ドルは高値更新、買われ過ぎだが続伸も
〇本日のドル円、年初来高値を大きく更新した116.75レベルまで上昇、円が全面安の展開
〇リスク回避志向の中ドルがより買い進まれる展開、中期的な上値メドは2016年12月の118.66か
〇来週開催の米FOMCへの関心が高い、発表される米経済指標に要注意
〇大きな流れはドル高だが短期的には調整先行もありうる、ドルの下押しにも一応注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは116.20-117.20、心理抵抗にあたる117円前後の攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、これまでの抵抗だった116.35や116.20などが下値メド
<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は円が全面安。ドル/円は年初来高値を更新したのちも続伸し、116.70円台まで一時値を上げている。
ドル/円は、116.15円レベルで寄り付いたもののしばらくは冴えない。前日記録した高値116.19円前後では上げ渋ったものの、上抜けるとそのまま夕方に掛けてドル一段高。年初来高値を大きく更新した116.75円レベルまで上昇し、16時現在でもそのまま高値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、本日の東京市場はドル/円以外でも円は弱含み。全面安と言ってもよい展開で、ユーロ/円やポンド/円などもおおむね上値を試す動きをたどっている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ウクライナ情勢」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアのエネルギー省が「チェルノブイリ原発の電力回復」と発表した反面、ウクライナが、IAEAに対して、「チェルノブイリ原発に隣接する放射性廃棄物施設と連絡が取れなくなった」と伝達したと報じられるなど情報が錯綜。原発の安全確保は単に両国だけの問題でなく、欧州そして世界の問題でもあるだけに続報などにはこのあとも注意を払いたい。なお、そうしたなか引き続き世界からのロシア制裁の動きが相次いでおり、ついには国際決済銀行(BIS)が、ロシア中銀の参加を停止したと発表している。
対して後者は、これまでロシアへの肩入れが目に付いた中国だが、スタンスがだいぶ変化しつつあるようだ。本日も李首相が記者会見で、「ウクライナ情勢を大変憂慮している」としたうえで、「国際社会とともに平和を取り戻すため、積極的な役割を果たしていきたい」とコメントしていた。また、それ以外では「中国のインフレ率は低水準」、「5.5%の経済成長率達成は簡単ではない」、「米中が協力することが世界に有益」−−などといった発言も別途聞かれていたもよう。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、過去3週間程度推移してきたレンジ上限の115.80円レベルを超えたのちも騰勢を続け、ついには年初来高値も更新してきた。引き続きウクライナ情勢への警戒感は根強く、それは冴えない株価などにも示されているものの、リスク回避志向のなかでドルがより買い進まれる展開となっている感を否めない。なお、116.35円を上抜けてきたことで、中期的なドルの上値メドは2016年12月に記録した118.66円となりそうだ。
来週開催される米FOMCへの関心はかなり高い状況で、本日も発表される米経済指標にはまず要注意。ただ、依然としてウクライナ情勢に関連するニュースなどは波乱要因となりかねない。とは言え、「現地での戦闘云々」といった地政学リスクももちろんだが、エネルギーや商品価格の上昇やインフレリスクの高まり、欧米諸国との報復合戦の行方など対象は多岐にわたっている。本日でいえば、現地時間11日午前10時過ぎからとされる「バイデン氏によるロシア関連の講演」などへの関心も高い。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京で年初来高値を更新しただけでなく、116.75円レベルまで続伸。基本的なリスクはドル高方向で、117円台乗せを期待する声も多い。
しかし、今年に入ってからのドル/円は2.0-2.5円ほどの上昇で「第一波」が終了。そののち調整的な下押しを経て「上昇第二波」が到来するという展開となっている。それからすると、大きな流れそのものはドル高ながら、短期的には逆に調整先行もありうるか。ドルの下押しにも一応注意をしておきたい。
材料的に見た場合、中長期的には目に見えるスタンスの変化から、具体的な対露政策への関心も高まっている「中国情勢」、ウクライナ危機に端を発した「エネルギー・穀物相場への懸念」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、3月のミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が発表されるほか、「世界の食料安保への影響や食品市況の安定化策について話し合う」とされるG7農相会合にも一応要注意。そのほか、先で取り上げた「バイデン氏によるロシア関連の講演」なども場合によっては波乱要因に。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは116.20-117.20円。心理抵抗にあたる117円前後の攻防にまずは注目。上抜けると、短期的な青天井となりかねず、ドル高はさらに加速する可能性もある。
対するドル安・円高方向は、これまでの抵抗だった116.35円や116.20円などが取り敢えずの下値メド。下回ると116円割れが予想されるものの、それでも底堅そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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