ドル高基調は続く見込みだが、上値も重そう(週報6月第1週)

先週のドル/円相場はドルが上げ渋り。ザラ場ベースでは140.93円まで値を上げ、一時年初来高値を更新したものの続かなかった。

ドル高基調は続く見込みだが、上値も重そう(週報6月第1週)

ドル高基調は続く見込みだが、上値も重そう

〇先週のドル円、債務上限問題の基本合意を受け年初来高値を更新するも、一時138.44まで下落
〇米雇統計の好調を受け、週末にかけて再びドルが買われたが、週末NYは139円台後半で推移
〇今週はドルの上値が重い状況が基本的に続く見込み、勢いのあるドル高進行は考えにくい
〇先週同様の本邦要人による「円安けん制」発言に要注意
〇今週発表の5月ISM非製造業景況指数など、米重要経済指標発表の影響に注目
〇ドル高・円安方向は、先週示現した140.93が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、先週末安値の138.44をめぐる攻防にまずは注意
〇今週のドル円予想レンジは、138.50-141.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが上げ渋り。ザラ場ベースでは140.93円まで値を上げ、一時年初来高値を更新したものの続かなかった。

前週末は、米与野党が懸案事項であった債務上限問題で基本合意に達した、として話題に。また、5月28日に投開票されたトルコ大統領選の決選投票は、現職のエルドアン氏が制し、再選を確実にさせたと伝えられている。
そうした状況下、ドル/円は140.60-65円で寄り付いたのち、しばらくは強保ち合い。一連の過程のなかで年初来高値を更新し、140.93円まで値を上げている。しかし勢いは続かず、底割れすると一時138.44円までと、なかなか大きな下押し。そののち週末にかけては、発表された米雇用統計が好数字になったこともあり、再びドルが買われたものの週末NYは139円台後半。週初のオープンレベルにはとどかなかった。
なお、前述したトルコ大統領選の結果を受けて、リラは週間を通して売りが先行。ドル/リラは一時20.89リラレベルまで上昇する局面も観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米国情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、大きく2つにわけられ、うちひとつが米債務上限問題。週明け早々に「バイデン大統領とマッカーシー下院議長が基本合意」とのニュースが伝えられたものの、ブルームバーグが「マッカーシー氏が今回の原則合意について、一部共和党議員が反発する可能性が高いことを認めた」と報じるなど、当初は根強い不安感も取り沙汰される展開。しかし、5月31日の下院に続き上院でも無事に可決されたのち、この週末にはバイデン大統領の署名がなされ、ヤマ場は完全に越えた。一方、米金融政策の見通しは要人発言や発表される米経済指標をめぐり一喜一憂。指標でいえば製造業PMIやISM製造業景況指数が冴えなかったうえ、ジェファーソンFRB理事やフィラデルフィア連銀総裁からハト派コメントが聞かれたものの、週末に発表された米雇用統計はかなり良好。一時期萎んだ追加利上げの可能性が再び取り沙汰されていたようだ。

対して後者は、週明けに伝えられ物議を醸した北朝鮮による「人工衛星発射予告」期間の初日にあたる、5月31日の早朝にいきなりの「宇宙飛翔体」発射が観測された。沖縄にJアラートが発令されるなど、一時緊迫ムードとなったが、結果として衛星の発射は失敗に終わったもようだ。しかし、「できるだけ早い期間内に2次打ち上げに踏み切る」などと次の衛星発射に強い意欲をうかがわせており、引き続き予断を許さない。なお、週末には国連安全保障理事会が緊急会合を開催し、北朝鮮の「衛星発射」が協議されたが中国やロシアが非難に反対の立場を示し、一致した対応を取れなかったと伝えられている。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は高値140.93円を示現後、138.44円まで下落したところで「勝負あり」。本格的な調整入り不可避と考えていたのだが、週末に発表された米雇用統計の好数字もあり、調整入りは延長されたか。とは言え、ドルの上値が重い状況は今週も基本的に続く見込みだ。先の高値を上抜け141円台乗せといった展開をたどる場合でも、勢いに乗って142円、あるいは143円といった具合にドル高が進行するとも思えない。
ドル高に歯止めをかけていた米債務上限問題に関する法案はこの週末で解決となった。一方、米金融政策については、先週末に発表された雇用統計が良好で足もとはやや強気ムードが優勢ながら基盤は脆弱か。今週発表される、ほかの米指標の内容如何によっては基調が一変する可能性もある。なお、そうしたなか注意すべきは、本邦要人による「円安けん制」発言など。先週も140円台を中心に鈴木財務相や神田財務官から口先介入も聞かれていただけに、今週も同様の動きには一応要注意だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末に発表された良好な米雇用統計もあり、ドル高基調そのものは継続されたが、さすがに気になる要因も幾つか観測されはじめている。たとえば、年初来安値127.22円から前回高値137.91円までは約2ヵ月、10円強の上昇でピークアウトしたが、今回は3月24日安値129.65円を起点に、5月30日高値140.93円まで同様に約2ヵ月、11円の上昇−−という符合も気になるところだろう。ドル高にバイアスをかけつつ、調整のリスクにも十分に注意を払いたい。

そうしたなか今週も、5月のISM非製造業景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数など、重要な米経済指標の発表が相次ぐ。先週末発表された雇用統計は良好だったが、週を通して言うと玉石混交。今週も発表される米指標で一喜一憂する展開が基本的には続く見込みだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、138.50-141.50円。ドル高・円安については、先週示現した140.93円が最初の抵抗。超えると当然141円台乗せが予想されるが、強い抵抗がしばらくないとみられることが気に掛かる。予想以上のドル高進行もあるか。
対してドル安・円高方向は、先週末安値の138.44円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると週明けに137.70-80円レベルとかなりレベルを切り上げてくる移動平均の21日線がターゲットとなりそうだ。

ドル高基調は続く見込みだが、上値も重そう

ドル円日足

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