ドル円、米JOLTS労働力調査の悪化をトリガーに急落。一時144円割れ(10/5朝)

4日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、米JOLTS労働力調査の悪化をトリガーに急落。一時144円割れ(10/5朝)

ドル円、米JOLTS労働力調査の悪化をトリガーに急落。一時144円割れ

〇ドル円、米指標不冴えによる米長期金利低下に米国時間に一時143.90まで急落
〇ユーロドル、米金利低下に伴うドル売り圧力や、欧州株の堅調推移に一時パリティを回復
〇ドル円、145円以上は介入警戒感強く、上昇余地乏しい
〇目先は過度な利上げ織り込みの剥落を通じ、米ドル売りの流れが強まるか
〇ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想、本日米ADP雇用統計への注目度高い
〇本日の予想レンジ:143.25ー144.75

海外時間のレビュー

4日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。@北朝鮮による5年ぶりとなる日本上空を通過する形式での弾道ミサイル発射(北朝鮮は直近10日間で弾道ミサイルを5度発射→リスク回避の円買い圧力)や、A米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、アジア時間朝方にかけて、一時144.41まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、B日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りや、C日経平均株価の大幅上昇(リスク選好のクロス円上昇→ドル円連れ高)、D短期筋のショートカバーが支援材料となり、日本時間11時過ぎに、高値144.91まで反発しました。

もっとも、心理的節目145.00をバックに伸び悩むと、E政府・日銀による根強い介入警戒感や、F米JOLTS労働力調査(結果1005.3万人、予想1108.8万人)の市場予想を下回る冴えない結果、G米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは9/22以来となる3.56%へ急低下→米ドル指数は9/21以来となる110.0の大台割れ)、H心理的節目144.00割れに伴う短期筋のロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、安値143.90まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/5午前5時00分現在)では、144.05前後で推移しております。

4日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。@金融大手クレディ・スイスを巡る破綻危機への警戒感や、Aロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク、B欧州経済の先行き不透明感が重石となる中、アジア時間朝方にかけて、安値0.9806まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米金利低下に伴うドル売り圧力や、D欧州株の堅調推移、E短期筋のストップBUY、F米経済指標の冴えない結果が支援材料となり、米国時間午後にかけて、9/21以来となる高値1.0000(パリティ)まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/5午前5時00分現在)では、0.9990前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時144.91まで上昇するも、結局143.90まで反落する冴えない動きとなりました(日通し高値から約1円の値幅で急落)。アップサイドに「政府・日銀による介入警戒感」という強力なレジスタンスが残っているため、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、ドル円の上値余地は乏しいと判断できます(9/22に円買い介入を行った際の為替レートが145.90付近であったため、ドル円の145円upperは介入警戒感からドル円ロング勢のポジション手仕舞いが活発化しやすい。事実10/3にドル円が上昇した局面でも145.30をトップに急反落)。

日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りや、本邦貿易赤字を背景とした構造的な円売り圧力など、ファンダメンタルズ的な買い材料は引き続き多く揃っているものの、政府・日銀による介入警戒感が燻っている以上、ファンダメンタルズに沿った動きは期待できず、また、足元では英国による金融安定化を目的とした緊急措置発動や、米ISM製造業景況指数及び米JOLTS労働力調査の不冴な結果、豪中銀による予想より小幅な利上げ実施など、米金利低下を連想させる材料も増えつつあるため、目先は過度な利上げ織り込みの剥落を通じて、米金利低下→米ドル売りの流れが強まるものと推察されます(本質的な解決に至ったわけではないため、中長期的なドル買い・円売りを否定するものではありませんが、短期的には、ファンダメンタルズに基づくドル・ロング勢を苦しめる難易度の高い相場展開が続く見通し)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は、米MBA住宅ローン申請指数や、米9月ADP雇用統計、米8月貿易収支、米9月総合PMI、米9月ISM非製造業景況指数、アトランタ連銀ボスティック総裁講演などに注目が集まります。特に日本時間21:15に発表される米ADP雇用統計への注目度が高く、仮に市場予想を下回る結果となれば、今週末に予定されている米9月雇用統計への下振れ警戒(年末に向けての米経済の冷え込みを見越して採用凍結など労働市場に悪化の兆しが見られる恐れ)を通じて、米金利低下→米ドル売りの経路と、米景況感悪化→米ドル売りの経路が組み合わさる恐れがあるため、本日海外時間は米ADP雇用統計後のドル円急落リスクに警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:143.25ー144.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、米JOLTS労働力調査の悪化をトリガーに急落。一時144円割れ

ドル円日足

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