ユーロ ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに(週報9月第1週)

先週のユーロドルは週前半はユーロ買いが目立ちましたが、ユーロドルよりもユーロ円での買いがユーロドルにも影響したとみられます。

ユーロ ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに(週報9月第1週)

ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに

〇先週のユーロドル、前半は予想より高いドイツCPIでユーロ高のピークに
〇週後半はECB理事会議事録に9月利上げに否定的なコメントがあったことからユーロ円を中心に急反落
〇9/4ラガルド総裁発言皮切りに、各国中銀総裁とECB理事がどのような意見示すかが今週の主材料
〇ユーロ円、ドル円・ユーロドルともに下げる動きなら、156円前後までの下げもあるか
〇テクニカルには7月安値と8月高値38.2%押しの156.56、半値押し155.57がターゲット
〇今週は1.0700レベルをサポートに1.0875レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週前半はユーロ買いが目立ちましたが、ユーロドルよりもユーロ円での買いがユーロドルにも影響したとみられます。予想より高いドイツCPIがユーロ高のピークとなり、翌日にはECB理事会の議事録に9月の利上げに否定的なコメントがあったことから今度はユーロ円を中心に急反落を見せました。米国雇用統計とその後の動きは米国3連休を前に流動性が低かった故の振れと見られますが、ユーロドルに関しては週半ば以降のユーロ売りの動きが強まったという印象が強かったと思います。

今週は連日経済指標やECB関係者の発言がありますが、それほど重要度が高いものがあるわけではありません。先週発表された議事録のハト派コメントはECBのスタッフによる意見ではあるものの、欧州における景気後退懸念を考えるとハト派なコメントが出て来る可能性の方が高そうに思えます。月曜のNY市場のラガルドECB総裁の発言を皮切りに各国の中銀総裁とECB理事がどのような意見を示すのかが今週のユーロの主材料となりそうです。

またドルの動きとしては米金利の影響は大きいですが、日米金利差同様に米独金利差とユーロドルの動きの相関が高いことは先週も見ましたので、まずそちらのチャートからご覧ください。今回はザラ場に合わせた4時間足チャートです。ラインチャートは方向を揃えるためドイツ10年債利回りから米国10年債利回りを引いたマイナス表示となっています。

ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに

7月以降はこれらの動きの相関は高いことが多く、このチャートに示されている8月中旬以降も似た動きとなっていることがわかります。今週はFRB関係者よりもECB関係者の発言の方が注目度が上がりやすいと思いますので、発言後の米独金利差の動きには気を付けておきたいところです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに 2枚目の画像

ユーロドルは金曜の下げで8月安値を試す流れになってきましたが、テクニカルには5月安値と7月高値の78.6%(61.8%の平方根)押し1.0771、また7月高値から逆N波動を考えた場合の78.6%(61.8%の平方根)エクスパンション1.0777と、1.07台後半でいったん下げ止まりやすい水準です。しかし、現状は材料面ではユーロ売りに反応しやすい状況であることを考えると、今週は8月安値を試す可能性が高いと思われます。

その場合、次のテクニカルなターゲットは1.07水準となりますのでサポートは同水準、レジスタンスは金曜戻り高値の1.08台後半が妥当に思えます。最近のユーロドルはレンジが狭いことも多いのですが、今週は1.0700レベルをサポートに1.0875レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見てみます。

ユーロドル、ユーロ円とも下げやすい地合いに 3枚目の画像

円独歩安の動きからユーロ円も年初来高値を更新し160円の大台目前まで上昇後に反落する動きとなりました。中期的には160円の大台を試しに行く可能性は高いと思いますが、短期的には調整が先行しやすく、ユーロドルで下を見るならばユーロ円も下というのが現状の展開だと思われます。

すると次のテクニカルなターゲットとしては7月安値と8月高値の38.2%押しの156.56、そして半値押しの155.57があり、ドル円とユーロドルがともに下げるような動きが出てくれば、156円前後までの下げはありそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月4日(月)
**:** NY市場休場
15:00 ドイツ7月貿易収支
20:30 エルダーソンECB理事講演
22:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
23:00 パネッタECB理事講演

9月5日(火)
08:01 英国8月小売売上高
16:50 フランス8月サービス業PMI
16:55 ドイツ8月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI
17:30 英国8月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏7月PPI ☆

9月6日(水)
15:00 ドイツ7月製造業新規受注
17:30 英国8月建設業PMI
18:00 ユーロ圏7月小売売上高
27:00 ベージュブック ☆

9月7日(木)
15:00 ドイツ7月鉱工業生産
15:45 フランス7月貿易収支
16:00 ベルギー中銀総裁講演
16:30 フランス中銀総裁 ☆、オランダ中銀総裁講演
17:30 エルダーソンECB理事講演
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確報値 ☆
18:30 オーストリア中銀総裁講演

9月8日(金)
15:00 ドイツ8月CPI
15:45 フランス7月鉱工業生産

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月28日(月)
週明けのユーロドルはLDN市場が休場ということもあって、やや底堅い程度の小動きに終始、一日のレンジはわずか28pipsと今年の最低値幅を更新し終日凪相場となりました。

8月29日(火)
ユーロドルは東京前場は前日の流れを受けてじり高となりましたが、後場以降は売りに転じ、ドル円でのドル高の動きもあって一時1.0783レベルまで水準を切り下げました。しかしユーロドルでもJOLTS求人件数をきっかけに反転し1.0892レベルまで反発後、若干押して引けました。

8月30日(水)
ユーロドルは東京市場ではドル買いの動きから上値が重たい展開となっていましたが、ドル円とともにユーロ円でも買いが出ていたことから欧州序盤以降は買い戻しが強まりました。NY市場に入りドル安の動きと予想よりも高いドイツCPIを受け、一時1.0945レベルの高値をつけ、引けにかけてやや押しました。

8月31日(木)
月末のユーロは東京後場以降、実需の売りも出ていた様子で対ドル、対円ともに売りが強まる流れでした。欧州市場ではECB理事会の議事録が公表され9月利上げの必要は無いとの見解もあったことから一段安。ドル円、クロス円の売りから特にユーロ円での売りが目立ち寄り付き高、大引け安と2円以上もの下落を見せました。

9月1日(金)
ユーロドルは米国雇用統計までは小動き、弱い数字をによるドル安の動きで1.0882レベルまで上昇後、その後の強い経済指標から一転1.0772レベルまで下落し安値引けとなりました。

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