調整色強まる、さらなるドル安進行にも注意
〇本日のドル円、ドル買い先行するも徐々に値を崩し、前日安値を下回る137.70前後まで続落
〇中期ドル高トレンドは継続しているが、短期的にはさらに調整色の強い展開、価格調整の可能性も
〇136円半ば近くにある移動平均の21日線をターゲットに、いま一段の下押しもあるか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.00-138.40、138円レベルの攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値の137.70レベルが最初のサポート
<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場はドルが弱含み。前日はしっかりと下回ることの出来なかった138円を、終盤にかけて割り込んできた。
ドル/円は138.10-15円で寄り付いたのち、当初はドル買い先行。日中高値の138.40円レベルへと値を上げている。しかし、徐々に値を崩すと138円割れへ。一旦は持ち直すも、夕方に掛けて再下落に転じると前日安値を下回る137.70円前後まで続落となった。16時現在ではそのままドル安値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「欧州エネルギー問題」と「新型コロナ」について。
前者はロイターが、ロシア国営ガスプロムが欧州の顧客に対し、「異常な」状況下にあるため、ガス供給を保証することができないと宣言したと報じている。ロシア産の天然ガスに頼る欧州情勢が気になるところで、実際、国際エネルギー機関(IEA)から欧州について、「ガスの消費をただちに抑えるよう」警告が発せられていた。そうしたなか、欧州はアゼルバイジャンとのあいだで、2027年までに天然ガスの輸入量を少なくとも倍増させることを盛り込んだ覚書に調印していた。エネルギー危機から脱出できるのか注目だ。
対して後者は、日本における感染者数も急増傾向で「第7波」入りが取り沙汰されるなか、中国の情勢を懸念する向きは多い。国営中央テレビによると、依然として高水準の感染者を記録している北京に近い港湾都市の天津、そして上海で大規模検査が実施されるうえ、カジノが集まるマカオはロックダウンを延長したという。中国自体もさることながら、世界のサプライチェーンに与える影響も注視されている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円の中期ドル高トレンドは継続しているものの、短期的にはさらに調整色の強い展開となっている。しかも、まだ完全に下回ったわけではないが、短期的なテクニカルサポートある137円後半から138円を割り込みつつあり、以前報じた「時間」ではなく「価格」調整の可能性も否定できなくなってきた。起点を6月半ば安値131.49円としたフィボナッチでは、上げ幅の23.6%押しが137円半ば、38.2%押しは136.35-40円となる。
来週26-27日の米FOMCにおける利上げ幅が「0.75%」となる公算が高まりつつあることで、足もとは調整と思しき動きが誘発している。米CPIの好数字などもあり、一時「1.0%の利上げ実施」との見方が有力視されていただけに、「織り込み過ぎた」ロングを吐き出す動きがドルの下押し圧力となっているようだ。基調そのものは変わらないにせよ、短期的には発表される米経済指標や株価の動きなどをにらみつつも、調整の動きがいましばらく続く可能性もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル高の調整であっても基本は価格ではなく時間調整と考えていたのだが、様相が少しずつ変わってきた感がある。先で取り上げたように、6月半ば安値を起点と考えても1ヵ月強で8円弱というドル高が進行したことからすると、目先高値から1.5円ほどしか下落していない現状は、確かに下値不十分とも思われる。136円半ば近くまでレベルを切り上げている移動平均の21日線をターゲットに、いま一段の下押しも否定できないだろう。
一方、本日は米経済指標として、6月の住宅着工件数や同建設許可件数の発表が予定されているほか、米企業の決算発表にも引き続き要注意。また、ロシア大統領がイラン・トルコ首脳と会談する予定とされ、そちらも注視されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは137.00-138.40円。ドル高・円安方向はまずこれまで抵抗として寄与していた138円レベルの攻防に注目で、抜ければ138円半ばなどを目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の137.70円レベルが最初のサポート。割り込めばフィボナッチポイントの137円半ば、そして137円がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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