ドルインデックスとユーロ円に注目(週報10月第四週)

ドル円は相変わらず方向感のはっきりしない展開が続いています。

ドルインデックスとユーロ円に注目(週報10月第四週)

前週の主要レート(週間レンジ)

      始値     高値     安値     終値
ドル円  104.04   104.38   103.17    103.82
ユーロ円 114.09   114.68   112.62   112.98
ユーロドル 1.0966  1.1039   1.0859   1.0883
日経平均 16871.84 17288.89  16821.49   17184.59

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

10月17日(月)

週明けの為替市場はドル円が細かく上下に振れ方向感が全く見られない中、ユーロドルが一段安となり東京朝方に1.0964レベルの安値をつけました。しかしECB理事会を前にして大台割れでは買い戻しも強く、その後は終始じり高の展開となりました。ドル円もユーロの動き(ユーロ買い・ドル売り)について103円台後半へと押しましたが、方向感が出ることはありませんでした。

10月18日(火)

ドル円は前日の流れを受け朝方に103.68レベルまで水準を下げたものの、その後は株価の上昇とともにじり高の動きとなりNY市場前場には104.20レベルまでドル買いの動きとなりました。しかし戻り売りも出て引けにかけては104円割れ、103円台後半の狭いレンジの中で方向感を見いだせないまま引けました。いっぽうユーロドルは、欧州市場序盤までは理事会を控えてユーロの買い戻しが継続していましたが、戻り売りも強くNY市場に入ってからは、英国政府がEU離脱には議会の批准が必要となる可能性に言及したことでユーロポンドの売りも手伝って1.09台後半へと下押しする動きとなりました

10月19日(水)

東京市場では動意薄となっていたものの、後場に日銀が次回会合で追加緩和を見送るとの観測記事が流れ、それをきっかけに円買いの動きとなりました。ドル円はユーロ円をはじめとするクロス円の売りにも押され、NY市場前場には103.17レベルの安値を示現、その後も上値の重たい地合いでの引けとなりました。ユーロドルは前日安値圏でのもみあいを継続していましたが、ECB理事会におけるQE延長の思惑も出て1.0955レベルと直近の安値を若干更新し上値が重たいままのクローズとなりました。

10月20日(木)

ECB理事会後のQE延長思惑からユーロが東京市場から上値の重たい展開となりました。前場はユーロ売り・ドル買いの動きからドル円は底堅い動きとなっていましたが、後場に入り株価が下げ始めるとともにユーロ円の売りも重なってドル円も下げる動きへと転じました。海外市場に移ってからもユーロの売りは続き、NY市場朝方にはダウが大きく下げたこともあって、ユーロ円が112.62レベル、ドル円も引っ張られて103.52レベルの安値を付けました。その後はダウの買い戻しとともにドル円、ユーロ円は週末前の買い戻しが入りましたが、ユーロドルは1.0859レベルの安値を付けた後も上値の重たいままでの週末クローズとなりました。

10月21日(金)

ECB理事会後のQE延長思惑からユーロが東京市場から上値の重たい展開となりました。前場はユーロ売り・ドル買いの動きからドル円は底堅い動きとなっていましたが、後場に入り株価が下げ始めるとともにユーロ円の売りも重なってドル円も下げる動きへと転じました。海外市場に移ってからもユーロの売りは続き、NY市場朝方にはダウが大きく下げたこともあって、ユーロ円が112.62レベル、ドル円も引っ張られて103.52レベルの安値を付けました。その後はダウの買い戻しとともにドル円、ユーロ円は週末前の買い戻しが入りましたが、ユーロドルは1.0859レベルの安値を付けた後も上値の重たいままでの週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月24日(月)
**:** ウェリントン市場休場
08:50 本邦9月貿易収支
16:00 フランス10月製造業PMI速報値
16:30 ドイツ10月製造業PMI速報値
17:00 ユーロ圏10月製造業PMI速報値
19:00 英国10月CBI製造業受注指数
21:30 米国9月シカゴ連銀全米活動指数
22;00 NY連銀総裁講演
22:05 セントルイス連銀総裁講演
22:45 米国10月MarkIt製造業PMI速報値
25:15 スイス中銀総裁講演
25:15 オーストリア中銀総裁講演
27:00 パウエルFRB理事講演

10月25日(火)
15:45 フランス10月企業景況感
17:00 ドイツ10月ifo景況感指数
22:00 米国8月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国10月消費者信頼感指数
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業指数
23:00 米国10月IBD景気楽観度指数
23:30 ドラギECB総裁講演
23:35 英中銀総裁議会証言
26:20 (アトランタ連銀総裁講演)

