7月18日以降の底上げ基調を維持、8月24日急伸後は軟調
〇先週のトルコ円、週間で0.04円の円安リラ高・対ドルは9/1終値26.63リラから0.19リラのドル高リラ安
〇トルコ円、目先はドル円の騰落を追いかけつつ、次のドルトルコリラの急変に備える展開
〇トルコ中銀と財務省、金融政策の健全化と透明化へのアピールを繰り返すも市場の不信感は解消されず
〇高インフレの継続と大幅利上げおよび7月からの増税ラッシュによる景気減速が懸念
〇5.48を上回るうちは一段高余地ありとし、5.52超えからは5.54前後への上昇を想定する
〇5.48割れからは9/8安値5.45試しとし、底割れからは5.42前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月8日は概ね5.51円から5.45円の取引レンジ、9日早朝の終値は5.50円で前日終値の5.48円からは0.02円の円安リラ高だった。週間では9月1日終値5.46円から0.04円の円安リラ高だった。
エルドアン大統領再選からのリラ暴落により再選前の5月26日高値7.06円から7月18日安値5.08円まで暴落した後は徐々に底上げ基調で推移している。8月24日にトルコ中銀が市場予想の2.5%利上げの3倍にあたる7.5%の超大幅利上げを決定したことで直前の5.28円近辺から5.77円へ急伸した後は買い一巡と先行き不透明感で揺れ返しのリラ安となったためにジリ安の推移に入り、9月1日夜の米雇用統計発表直後にドル円が急落した局面で5.41円まで安値を切り下げたものの、その後はドル円の反騰に支えられており、8月9日も午前にドル円が一時的に急落したところで5.45円まで下げた後はドル円の反騰に合わせて5.50円まで切り返している。
8月24日以降はドル/トルコリラにおいてはドル高リラ安基調で推移しているが、ドル円の上昇基調は継続しており、トルコリラ円は当面してドル円の騰落を追いかけつつ、次のドル/トルコリラにおける急変に備える展開で推移しそうだ。
今週は9月13日の米8月CPIに対するドル円の反応に注目が集まる。
【対ドルでは8月24日急騰幅解消への動き続く】
ドル/トルコリラの9月8日は概ね27.03リラから26.62リラの取引レンジ、9日早朝の終値は26.82リラで前日終値の26.78リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。週間では9月1日終値26.63リラから0.19リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとして当日安値27.27リラから高値25.02リラへ暴騰的なドル安リラ高となったが、高インフレの継続と大幅利上げおよび7月からの増税ラッシュによる景気減速への懸念からリラの急伸は一時的なものにとどまり、8月25日には26.56リラへドル高リラ安となり、その後も徐々に安値を切り下げる展開が続き、9月8日も27.03リラまでこの間の安値を更新している。
トルコ中銀と財務省はエルドアン大統領再選前までの非伝統的な金融政策から脱却して欧米などと同様の正統派的な金融政策へと方針転換し、大統領も了承しているとして健全化と透明化へのアピールを繰り返しているが、8月24日のリラ急伸が一時的なものにとどまったことは市場の不信感が解消していないことを示しており、正常化プロセスの一環としてのリラ預金保護口座(KKM)縮小がリラ預金から外貨預金への流出を招いていることでドル高リラ安を再燃させている側面も見られる。
【7月18日以降の底上げ基調を維持できるか試される】
ドル/トルコリラは8月24日の急騰幅解消へ向かって徐々にドル高リラ安が進行しているものの8月24日の高安レンジ内に収まっており、トルコリラ円としてはリラ安が再び勢い付く可能性に注意しつつも目先はドル円の騰落を追いかける展開と思われる。
7月18日に5.08円の史上最安値を付けた後は7月28日の日銀金融政策決定会合を挟んだドル円の乱高下時につけた安値5.12円、8月24日にトルコ中銀による超大幅利上げで急伸する前の安値5.28円と、徐々に底上げをして日足レベルの下値支持線を形成している。
8月24日の急騰一巡によるその後の下落でも7月18日安値を起点とした底上げ基調の支持線の範囲内に留まっており、この支持線を維持するうちはドル円の急伸や対ドルでの新たなリラ高により8月24日高値を超える上昇へ発展する可能性を残すが、支持線を割り込む場合は戻り一巡による新たな下落期入りとなり史上最安値更新を試して行く流れへと進みかねないと思われる。当面しては9月8日安値5.45円割れを回避できるかどうか、9月8日安値を割り込む場合は9月1日安値5.41円割れを回避できるかどうかで試される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月8日午前安値へ下落したところから5.50円超えへ上昇したため、9月1日夜安値から4日半となる9月8日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。サイクルトップ形成期は8日夜から12日夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるが、8日午前安値割れを回避するうちは上昇余地ありとし、8日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして13日午前から15日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月8日午前安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンを突破しやすい位置に来ているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は8日午前安値割れからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月7日夕から8日午前への安値切り下がりに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてから60ポイント台へ上昇したため、50ポイント以上での推移中は70ポイント台への上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開を警戒し、9月8日午前安値を割り込む場合は30ポイント割れを試す可能性もあると注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.48円を下値支持線、5.52円を上値抵抗線とする。
(2)5.48円を上回るうちは一段高余地ありとし、5.52円超えからは5.54円前後への上昇を想定する。5.54円以上は反落注意とするが、5.49円を上回っての推移なら12日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.48円割れからは9月8日安値5.45円試しとし、底割れからは5.42円前後への下落を想定する。5.42円以下は反騰注意とするが、5.48円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月11日
16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 1.6%)
16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 0.6%)
16:00 7月 失業率 (6月 9.6%)
16:00 7月 経常収支 (6月 6.74億ドル)
9月12日
16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 -0.1%)
16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 28.5%)
9月14日
20:30 週次 外貨準備高 9月8日時点 グロス (9月1日時点 787.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月8日時点 ネット (9月1日時点 161.5億ドル)
9月15日
16:00 トルコ中銀企業調査 年末の為替・CPI・政策金利予想値
9月21日
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%)
注:ポイント要約は編集部
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