「東京市場のドルは買戻し優勢、長期国債利回りに注視した地合いに」
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、長期金利の動向を横目に見る地合いのなか、日銀が臨時の国債買い入れオペレーションを通知したことで141円台後半まで買われた。
先週末の海外時間では、日銀が発表したイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)柔軟化の影響を見極めたいとするムードだったが、植田日銀総裁のコメントを受けて、徐々に「日銀は金融緩和策を継続する」との見方が強まり、ドルは買い戻される地合いとなった。
東京時間では、朝方、長期国債利回りが0.6%台に乗ったことで日米金利差縮小が意識されて、ドルは140円台半ばまで売られたが、10時過ぎに日銀が臨時の国債買い入れオペを通知したことで状況は一変。今年2月22日以来となる臨時オペ実施で長期国債利回りの拡大が一服するとドルは上昇。142円台手前までドルは買戻し優勢となった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:140円81銭
高値:141円95銭
安値:140円69銭
終値:141円80銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:155円30銭
高値:156円28銭
安値:155円11銭
終値:156円17銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:93円73銭
高値:94円83銭
安値:93円72銭
終値:94円75銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:181円01銭
高値:182円44銭
安値:180円88銭
終値:182円26銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:33128円83銭
高値:33402円08銭
安値:33025円93銭
終値:33172円22銭
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
18時00分、欧、ユーロ圏GDP(前期比)、前回:0.0%、市場予想:0.1%
18時00分、欧、ユーロ圏GDP(前年比)、前回:1.1%、市場予想:0.5%
18時00分、欧、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(前年比)、前回:5.5%、市場予想:5.3%
18時00分、欧、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(コア)(前年比)、前回:5.5%、市場予想:5.3%
22時20分、米、グールズビー・シカゴ連銀総裁がメディアのインタビューに応じる
22時45分、米、シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、前回:41.5、市場予想:43.2
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円をボリンジャーバンド(20日移動平均線(MA)、±2σ)で確認すると、7月6日以降は、6営業日連続陰線示現というきつい下げとなり、バンド下限を下回る場面が見られたものの、100日MA(137円48銭)水準がサポートラインとして意識され反発。足元、頭を押さえられていた20日MA(140円80銭)を上抜いている。
日足の一目均衡表では、雲上限(141円16銭)水準も上回っており、雲下限までの調整を回避した格好となっている。先週末の東京時間で乱高下となったことから上下に影(ひげ)を残す可能性はあったが、海外時間でドルが買い戻されたことから、結果として7月28日は陽線を残している。本日東京時間終了後には、7月20日戻り高値141円97銭を上回ったことから、買戻しが続くとの見方もできよう。
東京時間では消化不良を起こした日銀によるYCC柔軟化だったが、植田日銀総裁が記者会見内で、「基本的な物価2%に距離があるとの判断を変えていない」「今回の決定は金融緩和の持続性を高めるための措置である」と慎重な意見が確認できたことから、市場は安心感を取り戻した。また、本日10時過ぎの臨時オペ実施も「日銀が急激な金利上昇を良しとしない姿勢を示した」と捉えられ、市場の安心材料となった。こうした植田日銀総裁の慎重な見方は、先週末もふれたが「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の24年度の物価上昇率引き下げに表現されていると考える。
一方、米国金利が上昇するストーリーは描きにくいこともあり、日米金利差拡大に伴う円キャリートレードの再開は期待しにくい。142円水準まで切り上がる雲上限をサポートとした緩やかなドル上昇は想定できるが、年初来高値である6月30日の145円08銭を上回るようなドル強含みの地合いは難しい。今しばらくは東京時間での日本の長期国債利回りの推移を見極める必要もあることから、海外時間での積極的なドル買いは手控えられるだろう。
今晩のドルは、買戻しが引き続き入るものの、142円台半ばでは上値は重くなると想定する。上値メドは、142円50銭、下値メドは141円50銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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