ドルは年初来高値更新も調整への警戒根強い
〇本日のドル円、寄り付いた138.70レベルを日中高値にドルが小安い、終盤に掛けては売りが優勢
〇ドル円は昨日年初来高値を更新し138.74まで一時大きく続伸、リスクはドル高方向
〇5/11安値133.75を起点とすると1週間で約5円の上昇、短期的には調整が入る可能性も
〇本日は要人の発言機会が多く、G7サミットでの各国首脳による発言にも要注意
〇本日欧米時間の予想レンジ137.40-138.70、ドル高・円安方向は138.70-75の攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向は、138円レベルが最初のサポートか
<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場はドルが冴えない。138円台というドルの高値圏ではあるものの、とくに終盤に掛けては売りが優勢だった。
ドル/円は寄り付いた138.70円レベルを日中高値にドルが小安い。一時は138.30円前後で下げ渋る局面も見られたが、底割れすると終盤に掛けては138円割れをうかがう水準まで続落している。植田日銀総裁の衆院財務金融委員会出席や、G7広島サミットの情勢などをにらみつつ、16時現在では138.15-20円の日中安値圏で推移、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「G7広島サミット」と「米金融政策」について。
前者は、岸田首相が、19日からのサミットを前に来日する各国要人と相次ぎ会談を行っている。昨日夜には日米そして日伊、日英間による首脳会談が実施されたうえ、本日午前にはドイツ、フランス、カナダの各首脳とやはり30-40分程度の会談を実施したもよう。なお、肝心のG7協議は各国首脳による厳島神社訪問などを経て、今夜から開催される予定。また、動静が流動的だったウクライナのゼレンスキー大統領は20日に来日、21日からの協議に直接参加する見込みと伝えられていた。
対して後者は、昨18日にはジェファーソンFRB理事と、ローガン・ダラス連銀総裁が金融政策について対照的なコメントを発したとして話題に。前者のジェファーソン氏は「これまでの積極的な利上げが経済にどのように浸透するのかを辛抱強く見極めていく」などとややハト派的なコメントを発したのに対し、後者のローガン総裁は「金融引き締め停止を判断する用意はない」ことを示唆していた。当局者のあいだでも判断の分かれる局面にあることは間違いなく、今後発表される米経済指標の内容などにさらに注目が集まりそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日もドルが続伸。年初来高値を更新し、138.74円まで一時大きく続伸している。リスクということでは間違いなくドル高方向にバイアスが掛かり、次の強い抵抗と目される139円半ばを目指したドルの続伸も。しかし、11日安値133.75円を起点としても1週間で約5円の上昇をたどっている。そろそろ調整が入っても不思議はない。実際、3月後半からの動きをみると、4-5円で一旦ピークを付けることも多いだけに、一時的なドルの下押しにも注意を払いたい。
関心の高い米金融政策については、前述したように米通貨当局者のあいだでも見方は統一されていない。発表される米経済指標の内容によっては金融市場が一喜一憂することになりそうで、引き続き予断を許さず。しかし、懸念要因となっていた米債務上限問題は明確なエビデンスが示されていないものの、「今週末にも原則合意に達する可能性がある」(共和党のマッカーシー下院議長)といった楽観的な見通しが多くなっておりドルの支援要因に。日本発の各国政治あるいは国際情勢などを注視しつつも、ドルは基本的に底堅く推移する可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は年初来高値を更新し、138.74円までドルが続伸。移動平均の200日線上抜けに続き、年初来高値の突破でドルの上値余地がさらに広がった感がある。ちなみに、次のドルの上値メドは昨年高値151.94円を起点とした下げの半値戻しに当たる139円半ば。それも超えると140円台超えがいよいよ現実的に。
ただ、ポジション的な偏りなどを加味すると短期的には調整の動きにも一応要注意だ。
本日はとくに目立った米経済指標の発表は予定されておらず。しかし、NY連銀総裁による講演やパウエルFRB議長による討論会参加など要人の発言機会が非常に多い。また、先でも取り上げたG7サミットがいよいよ始まるだけに、各国首脳による発言なども合わせ注意をしておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.40-138.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値138.70-75円の攻防にまずは注目。超えれば139円台乗せもありそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日上抜けたあと一度も割り込んでいない138円レベルが最初のサポートか。割り込めば、昨日安値137.29円が再び視界内へと捉えられる可能性も。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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