ドル円 しばらくはもみあうも、日柄的に年末年始は要注意(週報12月第4週)

20日の日銀会合でイールドカーブコントロール(YCC)の変動幅変更が発表されるというサプライズに金融市場は大荒れの展開となりました。

ドル円 しばらくはもみあうも、日柄的に年末年始は要注意(週報12月第4週)

ドル円 しばらくはもみあうも、日柄的に年末年始は要注意

〇先週のドル円、日銀によるYCC変動幅拡大で円急騰、安値130.58に至る
〇週末にかけ米金利上昇、ドル買戻しが続きNY市場で133.14レベル高値をつける
〇年内は動き収まるも年明けは荒っぽい展開か、日柄的に年末年始は要注意
〇本日は黒田日銀総裁の講演を予定、東京除く市場が全休場、28日には日銀会合主な意見を公表
〇今週は130.50レベルをサポートに、134.00レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円はクリスマス、年末を控えてそろそろ静かになるだろうという油断もあったかと思いますが、20日の日銀会合でイールドカーブコントロール(YCC)の変動幅変更が発表されるというサプライズに金融市場は大荒れの展開となりました。先週のコラムでも指摘した通りなのですが、YCCは当初はマイナス金利導入の副作用としての長期金利の下がり過ぎを避ける面が強かったのですが、その後は長期金利上昇時に指値オペを実施してきたことで長期金利のキャップとして意識され、緩和の補完的な役割を果たしてきました。

その変動幅を0.25%から0.5%へと広げ、指値オペの実施も0.5%とすることを発表したわけですから、黒田日銀総裁が何と言おうと日銀による緩和の出口戦略の第一歩と市場が捉えることは当然のことです。為替市場では一日で7円近い円高を見るなど、ポスト黒田日銀総裁体制における早期の緩和縮小を一気に織り込むこととなりました。これまでは主要国の中で唯一日銀だけが大規模緩和継続で来ましたので、ポジション調整は現在進行形と考える方がよさそうです。

ただ、先週は海外勢が金曜から実質的なクリスマス休暇となり、本日月曜までは参加者が激減すること、その後本邦勢が年末年始の休暇モード入りすることとなり、年内はいったん激しい動きは収まると見られます。気になるのは、こうした突然の方向転換後の年末年始ということで、東京が休場となる年明けに上下どちらの方向にも大きく振れるという可能性は考えておくべきでしょう。

今年はドル円が大きく動いた一年で特に秋以降に急速に円安が進みその後の大規模介入による反落と週間レンジが5円を超える週も多く見られました。年間レンジも38円を超え変動率では33.4%と過去最大の変動幅を記録したことを考えると当然かもしれませんが、年明け後もしばらくは円相場は荒っぽい展開となる可能性があります。日柄的にも年末年始はボラティリティが上昇しやすい時間帯に入っていますので注意が必要です。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円日足チャート

ドル円日足チャート

年初来高値から引いたレジスタンスラインとそれに平行に引いたラインとで構成される平行下降チャンネル(ピンク)の中での下げを続けている状況に変化はありません。下値については、今回抜けることが出来なかった8月安値130.39レベルが意識される流れとなっていますが、本来であれば今週は同水準までは試しきれないと見るのですが、上述した通り日柄面で荒れやすいことを考えると、年始までの間にトライする可能性も考えておいた方がよさそうです。

ここでは波乱は無い前提で、下側は同水準をサポート、下降チャンネルの上側ラインをレジスタンスと考え、今週は130.50レベルをサポートに、134.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきますが、流動性が低下している中での荒れ相場にはご注意ください。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月26日(月)
**:** 東京を除く主要市場が全休場 ☆
**:** 黒田日銀総裁講演 ☆

12月27日(火)
**:** NZ、豪州、香港、英国、カナダ市場休場
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
22:30 米国11月卸売在庫
23:00 米国10月住宅価格、ケースシラー住宅価格

12月28日(水)
08:50 日銀会合主な意見 ☆
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数
24:00 米国11月住宅販売保留件数

12月29日(木)
22:30 米国新規失業保険申請数
25:00 週間原油在庫統計

12月30日(金)
16:00 英国12月住宅価格
16:00 トルコ11月貿易収支
19:00 本邦12月介入実績公表
21:00 南ア11月貿易収支
23:45 米国12月シカゴ購買部協会景況指数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月19日(月)
週明けのドル円は週末に政府と日銀による共同声明見直しの可能性についての日経記事に反応しギャップダウンしてのスタートを切りましたが、政府からの否定発言ですぐに買い戻し、しかし週末終値までは戻すことなく欧州市場序盤には135.75レベルの安値をつけました。これは最近立て続けに日銀の出口戦略につながる話が出てくることもあり、警戒感も根強いということによります。その後海外市場に移ってからは米金利が一貫して上昇する動きに沿ってドル円も137.16レベルまで買い戻されたあとに若干押して引けました。

12月20日(火)
主要国の金融政策決定会合でも日銀会合だけは現状維持、無風通過と思われていましたが、蓋を開けてみたらイールドカーブコントロール(YCC)の変動幅を0.25%から0.5%へと拡大するという実質的な引き締めへの転換。この発表を受けて金利急上昇、株価急落、円急騰の動きとなりました。前週から月曜まで日銀関連の観測記事や思惑が出ていましたが、このような格好で出てくるということは全くの想定外でした。

12月21日(水)
前日の日銀によるYCC変動幅拡大という実質的な緩和縮小後の動きの落ち着きどころを探そうという1日となりましたが、7円近くも動いた後ということで、短期筋の利食いが目立った印象でした。さすがに下がったら買いといった以前のようなスタンスは姿を消したという感じでした。

12月22日(木)
東京前場に米金利低下の動きとともに131.64レベルまで下押しが先行したものの、その後は終日米金利がじり高となる動きに沿ってドル買いの動きとなりました。

12月23日(金)
ドル円は前日に続いて買い戻しが続きました。要因は米金利(10年債利回り)が前日海外市場からの上昇を続けたことによるものです。NYの引け間際には3.753%と11月30日以来の水準まで上昇し、ドル円もNY市場で133.14レベルの高値をつけましたが、欧米の主要な取引所が短縮取引となることや、週明け月曜がクリスマスの代休で東京を除く主要な市場が全休場となることもあって取引自体は低調な1日でした。

なおドル円週報は年内は本日が最終で、年明け2日はお休みとなり9日月曜から再開します。今年も一年間お世話になりましました。良い年をお迎えください。

ディスクレーマー

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