10月26日(水)
09:30 豪州7〜9月期CPI
15:00 ドイツ11月GFK消費者信頼感
15:45 フランス10月消費者信頼感指数
16:00 欧州理事会議長議会証言
21:30 米国9月卸売在庫
22:45 米国10月MarkItサービス業PMI速報値
23:00 米国9月新築住宅販売件数
23:30 米国週間原油在庫

10月27日(木)
06:45 NZ9月貿易収支
09:30 豪州7〜9月期輸入物価指数
17:30 英国7〜9月期GDP速報値
18:30 南ア9月PPI
21:00 オーストリア中銀総裁講演
21:30 米国9月耐久財受注
23:00 米国9月中古住宅販売保留件数指数
26:00 メルシュECB理事講演

10月28日(金)
08:30 本邦9月CPI、10月東京区部CPI
08:30 本邦9月失業率、有効求人倍率
09:30 豪州7〜9月期PPI
14:30 フランス7〜9月期GDP速報値
16:00 スペイン7〜9月期GDP速報値
16:30 クーレECB理事講演
18:00 ユーロ圏10月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ10月CPI速報値
21:30 米国7〜9月期GDP速報値
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感指数確報値

10月30日(日)
 **:** 欧州、英国夏時間終了

今週の週間見通し

ドル円は相変わらず方向感のはっきりしない展開が続いています。ここ半月ほどは102円台後半の買いと104円台半ばの売りに挟まれています。直近のところでは、さらに買いオーダー、売りオーダーともに値幅を縮めている印象があり、米国を中心とした主要国の金融政策に対する思惑だけでは動きにくい状態となってきました。

ただ、12月のFOMCでの利上げ思惑がコンセンサスとなっていることから考えると、今後その思惑を後退させるような経済指標が出てきた時の方が、影響は大きいであろうと考えられます。今週も経済指標や講演は続きますが、方向感が出て来るほどの影響も無さそうで、来週の雇用統計まではもみあい相場が続きそうです。

今週のドル円も、狭いレンジの中でのもみあいを想定し103.00レベルをサポートに、104.50レベルをレジスタンスとしておきます。

今週はユーロドルとユーロ円について見ていきます。

さて、ここに来て動きが出てきたのが欧州通貨です。英国のEU英脱に議会の批准が必要となる可能性からポンドが売られ、更にはECBが12月の検証でQE延長を決定する思惑からユーロも売られてきました。ユーロドルは、上値は重たかったものの動意薄の展開が続いていたのですが、ここに来て6月の英国国民投票後の安値を下回ってきたことから、ユーロドルもまた一段安の可能性が出てきたと考えられます。

ひとつ気になる点として、ドルインデックスの水準があります。次のドルインデックス(最も多く見られているNYBOT先物ベース)週足チャート(過去3年分)をご覧ください。

            ドルインデックス 週足

            ドルインデックス 週足

ここに来て全般的なドル高傾向が見られるためにドルインデックスも上昇し、100の大台が視野に入りつつある展開となってきました。しかし、2015年から2016年初にかけて100の大台は何度か試したものの抜けられない流れが繰り返されています。これは、米国内で行き過ぎたドル高は避けるべきという見方が産業界を中心に、政府やFRBでも考えられているためです。

しかも、ドルインデックスの構成要素はユーロが6割近くを占めていて、ユーロの一段安(ドルの一段高)はドルインデックスの上昇に素直につながります。100の大台まで残すところ約1.30、ユーロドルに換算すると1.0740レベルと意外と近い水準です。つまり、いったん調整が入りやすい水準としてユーロドルの1.07台前半には注意が必要となります。

いっぽうで、もしユーロドルが下げても、ドル円が一緒に下がってユーロ円の下げが中心ということになるとドルインデックスへの影響は少なくなる可能性があります。ここでも、気になるのがユーロ円の週足チャートです。

              ユーロ円週足       

              ユーロ円週足       

6月の英国国民投票後、きれいな三角もちあいを継続していて、コンティニュエーション(継続)パターンであれば、それ以前の流れであるユーロ安の流れを再開する可能性があります。どちらかに抜けるまではもみあい継続と判断して、変な予断は挟まない方がいいとはいうものの、テクニカルには明らかにユーロ円の下げが近いという印象です。

今後、だいたい米国大統領選挙から12月FOMC頃までの中長期の見通しとして、欧州通貨の動きに注目しつつもドルインデックスとユーロ円の水準に注目したいと考えています。

ドル円(日足)チャート

             ドル円(日足)

             ドル円(日足)

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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