新規材料乏しいなか、ドルは底堅い値動きか
〇本日のドル円、135円台で推移し、一時135.55レベルまで値を上げる
〇ボウマンFRB理事「物価上昇が鈍るまで大幅利上げの継続を検討すべき」とコメント
〇先週末の米雇用統計後から流れが変化、134円半ばから後半で底堅い
〇本日は重要な経済指標の発表や米要人の講演発言予定もなし
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.50-135.60
<< 東京市場の動き >>
週明け8日の東京市場はドルが小じっかり。値幅そのものは決して大きくなかったが、135円台を中心にドルは終日底堅く推移している。
先週末は、中国による「ペロシ氏の訪台」抗議の動き。台湾周辺での活発な軍事行動が観測されたほか、日本に関する要因としては10日も実施されると伝えられた「内閣改造人事」が話題に。ただ副総理や官房長官、外相、財務相などは留任の見込みと報じられている。
そうした状況下、ドル/円は135円前後で寄り付いたのち、ドルが底堅い値動き。取引時間帯のほとんどを135円台で推移し、一時135.55円レベルまで値を上げていた。大きな意味ではレンジ内だが、先週末に発表された米雇用統計が良好だったこともあり、再びドル高方向へのリスクが感じられるとの見方も少なくない。16時現在、135.25-30円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ペロシ氏の訪台」と「米金融政策」について。
前者は、事前に脅しをかけていたにもかかわらず、ペロシ米下院議長が2日に台湾を訪問したことで、メンツを潰された中国が怒り心頭だ。同国外務省が米との軍事対話などの停止を発表したほか、具体的な内容は未定ながら「ペロシ氏への制裁を科す」とも発表している。さらに、7日に台湾攻撃を想定した大規模な軍事演習は一応終了したものの、国営メディアは早速「事実上の停戦ラインである中間線を越えた演習が今後も定期的に行われる」と伝えるとともに、黄海と渤海で新たな軍事演習を実施すると発表。周辺国威嚇の動きは、依然としてとどまることがなかった。
対して後者は、先週末5日に発表された7月の米雇用統計は予想以上の好数字に。前日にクリーブランド連銀総裁から発せられた「現在は景気後退ではない」との主張が裏付けられるなか、週末にはボウマンFRB理事が「物価上昇が鈍るまで大幅利上げの継続を検討すべき」とコメント。また、サンフランシスコ連銀総裁からも、「インフレを抑制するという点で金融当局が役割を果たしたといえる状況からは程遠い」などとした発言が聞かれていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は140円にとどかず、上値トライが失敗したことに続き、先週は130円台まで一時下落するも底割れできず、下値トライも失敗に終わった格好にある。そののちドルは再び上昇基調をたどると、本稿執筆時も135円台。ちなみにこれは、139.39円を起点とした直近下げ幅の半値戻しを超えており、次のターゲットは61.8%(135.95円)となりそうだ。近いレベルには移動平均の21日線も位置しており、上値は重そうだが、さらなるドルの戻りも否定できない。
各国金利情勢に対する市場の関心が高い反面、性急な利上げによる悪影響、景気後退観測などへの警戒感も根強いものの、先週末に発表された良好な米雇用統計が警戒感をかなり緩和させた感がある。一方で、アジアにおける地政学リスクが取り沙汰されており要注意だが、かつてほど市場筋のリスク回避志向は強くない。米株などの動き次第で予断を許さないものの、ドル/円はしばらくのあいだ底堅い値動きをたどる可能性がある。
テクニカルに見た場合、大局的にはレンジ取引の様相で方向性は乏しい。ただ、先週末の米雇用統計後から流れがやや変化したようで、134円半ばから後半でかなりの底堅さをうかがえるようになってきた。一方で、21日線なども近い136円前後では上値も重そうだが、しっかり超えれば再び139.39円の年初来高値を目指したドルの続伸も否定できない。
本日はこれといった米経済指標の発表が予定されていないうえ、米要人を中心とした講演などの発言予定もとくにはないようだ。新規材料難で、やや動きにくそうな雰囲気も。ただ、アジアの地政学リスクや欧州のエネルギー供給問題に絡む動きなどには一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは134.50-135.60円。ドル高・円安方向は本日東京高値にあたる135.55円レベルが最初の抵抗で、上抜ければ136円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含めた134.85-95円をめぐる攻防にまずは注目。ただ、割り込んでもドルの下値は底堅そうなイメージで大崩れは予想しにくい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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