金利差による円売りとリスクオフの円買いと
〇先週のドル円、137.77レベルの高値から週後半は133.50レベルへ3日間で4円以上もの円高に
〇日銀会合前の水準は下回らず、日銀会合後に積み上げた円売りポジションの解消程度の動きに留まる
〇5/9に米国債務上限引き上げ協議が行われることを前に短期的にはリスクオフの色合いが強まる
〇主要3極の中銀会合を終え金融政策の温度差により円が最弱であることは常に再認識されやすい地合い
〇今週は133.80レベルをサポートに、135.80レベルをレジスタンスとする流れと見る
今週の週間見通し
先週のドル円は、火曜までは前週の日銀の大規模緩和継続の余波から円安地合いが続き、東京後場には週間高値となる137.77レベルの高値をつけていました。しかしファースト・リパブリック銀行の破綻と買収以降、米銀に対する不安が拭い去れず金融市場は株式市場を中心にリスクオフの動きが木曜まで続き、円買いが強まったことから133.50レベルまで3日間で4円以上もの円高を見ることとなりました。
しかし、それでも日銀会合前の水準は下回ることなく、日銀会合後に積み上がった円売りポジションが解消されたという程度の動きに留まり、金曜には予想よりも強い雇用統計の結果から135円台に戻したものの戻り売りも根強いこと、米国債務上限引き上げの協議が9日に行われることを前に短期的にはリスクオフの色合いが強まっている状況となってきました。
ただ、債務上限の引き上げが行われないと6月にも米国は債務不履行に陥るため、最終的にはギリギリのところで一時的な引き上げも含め何らかの引き上げが行われることは間違いないところです。ただ共和党、民主党とも財政均衡派もいますので、落としどころを見つけながらギリギリまで引っ張られるという構図です。
米地銀の破綻と買収も続く中で、債務上限問題も加わってリスクオフに目が行きやすいのですが、主要3極の中銀会合が終わり、6月以降も引き締めを継続するECB、ターミナルレートに到達した可能性が非常に高いFRB、大規模緩和が続き出口戦略が見えない日銀と市場が落ち着けばこの金融政策の温度差により円が最弱であることは常に再認識されやすい地合いです。
金融政策要因によるサポート(先々週安値133.01レベル)、米銀不安と債務上限問題のリスクオフによるレジスタンス(先週高値137.77レベル)とを考えると、今週はそのレンジの中で落ち着きどころを探す週ということになります。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
上述の先々週安値と先週高値、そしてその半値に青のラインを引いてあります。半値の135.39を現時点でのニュートラルな水準と見てよさそうですし、3月安値からのサポートライン(ピンク)も依然として効いているようです。現在このサポートラインは133円台後半まで上がっていて、同水準がサポートとなってきます。
また上側は半値をニュートラルとすると、先週高値と安値との半値135.63(緑)が最初のレジスタンスの目途ということになるでしょう。今週はこれら2つのテクニカルな水準を参考にして、133.80レベルをサポートに135.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月8日(月)
**:** LDN市場休場
08:50 日銀会合(3月)議事要旨公表
10:30 豪州4月企業景況感
10:30 豪州3月住宅建設許可
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
23:00 米国3月卸売売上高
5月9日(火)
08:01 英国4月小売売上高
09:30 豪州5月消費者信頼感
**:** 中国4月貿易収支
15:45 フランス3月貿易収支
17:00 レーンECB理事講演 ☆
25:05 NY連銀総裁講演 ☆
5月10日(水)
15:00 ドイツ4月CPI
16:00 トルコ3月失業率、鉱工業生産
20:20 ポルトガル中銀総裁講演
21:30 米国4月CPI ☆
23:30 週間原油在庫統計
5月11日(木)
08:01 英国4月住宅価格
08:50 日銀会合(4月)主な意見公表 ☆
08:50 本邦3月貿易収支(国際収支)
10:30 中国4月CPI・PPI ☆
20:00 英中銀MPC結果発表 ☆
20:30 英中銀総裁会見 ☆
21:30 米国4月PPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
**:** G7(〜13日)☆
5月12日(金)
15:00 英国1〜3月期GDP速報値 ☆
15:00 英国3月貿易収支、鉱工業生産
15:00 フランス4月CPI
21:30 米国4月輸入物価
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
5月14日(日)
**:** トルコ大統領選
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
*ゴールデンウィークによる祝日のため、通常とは異なる書式となっています。
5月1日(月)
週明けのドル円は金曜の日銀会合で示された緩和継続の余波から円安が先行、後場には136.98レベルの高値をつけましたが、137.00の売りオーダーに阻まれ136円台後半でもみあいのままNY市場に入りました。NY市場では強い経済指標に反応して米金利が上昇、ドル円は137円を上抜け137.54レベルまで上伸後に高値引けとなりました。
5月2日(火)〜5月4日(木)
ドル円は火曜高値137.77レベルから木曜安値133.50まで連日円買いが続き4円以上もの下げを演じることとなりました。この間、2日は求人件数が予想よりも低く米金利低下によるドル売りに加え、恒例行事ではあるものの米国債務上限問題によるリスクオフによる円買い。
3日はFOMCが予想通り0.25%利上げとなったものの、米銀破綻が続く不安から銀行株が下げたことによるリスクオフ加速で更に円買い。
4日は大幅利上げ思惑が後退していたもののECBは0.25%と小幅な利上げに留まったことでユーロ円に売りが入り、米株市場ではリスクオフも継続し株安と円高となりました。
5月5日(金)
ドル円は東京市場が休場ということもありNY市場までは134円台前半の狭いレンジでのもみあいが続きました。米国雇用統計がNFP、失業率とも予想よりも強い結果となり、135.13レベルまでドルが買い戻される動きとなったものの、135円台では売りも出たこと、ユーロドルの会が出たことから134円台後半へと押して引けました。
ディスクレーマー
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