ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続(週報8月第2週)

ユーロドル自体は思いのほか動きが鈍い一週間になったと言えます。

ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続(週報8月第2週)

ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続

〇先週のユーロドル、ドル円の動きに追随し買い限定的、動き鈍い一週間に
〇米金利上昇とドイツ金利が同様の動きたどる、ドル高がユーロ上値を抑えやすい流れに
〇強い米雇用統計結果によるドル買いで1.0141レベルまで急落後、1.01円台後半に戻し週末クローズ
〇今週の経済指標は英4〜6月期GDP速報値程度、先週同様動きにくいか
〇今週は1.0100をサポートに1.0300レベルをレジスタンス、先週と同じレンジとみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、ドル円が436pipsもの変動を見せたのに対して170pipsの動きに留まり、欧州材料が一巡し新規材料が出て来ない中で、基本的にドル円のドルの動きに追随しつつもユーロ円の動きもドル円に追随しユーロの動きを相殺したことからユーロドル自体は思いのほか動きが鈍い一週間になったと言えます。

台湾問題もウクライナとは異なり遠い地域での問題ですからウクライナのような地政学的なリスクとはなりません。先週の材料では複数のFRB関係者が市場の速すぎる緩和への転換見通しに修正を迫る発言をしたことによる米金利先高観がドル高の動きにつながり、ユーロの上値を抑えやすい流れとなりましたが、米金利上昇の裏ではドイツ金利もまた上昇し、ほとんど同じような動きをしています。ほぼ週を通して同様の動きを見せていたこともユーロドルとしての動きを鈍くしたと見てよさそうです。

参考までに米国とドイツの10年債利回りを日足で比較してみましょう。

ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続

青のラインが米国債(右側のスケール)、オレンジのラインがドイツ国債(左側のスケール)の利回りですが、動きは5月下旬から6月上旬を除くと相関係数もほとんどの期間で0.9(ほとんど同じ動き)を超えていることがわかります。

これまでのインフレによるECBの引き締め加速と年後半の景気後退懸念は現在でも変わりませんが、材料としてはやや使い古されてきた感が強く、ウクライナ問題やその後のロシアによる天然ガス供給削減なども常に悪材料ではあるものの、短期的な材料とはなりませんし、今週も経済指標やイベントも英国4〜6月期GDP程度しか無いため、動きにくそうな週となりそうです。

地合いとしてはドル円でのドルの動きに追随しつつも動きは鈍めという先週の動きを継続しやすいと考えています。材料的には判断しにくいためテクニカルに見てみましょう。いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続 2枚目の画像

年初来高値からの下降チャンネル(青)の中での動きを続けていますが、横方向のもみあいが既に3週間続いています。7月安値(=年初来安値)0.9951とその後の戻り高値1.0293(更新したので変更)の半値押し1.0122をサポートに、6月下旬の戻り高値1.0614と7月安値との半値戻し1.0282がレジスタンスとして効いている状況が続いています。

今週もこれら両水準を参考に1.0100レベルをサポートに1.0300レベルをレジスタンスと先週とまったく同じレンジを見ておくこととします。

今週のコラム

今週は英中銀MPC後にポンドが下げてきているためポンドドルの日足チャートを見ます。

ユーロ 過去3週のもみあいを今週も継続 3枚目の画像

MPC前はポンド買いの動きとなっていましたが、その後はじり安の動きを続けています。8月1日に短期的な高値をつけたと考えるとピンクの平行下降チャンネルの中で7月高値と先週高値の61.8%押しとなる1.1962(青のターゲット)をトライしやすい流れにあると見てよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月8日(月)
(特になし)

8月9日(火)
08:01 英国7月小売売上高

8月10日(水)
15:00 ドイツ7月CPI
21:30 米国7月CPI ☆

8月11日(木)
**:** 東京市場休場
08:01 英国7月住宅価格

8月12日(金)
15:00 英国4〜6月期GDP速報値 ☆
15:00 英国6月鉱工業生産、貿易収支
15:45 フランス7月CPI
18:00 ユーロ圏6月鉱工業生産

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月1日(月)
ユーロドルはドル円でのドル安に引っ張られてのドル売り・ユーロ買いの動きとなりましたが、ドル円だけでなくユーロ円でも売りが広がったことからユーロドルの買いは限定的で始値比+35pips、1日のレンジも70pipsに留まりました。

8月2日(火)
ユーロドルは東京後場までは底堅い動きをしていましたが、欧州市場序盤にドイツ国債の利回りが低下したことをきっかけにユーロ売りが出ると、その後はストップオーダーも巻き込んで一段安。NY市場ではFRB関係者のタカ派発言による米金利上昇も重なって1.0166レベルまで下げて安値引けとなりました。

8月3日(水)
ユーロドルはNY市場までは上下しながらも底堅く1.0210レベルまで水準を切り上げました。NY市場ではドル買いの動きから1.0123レベルまで下げた後、引けにかけてはやや買い戻され前日終値と同水準で引けました。

8月4日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り英中銀MPCに向けたポンド買いにつられてユーロでも買いが先行しました。MPCでは0.5%利上げと予想通りでしたが年後半のリセッションに言及したことからポンドは下げ、ユーロドルもやや下げたもののユーロポンドの買いで下支え、さらにNY市場ではドル売りの動きも加わって1.0254レベルまで上昇し高値圏で引けました。

8月5日(金)
ユーロドルはNY市場までは上値が重いながらも1.02台前半でのもみあいが続きました。NY市場では予想よりも強い雇用統計後によるドル買いの動きから1.0141レベルまで急落し、その後は1.01台後半に戻しての週末クローズとなりました。

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