『エルドアン大統領が金融引き締め政策を容認。利上げ観測がトルコリラの下支え』
今週のレビュー(9/4−9/8)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初5.47円で寄り付いた後、(1)トルコリラのKKM(為替保護預金)制度解除に伴うKKM口座から外貨預金への資金流出圧力の活発化や、(2)トルコ8月消費者物価指数(結果+58.94%、予想+55.90%)の市場予想を上回る結果、(3)トルコ8月生産者物価指数(結果+49.41%、予想+44.50%)の市場予想を上回る結果、(4)上記2、3を背景としたトルコリラの実質金利急低下が重石となり、週明け早々に週間安値5.42円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)シムシェキ財務相による「インフレとの戦いには時間がかかり移行期間には忍耐が必要」「インフレを管理・抑制するため必要なことは全て行う」「われわれはインフレと戦う決意を完全に固めている」とのタカ派的な発言や、(6)エルドアン大統領による「金融引き締め政策でインフレを押し下げる」とのタカ派的な発言(同氏がこれまで展開してきた「利下げでインフレ抑制を行う」といった独自理論の方針転換を明言→リラ買い安心感)、(7)上記5、6を背景としたトルコ中銀による追加利上げ観測が支援材料となり、週央にかけて、週間高値5.57円まで上昇しました。週末にかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/9午前3時15分現在)では、5.50円前後で推移しております。
来週の見通し(9/11−9/15)
トルコリラの対円相場は、7/18に記録した史上最安値5.09円をボトムに反発に転じると、その後は終始一貫して上昇基調が続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲下限、基準線)を上抜けしていることや、ダウ理論に照らした短期上昇トレンドが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ政府・トルコ中銀による経済・金融政策の正常化路線への転換(長らくトルコ離れしていた外国人投資家が正常化路線への転換を好感してトルコアセットに回帰するとの期待感)や、(2)トルコ中銀による金融引き締め長期化観測(最大の不確実要因であったエルドアン大統領が金融引き締め政策を容認したことでリラ買い安心感が生まれる展開)、(3)円キャリートレード継続に伴う円売り圧力(ドル円・クロス円上昇→トルコリラ円連れ高)、(4)株式市場の堅調推移(トルコの主要株価指数は史上最高値を連日で更新)など、トルコリラ円相場のアップサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
トルコ経済の先行き不透明感など、懸念要因は依然燻っているものの、当面はトルコ政府・トルコ中銀による正常化路線への転換や、トルコ中銀による追加利上げ観測に焦点があたると見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/11に予定されているトルコ7月経常収支、同雇用統計、同鉱工業生産に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):5.40ー5.70
トルコリラ円日足
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