、米紙WSJは「中国が中央政府機関の職員に対し、アップルのiPhoneをはじめ海外ブランド端末の公務での使用や職場への持ち込みを禁じた」と報じ、米株市場にも影響を与えるなどかなり激しい攻防戦もあったようだ。なお、一方で中国不動産リスクの元凶のひとつである碧桂園について、「土壇場でドル建て債の利払い実施しデフォルトを回避」との報道が聞かれ、それが一時的は好感されたが、根本からの解決ではなくまだまだ予断を許さない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、5日以降連日のようにドルが高値更新をたどってきたが、その進み方はさながら「牛歩」。実際、ドルの高値は「147.80円→147.81円→147.87円→147.87円」といった値動きだ。先でも取り上げたように、鈴木財務相は先週「過度な変動にはあらゆる選択肢を排除しない」と円安をけん制していたが、これは果たして「過度の変動」に当たるのだろうか。いずれにしても、基本的なドル高リスクに依然として変化はなさそうで、一本調子でないにしても150円方向に向けた値動きはまだしばらく続きそうだ。
市場は日米欧の金融政策への関心が高い環境下、今週は14日に先陣を切る格好でECBが政策金利の発表を行う予定。ちなみに、市場予想の大勢は「0.25%の利上げ実施」だが、同時に利上げの打ち止めが示唆されるといった声も少なくなく、事実とすればむしろマーケットはユーロ売りで反応する可能性もある。一方、それとは別に米FOMCを前に発表される米経済指標の内容、ならびに依然として不安定な状況を呈する中国情勢は波乱要因として注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、繰り返し指摘しているようにドル/円の上値は重く、147.80円台で上げ渋りの様相を呈している感を否めないが、下値も非常に堅い。5日に147円台を回復したのち、しっかり下回ったことはほとんどなく、週末8日に146円半ばへと一時的に軟化した際も147円以下で推移していたのはわずか30分程度に過ぎなかった。それからすると、翌週の米FOMCをにらみつつドルは強保ち合い。146円半ばから148円に掛けてのレンジ取引をたどっても不思議はない。
材料的に見た場合、中長期的には南シナ海情勢をめぐり、最近はフィリピンとの小競り合いも目に付く「中国情勢」。週末に建国75周年の軍事パレードが実施され、それとあわせ訪朝していた中国代表団との要人会談も観測されていた「北朝鮮情勢」、「ロシア・ウクライナ情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週は、8月の消費者物価指数や同小売売上高、9月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値をはじめとする重要な米経済指標が発表される見込みだ。翌週に予定されている米FOMCをにらみ、発表される米経済指標を受けて思惑が交錯、なかなか荒っぽい変動をたどる可能性も否定できない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、145.50-148.50円。ドル高・円安については、先週記録した147.87円が最初のポイントで、超えると目立ったフシはないが148.80円レベルが一応の上値メド。
対してドル安・円高方向は、先週安値146.60円の攻防にまずは注目だ。割り込むようだと、レベルをジリジリと切り上げてくる移動平均の21日線が意識されそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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