ドルは基本強保ち合い、米指標に一喜一憂も(週報9月第1週)

先週のドル/円相場はドルが小安い。ザラ場ベースでは一時147.37円まで値を上げ、年初来高値を更新するも水準を維持できなかった。

ドルは基本強保ち合い、米指標に一喜一憂も(週報9月第1週)

ドルは基本強保ち合い、米指標に一喜一憂も

〇先週のドル円、前週記録した年初来高値を更新し、昨年11月7日以来の147円台へ。147.37円を示現
〇米雇用統計の不冴えを材料に一転してドル売りが先行し、一気に144円台へ下落
〇最終的にはISM製造業景況指数の上振れで買い戻され、週末NYは146円台をキープ
〇今週は、7月貿易収支や8月ISM非製造業景況指数等の重要な米経済指標が発表予定
〇ドル高円安については146円半ばに弱い抵抗が位置するが、超えると強い抵抗は年初来高値147.37
〇ドル安円高方向、145円台に乗せてきた21日MA巡る攻防に注目、割り込むと先週安値144.44ターゲット
〇今週のドル円予想レンジは、144.50-147.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小安い。ザラ場ベースでは一時147.37円まで値を上げ、年初来高値を更新するも水準を維持できなかった。

前週末は、福島処理水をめぐり日中間で様々な問題が噴出し、新たな政治問題化しつつあることが話題に。一方、その前の週すでにプリゴジン氏搭乗機の墜落が報じられていたが、ロシア捜査当局が遺体のDNA鑑定の結果として「正式に死亡を確認した」と発表している。
そうした状況下、ドル/円は146.40-45円で寄り付いたのち、当初はドル買い先行。前週記録した年初来高値を更新し、昨年11月7日以来の147円台へ。147.37円を示現している。しかし、発表された米経済指標が冴えなかったことなどを材料に一転してドル売りが先行し寄り付きレベルも下回ると、一気に144円台へと下落。最終的には買い戻され、週末NYは146円台をキープしたものの、週初オープンレベルにはとどかなかった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米ファンダメンタルズなど」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、8月24-26日に開催されたジャクソンホール会合において主要国中銀総裁の発言などが観測され、強気の米英欧に対し、日本のみ弱気という結果となった。それを受け先週は週末に発表される米雇用統計への注目が集まったものの、その前座として意識されていたADPなどの雇用指標が悪化、米金利も連れて低下したことで米雇用統計の発表前にドルは大きく下落するという展開をたどっている。そして、当の米雇用統計も非農業部門雇用者数は好数字だったが失業率が大きく悪化したことが嫌気され、ドルはさらに売り込まれた。ただ、ISM製造業景況指数が上振れしたため、最終的にドルは買い戻されていたようだ。

対して後者は、米国を中心にほとんどの国が問題視していない福島処理水について、中国から執拗な抗議や嫌がらせともいえる動きが目に付く。とくに先週は、「現地の日本人学校に投石された」といった事案や、日本のまったく無関係の企業への迷惑電話も多発しているとされるなど、民間レベルでの問題行動が多く観測されていた。また、それを中国当局が容認している節もあり、新たな日中間の問題として急浮上してきている。一方、それとは別に、不動産開発大手の碧桂園が、発表した2023年上半期決算で過去最大の損失を計上し、業績悪化が続けばデフォルトのリスクがあると警告したことが提出書類により明らかになるなど、中国の景気低迷懸念そして金融危機も根強く取り沙汰されている。なお、週末には中国人民銀行が突然、市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を15日から、これまでの6%から4%へと引き下げると発表していた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場の週間レンジはおよそ3円。特別大きいというわけではなかったが、発表された米経済指標などをめぐり思惑が交錯し、見た目以上の価格変動が観測されている。上下に大きく振れるなかなか荒っぽい一週間だった。今週は落ち着きどころを探る展開が予想されるなか、基本的にドルは強保ち合い継続か。ただ、今週も引き続き前述した上下に大きく振れる一時的な乱高下などには注意を払いたいところだ。
日米欧金融政策への関心が依然として高く、ECB理事会を皮切りに、14-22日に行われる日米などの金融政策会合に対する注目度が増している。そうしたなか、今週もまずは発表される米経済指標の内容にまずは要注意。とくに、8月のISM非製造業景況指数を警戒している向きが少なくないようだ。一方、それとは別に不動産情勢を中心とした中国の動きも気になる。この週末、ロイターが報じた「碧桂園、元建て債務の返済延長を債権者が承認」は好材料だが、まだまだ予断を許さない。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は上下に大きく振れる展開で変動そのものは荒っぽいが、それでも大局的にはレンジ内。

144.40-147.40円といったやや大きめのレンジを現在形成しており、そのなかでの一進一退が続く可能性も否定できない。先週末のNYクローズ146.20-25円は中央値に近く、かなり居心地の良さそうなレベル。また、仮にレンジを放れるとしても、基本的には「レンジを広げる」だけで最終的には回帰するといった見方も取り沙汰されていた。
そうしたなか今週は、7月の貿易収支や8月のISM非製造業景況指数をはじめとする重要な米経済指標が発表される予定だ。また、豪州やカナダ中銀の政策金利発表のほか、ASEAN首脳会議など気になる政治案件も少なくなく注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、144.50-147.50円。ドル高・円安については、146円半ばに弱い抵抗が位置するが、超えると強い抵抗は年初来高値の147.37円となる。
対してドル安・円高方向は、ついに145円台へと乗せてきた移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目だ。割り込むようだと、先週安値144.44円がターゲットに。

ドルは基本強保ち合い、米指標に一喜一憂も

ドル円日足


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