3週間ぶり142円台、ただ上げ過ぎの懸念も(7/31夕)

週明け31日の東京市場はドルが一段高。とくに最終盤に上値を広げると、10日以来の142円台を示現している。

3週間ぶり142円台、ただ上げ過ぎの懸念も(7/31夕)

3週間ぶり142円台、ただ上げ過ぎの懸念も

〇本日のドル円、140.70レベルへ軟化するもその後一転して逆行高、最終盤にかけて142円に乗せる
〇先週超えられなかった137.25-141.95レンジを上抜ける、再びドル高リスクが高まりつつある可能性
〇今週は雇用統計をはじめ重要な米経済指標の発表相次ぐ、それらの内容に一喜一憂の動きか
〇先週末の昼過ぎには138円台で推移、短時間で4円強の上昇は行き過ぎとの指摘も
〇欧米時間のドル円予想レンジは141.30-142.70、ドル高・円安方向は142.15レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、141円前半がかなり強いサポートか

<< 東京市場の動き >>

週明け31日の東京市場はドルが一段高。とくに最終盤に上値を広げると、10日以来の142円台を示現している。

前週末は、ロシアのメドベージェフ前大統領が、核兵器の使用を示唆するコメントを発したとして話題に。また、米ホワイトハウスが8月18日の日米韓首脳会談実施を正式に発表。開催場所がキャンプデービッドということで、さらに思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は141.10円レベルで寄り付いたのち、当初ドルはじり安に推移した。日中安値の140.70円レベルへと軟化したものの、底値を付けたあとは一転しての逆行高に。141円台も簡単に超えるとドルは一段高に。上げ幅が1円を超えた前回高値141.95円前後で途中一度上げ渋るも、最終盤にかけてドルは再上昇。142円へと乗せ、16時現在でもそのまま度値は高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは「ロシア情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアが大きく3つほどの理由で話題を集めていた。ひとつは前述したメドベージェフ発言だが、それ以外では開催されたロシア・アフリカ首脳会議で、ロシアは穀物支援の確約を行ったものの、アフリカ連合議長を務めるコモロのアスマニ大統領は強い不満を表明したと伝えられている。ウクライナとの停戦が必要と迫った、との話も聞かれていた。一方、それとは別にIAEAが「ザポロジエ原発4号機は100度を超える高温状態にある」としたうえ、「冷温停止」に戻すよう要求したことが物議を醸す。ウクライナとの戦況がロシア不利と伝えられはじめているだけに、最後になりふり構わぬ動きを見せる危険性も取り沙汰されているようだ。

対して後者は、東京時間に発表された2つの経済指標は好悪混在。しかし、7月の製造業PMIが予想を上回ったことを好感する向きはあったようだ。また、先週中国を訪問していたフランス経済相からは「中国とバランスの取れた経済貿易関係を希望する」とした日米などと一線を画すコメントが聞かれており、こちらも今後思惑を呼ぶ可能性がある。それに対し、中国国防省は「軍事的脅威を意図的に誇張している」などとし、日本の防衛白書に反発。さらに日本の防衛省は中露海軍艦艇10隻が宗谷海峡を通過したと発表、軍事的な実際の脅威も観測されていたという。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場は、先週末に掛けた乱高下を経ても超えられなかった137.25-141.95円のレンジを、本稿執筆時上抜けて推移している。まだしっかり超えたとはいえず、このあと前述レンジに押し戻される可能性は否定できないものの、再びドル高リスクが高まりつつあるのだろう。ちなみに、高値145.07円を起点とした下げ幅のフィボナッチポイント61.8%戻し142.05-10円を超えており、次のターゲットは76.4%戻しの143.20-25円となる。
市場の注目を集めていた日米欧の金融政策が先週出揃った。おおむね予想通りの結果で、日銀についても拙速な政策転換もなかなか予想しにくいと思われるが、一部では根強い修正論が取り沙汰されている。一方、米国については次回9月会合をにらむなか、今週は雇用統計をはじめ、かなり重要な米経済指標の発表が相次ぐ。それらの内容に基本は一喜一憂、目先は思惑の交錯した動きをたどる公算が大きいようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円はまだ完全に上抜けたとは言えないが3週間ぶりの142円台示現で、上方向への展望が広がった感がある。強気派のなかにはドルの続伸を期待する向きが多い。
ただ、時間足など短期のチャートを見ると、先週末の東京昼過ぎには138円台で推移しており、短時間で4円強の上昇はさすがに行き過ぎとの指摘も。当局からの円安けん制なども含め、調整の動きを警戒する声も聞かれていた。

本日は米経済指標として、7月のシカゴ購買部協会景気指数や同ダラス連銀製造業活動指数が発表される予定となっている。今週とくに関心が高いのは、やはり週末の米雇用統計だが、シカゴ購買部協会景気指数なども重要な指標であることから数字如何では予断を許さない。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.30-142.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値の142.15円レベルが最初の抵抗。超えれば円安けん制を警戒しつつ、フィボナッチポイントの143.20-25円を目指す。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置する141円前半がかなり強いサポートか。ちなみに、前者21日線は今後下降をたどる反面、後者雲の上限は逆にレベルを切り上げる見込みだ。

3週間ぶり142円台、ただ上げ過ぎの懸念も

ドル円日足


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る