ドル円 薄商い続くなか、依然乱高下などに要注意(週報12月第4週)

先週のドル/円相場はドルが一段安。一時130円半ばと8月2日以来のレベルにまで弱含んだものの、週末にかけてはややドルの買い戻しも。

ドル円 薄商い続くなか、依然乱高下などに要注意(週報12月第4週)

ドル円 薄商い続くなか、依然乱高下などに要注意

〇先週のドル円、日銀政策修正を受け130.57まで一時下げた後、132.80までドルが買い戻され越週
〇日銀、事実上の利上げ表明で円買い殺到、円高再燃の動きには要注意
〇本日は黒田総裁が講演予定、薄商いのなか荒れた値動きをたどる可能性も
〇今週は12月ダラス連銀製造業活動指数、同リッチモンド連銀製造業指数を発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは130.50-135.00、上方向は133.14、133.50-60をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は132.16円を下回ると少し様相が変わるか、130円半ばはかなり強いサポートに

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが一段安。一時130円半ばと8月2日以来のレベルにまで弱含んだものの、週末にかけてはややドルの買い戻しも。

前週末、北朝鮮がまたぞろ日本海に向けてミサイル2発を発射したことが明らかに。ちなみに、当の北朝鮮は「偵察衛星開発の試験実施」と称していたもよう。それとは別に、共同通信が「政府・日銀の共同声明改定の方針を固めた」などと報じたことが話題に。
そうした状況下、ドル/円は前述した共同報道を受けて円買い優勢でオープン。上値にギャップを空ける136円レベルで取引が開始されている。その後は、松野官房長官が共同報道を否定するなど、思惑交錯のなか135.00-137.50円といったレンジ内でのなかなか激しい往来相場。しかし、20日に市場の不意を突いた格好で日銀が事実上の利上げに踏み切ったことがサプライズとなり、円は一時全面高に。ドル/円も130.57円まで値を下げている。ただ週末NYは132.80円レベルと、さすがにドルが買い戻されて越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日銀金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、20日に日銀が金融政策決定会合の結果として、政策金利をマイナス0.10%で維持すると発表。こちらは予想通りの内容ながら、同時に「長短金利操作の運用を一部見直し決定」、「長期金利の許容変動幅の上限を0.5%程度に引き上げ」としたことがサプライズで、為替市場では円買いが殺到する展開となった。そののち、反応の大きさに驚いたのか「今回の措置は利上げではない」、「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響に十分注視」などと発言、火消しに動いたものの円高地合いそのものは週末にかけても継続している。なお、今後の多少長いタームの見通しについて、ブルームバーグは外資系大手のソシエテ・ジェネラルが「日本の投資家に外貨建て資産でのヘッジを促す圧力を強め、一段の円上昇につながる可能性がある」と指摘していたと報じていた。足もとはやや小康を保っている円高再燃の動きにも要注意かもしれない。

対して後者は、習指導部が閉幕した毎年恒例の中央経済工作会議で、「新型コロナ対策が新たな段階」に入ると表明。感染対策と経済の両立を目指す「ウィズコロナ」を進め、経済の安定成長を目指す構えを明らかにしている。コロナ陽性者であっても軽症者の出勤を容認するなど180度の政策転換だが、一方現地紙では「北京市内で新型コロナ関連の死者が急増、病院の遺体安置室が満杯になっている」といった報道も観測されるなど、現場サイドは混乱しているようだ。また「市民が自主的に外出を控えており、旅行や経済活動が落ち込んでいる」とした分析も聞かれており、中国経済の回復に懸念を示す向きも。政策の継続性を含め先行きが気掛かりだ。

<< 今週の見通し >>

週末にかけてドルは小反発に転じたものの、先週のドル/円相場は大きくドル安・円高が進行している。週間を通した値動きも7円近くに達し、これは週初の147円台から週末138円へと急落をたどった11月7-11日週以来、今年2番目の下げ幅だ。暦的にはまだ年内、2022年相場だが、クリスマス明けとなる多くの海外勢にとっては今週から気持ちは新年入り。新たな気持ちで新規のポジションメークに取り組む向きも少なくなさそう。今週も基本薄商いのなか、荒っぽい変動には十分注意を要したい。
ほぼ想定外だった日銀による事実上の利上げ表明を受け、マーケットはいまだ混乱している。今週も、主要な欧米市場が「ボクシングデー」で休場となる週明け26日に黒田日銀総裁が講演を実施する予定とされており、発言内容をめぐり思惑が交錯。荒れた値動きをたどる可能性もある。また、その後も週末にかけ今度は本邦勢を中心に年末年始を迎えるだけに、材料はもちろんのこと日柄的な要因に注目した薄商いのなかの投機筋の仕掛けなども頭に入れておきたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は11月21日につけた142.25円を起点に、130.57円までおよそ1ヵ月で11円を超えるドル安進行となった。その過程で、移動平均の200日線をはじめとする複数のテクニカルポイントを割り込んでおり、リスクという意味では下向きか。ドルの続落にも一応要注意。
しかし予断を許さないものの、短期的には先の130.57円で取り敢えず底入れし、目先は底堅く推移するとの見方もある。135円台へとしっかり乗せれば下値リスクはだいぶ軽減しそうだが、果たして如何に。

今週は、12月のダラス連銀製造業活動指数や同リッチモンド連銀製造業指数などの米経済指標の発表が予定されている。パウエルFRB議長も来年1月のFOMCについて「利上げ幅はデータ次第」と指摘していることもあり、引き続きその内容には要注意だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、130.50-135.00円。ドル高・円安については、先週高値の133.14円、そして133.50-60円をめぐる攻防にまずは注目。超えれば135円を再び目指す展開となりそうだ。
対してドル安・円高方向は、安値130.57円を示現後たどっている緩やかな右肩上がりが続くか否かが最初のポイントか。そうした意味では先週末安値の132.16円を下回ると、少し様相が変わるかもしれない。ただ、いずれにしても130円半ばはかなり強いサポートに。

ドル円 薄商い続くなか、依然乱高下などに要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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