荒っぽい値動き継続か、米指標発表等に注意(週報8月第1週)

先週のドル/円相場は結果ドルが小じっかり。ただチャートを見ると、上値は重くドルは上げ渋った印象だ。

荒っぽい値動き継続か、米指標発表等に注意(週報8月第1週)

荒っぽい値動き継続か、米指標発表等に注意

〇先週のドル円、週明け安値から3円上昇後、2円下落と荒っぽい動き
〇8/3、1か月ぶり高値143.89まで上昇するも週末の米雇用統計の不冴えに141円後半で越週
〇YCC修正期待がくすぶり続ける中、政府要人や関係者から火消し発言が繰り返し伝えられる
〇日銀による連日の国債買い入れオペもあり円強気派の旗色が少しずつ悪くなりつつあるか
〇今週は7月消費者物価指数や8月ミシガン大消費者信頼感指数速報値など重要な米経済指標発表が相次ぐ
〇ドル高円安方向は、一目均衡表先行帯の雲上限142円半ばが最初の抵抗
〇ドル安円高方向は、先週末の安値141.55をめぐる攻防に注目
〇今週のドル円予想レンジは、139.90-143.90

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果ドルが小じっかり。ただチャートを見ると、上値は重くドルは上げ渋った印象だ。

前週末は、ロシアのメドベージェフ前大統領が、核兵器の使用を示唆するコメントを発したとして話題に。また、米ホワイトハウスが8月18日の日米韓首脳会談実施を正式に発表。開催場所がキャンプデービッドということで、さらに思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は141円前後で寄り付いたのち、当初はドル売り優勢。週間安値の140.69円を示現している。しかし、目先ボトムを付けたのちドルは急反発に転じ、3日には1ヵ月ぶり高値である143.89円まで上昇した。ただ、週末には注目されていた米雇用統計が冴えない結果になったことなどが嫌気され、ドルは再び弱含みに。141円半ばまで値を下げ、週末NYはそのまま141円後半で推移し越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米国債格付け」と「日本の金融政策」について。
前者は、日本時間の2日早朝に、有力格付け機関のフィッチが「米国債の格付けを格下げする」と発表し一時騒然。具体的には「トリプルA(AAA)」から「ダブルAプラス(AA+)」へと引き下げられている。見通しは「安定的」。ちなみに、フィッチは格下げに理由について「今後3年で予想される財政状況の悪化」などを理由としていた。しかし、決定について、バイデン政権からは不満の声が続出。たとえばイエレン財務長官からは、「フィッチの決定は古いデータに基づいている」としたうえで、「米経済の力強さに照らして不可解だ。決定に強く反対する」と批判するコメントが発せられていた。一方そうしたなか、ロイターはフィッチ幹部への取材として「米国債のさらなる格下げはないとの認識を示した」と報じている。

対して後者は、7月28日の会合で日銀が「イールドカーブ・コントロール(YCC)運用の柔軟化」を決定するなか、その後も金融市場では依然として修正期待は根強くくすぶり続けているようだ。しかし、先週は後藤経済再生担当相が「日銀が金融緩和姿勢変えたとは受け止めない」、松野官房長官「物価目標の安定的実現に向けた適切な金融政策を期待する」、内田日銀副総裁「いまは粘り強い緩和継続が一番」−−などと要人や関係者から火消しともとれる発言が繰り返し伝えられたうえ、日銀が連日でしっかり国債買い入れオペを入れてきたことで、円強気派の旗色が少しずつ悪くなってきつつあるようだ。飽くまでも日米金利差という観点だけに焦点を当てれば、やはり円売り優勢といえるかもしれない。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場の荒っぽい変動はいまだ収まらず。3週続いた「週間レンジは4円超」は先週ようやく途切れたものの、「週明け安値から3円上昇後、2円下落」しており、往復の変動としては変わらず荒っぽかった。今週は週末から本邦勢の多くが「盆休み」入りすると見込まれており、来週半ばにかけてさらに商いが薄くなる可能性もある。つまり、これまで以上の乱高下などにも是非とも注意を要したいところだ。
引き続き日米を中心とした金融政策への関心が取り沙汰されるなか、今週は発表される米経済指標にまず注目だ。先週末に発表された米雇用統計のうち非農業部門雇用者数は予想を下回ったが、失業率や賃金データは逆に改善するなど好悪混在の内容となっていた。次回以降のFOMCの動きを見極めるうえで、さらに数多くのインフレを中心とした米経済指標へ関心が移りつつある。今週は特に、7月米消費者物価指数の内容に要注意だろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は荒っぽい値動きをたどるものの、基調としてのドル高に変化はみられない。実際、ドルは3日に143.89円をつけ、1ヵ月ぶりの高値を示現した。
しかし、若干気になるのは一目均衡表で見たドル/円。先行帯の雲の上限が急激な右肩上がりをたどったこともあり、これまで下値を維持してきた同ラインを先週末に割り込んできたからだ。早晩再び上抜けするのか、それとも雲の上限に上値を阻まれ移動平均の21日線に向けて続落するのかの分水嶺にある気もしている。
そうしたなか今週は、先週の米雇用統計に続き、7月の消費者物価指数や8月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった重要な米経済指標の発表が相次ぐ。また米国を中心に講演など要人の発言機会が多く予定されているうえ、週末からは日本が「盆休み」となり商いがさらに薄くなりそう。「薄商い=乱高下」にも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、139.90-143.90円。ドル高・円安については、当初一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する142円半ばが最初の抵抗。抜ければ先週示現した戻り高値143.89円が再び視界内に。
対してドル安・円高方向は、先週末の安値141.55円をめぐる攻防にまずは注目。割り込むと週明けで140.70円レベルに位置する移動平均の21日線が意識されそうだ。

荒っぽい値動き継続か、米指標発表等に注意

ドル円日足


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