上値トライ失敗か、ドルは頭の重い展開も(10/4夕)

4日の東京市場はドルが小高い。一時はドル売りが先行する局面も見られたが底堅く、その後は144円台後半での強保ち合いに。

上値トライ失敗か、ドルは頭の重い展開も(10/4夕)

上値トライ失敗か、ドルは頭の重い展開も

〇本日のドル円、当初はドルじり安で144.40レベルへ下押しするも、一転145円台乗せをうかがう動き
〇英国、大型減税案の一部撤回を発表、市場では引き続き英国情勢を注視する動き
〇昨日145円台回復するも、米ISM製造業景況指数不冴えで144円台へ押し戻され、ドル高トライ失敗の感
〇週末に米雇用統計発表を控え、短期的には再び144円台を中心とした一進一退で上値の重い展開か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは144.00-145.10、ドル高・円安方向は144.90レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は昨日安値144.16をめぐる攻防にまずは注目

<< 東京市場の動き >>

4日の東京市場はドルが小高い。一時はドル売りが先行する局面も見られたが底堅く、その後は144円台後半での強保ち合いに。

ドル/円は144円半ばで寄り付いたのち、当初はドルがじり安。北朝鮮によるミサイル発射を受けた地政学リスクの高まりも取り沙汰されていた。144.40円レベルへとわずかに下押している。しかしドル安は続かず、切り返すと一転して145円台乗せをうかがう動きに。結局145円には届かなかったが、その後は144円台後半での強保ち合い。16時現在、144.70-75円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「英国情勢」について。
前者は、本日早朝7時過ぎに北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本はプチパニックに。北朝鮮によるミサイル発射は、この10日間で5回目。また今年だけでも23回も観測されており、悪い意味で慣れっこになっていた感もあったが、北海道などでJアラートが発令されたこともあり一部では緊張感が急速に高まった。実際、北海道新幹線が止まるなど生活への影響もあったようだ。結果的に日本への被害はなく、金融市場への影響もほとんどなかったが、前述したようなここ最近のミサイル発射頻度の高さは気掛かりだ。

対して後者は、先日までトラス首相が強固に「撤回しない」と主張していた大型減税案について、クワーテング財務相が所得税の最高税率引き下げ案、大型減税案の一部を撤回することを明らかにした。政権発足からわずか1ヵ月、屈辱的な政策変更が強いられた格好だが、市場では引き続き英国情勢を注視している向きも多い。以前にもレポートした英世論調査大手ユーガブの発表で、与党保守党の支持率がわずか「21%」にとどまっているなど、政権不安を警戒する声も多かった。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は昨日東京時間、9月22日に観測された政府・財務省介入後はじめて145円台を回復した。その後も145円台をキープする時間は結構長く、定着期待も取り沙汰されたが発表された米ISM製造業景況指数が失望に終わると、ドルは144円台へと再び押し戻されている。円買い介入への警戒感が高いことは言うまでもないが、昨日ドル高トライが失敗した感があるだけに、しばらくは上値の重い展開をたどる可能性もありそうだ。
昨日欧米時間だけでドル/円は1円を超える変動をたどっており、本日も予断を許さず。発表される米経済指標の内容や発言次第で、昨日のような乱高下をたどる展開も否定できない。しかし、市場の関心は日米よりも、英国やロシアを含めた広義の欧州に依然高い状況だ。そうした意味では引き続きユーロやポンドの動意にこそ、注意を払いたい。また、それとは別に北朝鮮を中心としたアジア発の地政学リスクに関するニュース、続報も場合によっては波乱要因に。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週形成していた145円レベルを上限とした新レンジを一時上抜けたものの、結果としてトライに失敗。まだ断定はできないが、上値はやや追いにくくなった感もある。短期的には再び144円台を中心とした一進一退で、いま一度仕切り直しか。関心が英国情勢などに高いうえ、週末に注目の米雇用統計発表が控えていることも、足もとのレンジ取引を予感させる一因だ。

本日は米経済指標として、8月の製造業受注指数や同耐久財受注確報が発表されるほか、NY連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁による講演や挨拶なども引き続き多く注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは144.00-145.10円。ドル高・円安方向は本日東京高値にあたる144.90円レベルが最初の抵抗。超えると再び145円乗せを否定できないが、それでも頭は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日安値144.16円をめぐる攻防にまずは注目。また前後にサポートは多く、仮に144円割れとなっても取り敢えずは底堅そう。

上値トライ失敗か、ドルは頭の重い展開も

ドル円日足


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