ドル上値は重い展開か、米金融不安など注視
〇先週のドル円、当初ドルは上値を試す展開で一時137.78まで値を上げるも続かず
〇米金融不安再燃が嫌気され一転して下値を試す動き、4円以上下落し133.50で下げ止まる
〇週末の米雇用統計が良好で再びドル高へ振れ末NYは134.80-85で取引を終え越週
〇2日のNY市場でパックウエスト・バンコープが一時40%を超える下落
〇4日未明米FOMCで政策金利0.25%引き上げ発表、利上げは今回で打ち止めになる可能性示唆
〇今週のドル/円予想レンジは、133.00-137.00
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが弱含み。ただ、週末に発表された米雇用統計が良好な内容だったことで、最終盤にかけてはドルが買い戻されている。
前週末は、ロイターが「米ファースト・リパブリック銀、公的管理下に置かれる可能性」と報じ物議を醸すなか、実施された米韓首脳会談における「ワシントン宣言」などに対し、北朝鮮が猛烈な反発姿勢をみせていたことも話題に。
そうした状況下、ドル/円は136.25-30円で寄り付いたのち、当初ドルは上値を試す展開。一時137.78円まで値を上げ、年初来高値137.91円へと接近するも続かず。米金融不安が再燃したことなどが嫌気されると一転して下値を試す動きとなった。目先高値から4円以上下落した133.50円でドルは下げ止まると、週末の米雇用統計の発表待ちに。しかし、その内容が良好だったことで再びドル高へと振れると、週末NYは134.80-85円で取引を終え越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融不安」と「米金融政策」について。
前者のうち、前週末に急展開した米中堅銀ファースト・リパブリック問題は、最終的に「米銀最大手JPモルガン・チェースが預金と資産を買収する」ことが明らかになり、金融市場もおおむね歓迎ムード。前週に大きく下落した同行株価も持ち直しの動きを見せた。しかし、2日のNY市場でパックウエスト・バンコープが一時40%を超える下落をたどったほか、別途ウエスタン・アライアンスの株価も大きく下落するなど、米金融不安が再燃した格好に。また、英紙FTなど一部メディアが上記2行の「身売りを検討」と伝え、それを銀行サイドが否定するなど混乱は週末になっても収まらず。今週も引き続き関連のニュースには注意を払いたい。
対して後者は、注目されていた日本時間4日未明の米FOMCで、主要政策金利の0.25%引き上げが発表された一方、利上げが今回で打ち止めになる可能性も示唆された。声明から「追加引き締めが適切となる可能性を見込む」との文言は削除された反面、「入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」などといった記述に変更されている。また会見でパウエル議長自身は「インフレが高止まりすれば利下げはしない」と発言。これが逆に利下げの可能性はゼロではない、といった受け止められ方をしてドルの弱材料となっていたようだ。一方、同日欧米時間にECBが「0.25%の利上げ」を発表。事前予想どおりの上げ幅で、またそののちラガルド総裁から、インフレ抑制に向け利上げを「停止しない」、「なおやるべきことがあると認識している」などとした発言も聞かれていた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円は、4月26日の133.02円を目先安値に137.78円まで1週間で4.8円ほどの上昇をたどったものの、そのほとんどをわずか2-3日ですべて吐き出す展開。チャートの波形を見ても完全なる「行って来い」の様相で、値動きはなかなか荒っぽい。そののち週末に発表された米雇用統計でやや持ち直したが、今週も基本的にドルの上値は重そうだ。油断は禁物ながら前述した4.8円レンジ、そのなかでも134-136円を中心としたなかで次の方向性を探る動きをたどる可能性もある。
市場で注目されていた日米欧の金融政策が先週末までに発表された。単純な金利差や今後の金利情勢を考えた場合、ユーロがもっとも強く次いでドル、そして円という順序になりそうだ。少なくとも円を積極的に買っていくという理由は乏しい。ただ懸念材料が2つあり、うちひとつは前段でも取り上げた再燃している米金融不安。今週さらなる広がりをみせ、新たな破綻や買収といった話が出るようだと金融市場の波乱要因となりかねない。また、今週がヤマ場を迎えるとされるロシア情勢にも要注意。状況如何では地政学的にみて、ユーロの弱材料になる危険性もあるだろう。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は137.78円まで上昇し年初来高値137.91円に接近するも上抜け出来ず。週足も陰線引けとなった。一時期「しっかり」上抜いた移動平均の200日線を再び下回るなど、ドルの上値の重さが再確認された。200日線をクリアに超えていくにはいま少し時間が必要か。
しかし、ドルの下値も堅そうで133円台は目先買い場との認識。とするなら短期的には134-135円台を中心としたレンジ取引の可能性が高いだろう。
今週は、4月の生産者物価指数や5月のミシガン大消費者信頼感指数速報値などの重要な米経済指標の発表が相次ぐ。ただ、先週までの日米欧の金融政策発表に続き今週は英国などで金融政策が発表されるうえ、週末にかけては日本でG7財務相・中銀総裁会議が予定されている。広義の欧州ファクターや政治要因にも一応要注意だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、133.00-137.00円。ドル高・円安については、先週末高値の135.12円が最初の抵抗で、超えれば135円台後半を目指す。仮に136円を抜ければ強い抵抗がしばらくなく、200日線が意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、週間を通してジリジリとレベルを切り上げる移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。ちなみに週初は134.40円レベルに位置している。割り込めば、先週安値133.50円が視界内に入るが、それでもドルは底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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