ドル円 来週の米国CPIまでは横方向のもみあい(週報9月第1週)

先週のドル円も米金利に沿った動きとなりましたが、29日には147円台前半までドル買いが進み年初来高値を更新しました。

ドル円   来週の米国CPIまでは横方向のもみあい(週報9月第1週)

来週の米国CPIまでは横方向のもみあい

〇先週のドル円、8/29に147円台前半までドル買い進み、年初来高値更新
〇米雇用関連指標悪化を受け144円台半ばに下落後、強い指標に反応し146円台まで戻して引ける
〇絶対的な日米金利差が買いの背景だが、先週の動きを見ると相場観はミックスしてきた様子
〇9/13の米CPI発表までは振れても方向感は出にくい流れか
〇今週も144.75レベルをサポートに147.00レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円も米金利に沿った動きとなりましたが、29日には147円台前半までドル買いが進み年初来高値を更新しました。しかし、JOLTSの求人件数が予想よりも弱かったことをきっかけに反転下落、その後は1日の雇用統計まで上値が重たい展開が続きました。雇用統計では失業率が増加したことから一時144円台半ばまで下げたものの、その後の強い指標に反応し146円台まで戻しての引けとなりました。

後講釈では着実に円売りポジションが積みあがっていたことからJOLTSをきっかけにポジション調整が入り、雇用統計で底打ちとなり米国が3連休を控えて市場参加者も少ない中で思いのほか反発が強かったということとなります。印象としてはまだ下がったところでの押し目買いが根強いと言ってよさそうです。

ドル買いの背景にあるのは依然として絶対的な日米金利差があり、中期以上のポジションを持つには日々のスワップ金利が重くのしかかるため、どうしても円売りが優勢になるということです。しかし、先週の動きを見ているとザラ場では長めの陰線が目立ち、短期勝負であればドル売りで仕掛けたいという動きも増えてきたように思えます。介入警戒感もあり、そろそろ相場観はミックスしてきたと言えるでしょう。

今週は週初が米国休日で本格的な再開は火曜からとなりますが、日柄的には依然としてボラティリティが高い時間帯にあり、経済指標や要人発言をきっかけに上下に振れやすい流れにあると言えます。また米金利(10年債利回り)も8月22日の4.36%台で目先のピークをつけたと考えると、今週は先週のレンジの中で145円割れは買い147円超えは売りという流れになりやすいと見ています。

次の重要なイベントとしては来週13日の米国CPIとなりますので、それまでは振れても方向感は出にくい流れが続きやすいでしょう。テクニカルには日足チャートをご覧ください。

先週は年初来高値更新の動きはあったものの、その後のJOLTSで反落したため介入を試す動きとはならず、また147円台に乗せた時にも警戒感はあっても実弾介入は無さそうだという雰囲気でしたから、おそらく市場参加者は大台150円をどこかで試したいといういっぽうで、財務省としてはそのような動きが出てきたら、どこで介入をするのが効果的かと考えている段階に思えます。

上述した通りでごく短期的には147円台で目先の高値をつけたと見られ、また中期的には安値を切り上げる展開が続いていることから押し目があれば買いという流れに変化はありません。テクニカルには7月安値と8月高値の38.2%押しとなる143.49レベルをサポートとしていますが、先週の動きを見る限り145円割れにはドル買いオーダーが並んでくるでしょう。

今週も144.75レベルをサポートに147.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

来週の米国CPIまでは横方向のもみあい

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月4日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ7月貿易収支
16:00 トルコ8月CPI
20:30 エルダーソンECB理事講演
22:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 パネッタECB理事講演
**:** ASEANサミット(〜7日)

9月5日(火)
08:01 英国8月小売売上高
10:45 中国8月MarkItサービス業PMI ☆
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:50 フランス8月サービス業PMI
16:55 ドイツ8月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI
17:30 英国8月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏7月PPI ☆
18:30 南ア4〜6月期GDP
23:00 米国7月製造業新規受注


9月6日(水)
10:30 豪州4〜6月期GDP ☆
15:00 ドイツ7月製造業新規受注
17:30 英国8月建設業PMI
18:00 ユーロ圏7月小売売上高
19:00 南ア7〜9月期企業信頼感
21:30 米国7月貿易収支
21:30 (ボストン連銀総裁講演)
22:45 米国8月サービス業PMI
23:00 米国8月ISM非製造業指数 ☆
23:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
27:00 ベージュブック ☆
28:00 ダラス連銀総裁講演 ☆

9月7日(木)
07:45 NZ4〜6月期製造業売上高
10:30 豪州7月貿易収支
**:** 中国8月貿易収支
12:10 豪中銀総裁講演 ☆
15:00 ドイツ7月鉱工業生産
15:45 フランス7月貿易収支
16:00 ベルギー中銀総裁講演
16:30 フランス中銀総裁 ☆、オランダ中銀総裁講演
17:00 南ア7〜9月期消費者信頼感
17:30 エルダーソンECB理事講演
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確報値 ☆
18:30 オーストリア中銀総裁講演
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国4〜6月期非農業部門労働生産性改定値
23:00 フィラデルフィア連銀総裁講演 ☆
24:00 週間原油在庫統計
28:30 NY連銀総裁講演 ☆
28:45 (アトランタ連銀総裁講演)

9月8日(金)
08:50 本邦7月貿易収支(国際収支)
15:00 ドイツ8月CPI
15:45 フランス7月鉱工業生産
23:00 米国7月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート

先週の概況

8月28日(月)
 週明けのドル円はジャクソンホールが終わり、LDN市場が休場ということもあり底堅いが狭い値幅でのもみあいを続けました。NY市場で一時146.75レベルと高値を切り上げましたが、高値警戒感もあり終日のレンジも48銭にとどまるドル円にしては静かな一日となりました。

8月29日(火)
 欧州昼頃まで動きの鈍かったドル円は、米金利が上昇する動きとともにドル買いが強まり、高値を上抜けると仕掛けのドル買いも加わってNY前場には147.38レベルの高値をつけました。しかし予想よりも弱い求人件数が発表されると、ドルは一気に売り込まれ後場には145.67レベルまで下押し後、やや戻して引けました。

8月30日(水)
 ドル円は前日の弱い求人件数後の調整で買い戻しが先行しましたが、弱いADPとGDP改定値に反応し前日安値を割り込みました。しかし下がったところでカウンターのドル買いも根強く、引けにかけてはほぼ下げる前の水準へと戻して引けました。

8月31日(木)
 月末のドル円は上値が重たいものの動きは鈍いままでNY市場入り。NY市場では一時的に強い経済指標に反応したドル買いも見られたものの、米金利上昇により米株が下げたことからドル円、クロス円での円買いにつながり145.35レベルまで下押し後にやや戻して引けました。

9月1日(金)
 月初のドル円は米国雇用統計を前に小動きが続きました。雇用統計は予想よりも弱く特に失業率が3.8%へと上昇したことから米金利が低下、ドル円も144.44レベルの安値をつけました。しかし、その後の一連の経済指標は強かったことで米金利上昇、ドル買いへと転じ146.29レベルまで上昇し、そのまま高値圏で引けました。


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