「日米協調介入」警戒の動きも。ドル上値は重そう
〇ドル円、日中高値128.65-70へ値を上げるも、「日米協調介入」報道の後127.75レベルへ下落
〇130円突破に向けたドルの上値トライは一旦出直しの感だが、このあとも底堅い値動きをたどる可能性
〇しばらくは強保ち合い、127-128円台を中心とした時間調整の動き続くか
〇テクニカルには、4/20安値127.46をしっかり下回れば下値余地が広がりかねない
〇本日、米4月製造業PMI速報・総合PMI速報発表予定、政治ファクターにも要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは127.40-128.80、128.70レベルの攻防に注目
〇ドル安・円高方向は127.75レベルが目先のサポート、割り込めば127.46などがターゲットに
<< 東京市場の動き >>
22日の東京市場はドルが小安い。終盤にかけてドル売りが断続的に散見されると、一時128円割れも。
ドル/円は128.40円レベルで寄り付いたのち、ドルはじり高推移。日中高値である128.65-70円へと値を上げた。しかし、「日米協調介入」に関する報道が伝えられると流れが一変。ドルは一転して下値を試す展開となり、128円割れをたどると目先高値から1円近い下げを見せ127.75円レベルへ。16時現在では、そのままドルは安値圏127.85-90円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、プーチン大統領が「マリウポリでの激戦で勝利した」とする宣言を発表するなか、米国など西側からは「フェイクニュース」とする見方が相次いでいた。たとえば米国務省のプライス報道官は、「米政府はウクライナ軍が依然としてマリウポリを維持していると理解」と発言している。なお、そうしたなかIMFが開催されたが、ロシアの反対により「ウクライナ侵攻非難」の共同声明が採択できないといった機能不全が改めて露呈。G20や国連総会などを含め、今後ロシア排除の動きが強まる可能性もありそうだ。
対して後者は、日商会頭から「いまの円安レベルは日本経済によくない」とした発言が聞かれたものの、一方で開催されていたG7財務相・中銀総裁会議で「為替は主要な議題にならなかった」ことも明らかにされるなど、基本的な円売り安心感は依然根強い。そののち、実施された日米財務相会談についての内容が伝えられるなか、TBSテレビが「市場が注目していた協調介入についても議論されていたことがわかった」と報じ、前述したような目先高値から約1円ものドル売り・円買い進展を支援していたという。
<< 欧米市場の見通し >>
20日にドル/円は年初来高値129.41円を示現したのち、本日に至るまでドルは強保ち合いだ。リスクは依然としてドル高方向だが、130円突破に向けたドルの上値トライは一旦出直しとなった感を否めない。しかし、ここまでの流れを見ると、価格調整により大きな下押しが入るといった展開にはなっておらず、このあともドルは底堅い値動きをたどる可能性もある。結果として、127-128円台を中心とした時間調整、ドルは強保ち合いを続けることも否定できないようだ。
昨日、パウエルFRB議長が「5月FOMCでは0.5%の利上げも選択肢に入る」と述べるなど、日米金利差拡大観測に裏打ちされたドル高・円安基調はいまだ継続。しかし、前段で取り上げたTBSの報道「日米財務相会談で協調介入についても議論」が、足もとについては一段のドル高・円安に歯止めをかけていることは間違いない。「円買い」介入実施のハードルは非常に高いことで、個人的には飽くまで「低い可能性のひとつに過ぎない」と見ているが、先のTBS報道では「米側が協調介入を前向きに検討してくれるトーンだった」といった話も含まれていた。真偽を含め、追加情報などには一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円は130円を視界内に捉えつつも、ここ数日は調整局面ともいえる動き。127-128円台を中心とした、なかなか激しい往来相場だ。予断を許さないものの、このあともしばらくは強保ち合い、価格ではなく時間調整と思しき動きを続ける可能性もある。
ただし、フィボナッチの観点からすると、先月末安値121.28円を起点とした上昇幅の23.6%押しにほぼ合致する20日安値127.46円をしっかり下回れば、下値余地が広がりかねない。
材料的に見た場合、中長期的には上海市のロックダウンが「段階的」ながら、解除に向けて動き始めたことが好感されていた「中国情勢」。短期的には来週25日が軍事パレード実施などのXデーと目されている「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、4月の製造業PMI速報や同総合PMI速報などが発表されるほか、引き続き米企業の決算発表も予定されている。また、24日まで開催中のIMF・世銀春季会合など一連の政治ファクターにも依然として要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは127.40-128.80円。ドル高・円安方向は、本日東京高値を含め、時間足など短期ベースではなかなか強い抵抗となっている感の128.70円レベルの攻防に注目。超えれば再び129円台も。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の127.75円レベルが目先のサポート。割り込めば127.46円などがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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